【ツアー報告】厳冬の野辺山高原でフクロウに会いたい! 2016年12月14日~15日

(写真:オオモズ 撮影:見崎智子様)

本州のさまざまな探鳥地でツアーを企画していますが、その中でも最も寒さが厳しいのがこの野辺山高原でしょう。標高1,300mという地理的要因と八ヶ岳から吹き降ろされる冷たい風はあっという間に体を冷やします。ただ、そんな厳しい環境でも野鳥たちは暮らしています。今回は雪景色の中に神々しく佇み、まるで絵葉書のようなシーンを観察するべく、この寒さが厳しい野辺山高原に向かいました。数日前の天気予報では14日の天気が芳しくないとの予報でしたが、前日になって予報がやや良い方向に変わりました。

14日、早朝の東京駅前はどんよりと雲っていて小雨が落ちていました。予定通り08:00に出発した後もしばらく雨は続き、途中に立ち寄ったサービスエリアでもまだ小雨模様は続いていました。ただその後は雨が上がり、徐々に雲が切れて青空が見え始めました。そして野辺山高原に到着した頃にはすっかり青空になっていました。到着後は観察機材の準備をしてから周辺を散策しました。先週訪れた際にはアトリの群れがズミの実に群れていましたが、この日は至って静かでした。草地までくるとようやくホオジロとカシラダカの姿があり、たまたま木に止まってじっとしていたためその特徴を観察することができました。その後は各自昼食としましたが、その間に30羽ほどのアトリの群れやツグミの姿が見られました。昼食後は餌台が設置させている場所に向かいました。寒さが厳しい探鳥地は環境が厳しいためわずかな餌にもさまざまな野鳥たちがやってくる傾向があります。この日もコガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、カワラヒワがひっきりなしに訪れる様子が観察でき、周囲の林ではズミの実をついばむアトリやイカル、ヒガラの姿も見られました。この場所での探鳥を終えた頃からは八ヶ岳に怪しげな黒い雲がかかりはじめ、小雪が舞ってきました。本来ならばフクロウ探しは15:30くらいから始めますが、どんどん雪の量が増え、薄暗くなってきたため15:00から高原内の道を走りながらフクロウの姿を探してみることにしました。過去にフクロウを観察したことがある場所はもちろん、可能性のある場所ではバスを降りて周囲を探しましたがこの日は残念ながらその姿はありませんでした。ただ最後に訪れた牧草地ではカラマツに止まるオオモズの姿を見ることができ、なんとか野辺山高原らしい鳥の姿を見ることができましたが、距離が遠かったこともありしっかり観察とはいきませんでした。

15日、06:15に出発してフクロウを探しに出かけました。前日の雪は止み綺麗な月が雪化粧した八ヶ岳を照らしていて気温は-8℃。日の出は06:45ですからその頃にはおそらく-10℃を下回っていたことでしょう。早朝も同様にさまざまなポイントを巡ってみましたがやはりフクロウの姿はなく残念な結果となってしまいました。ただ最後に行った畑地ではまたもオオモズの姿がありました。ただ昨日よりも距離があったためより近くから観察できる場所に移動して観察することにしましたがその頃にはその姿はありませんでした。ただチョウゲンボウ、ノスリの姿を見ることができ、どこからともなくコチョウゲンボウが飛んできてカラマツに止まりました。またツルウメモドキの実にアトリ、ベニマシコがやってきていたことからバスを降りて観察していると再びオオモズがどこからともなくやってきて枯れ木に止まっていました。そのため徐々に接近を試みながら観察をすることができ、最後はなかなか良い距離感で観察する幸運がありました。観察しているとアトリやカワラヒワに対して攻撃的な行動をとり、その都度小鳥たちが逃げまどっていました。その後は朝食のために一旦宿に戻り、朝食後は佐久方面に移動しました。途中に立ち寄った千曲川沿いではカルガモ、カワアイサ、ジョウビタキの姿があり、その後は市内にある池で探鳥しました。ここは真っ白に雪化粧した浅間山から吹き下ろす風がとても冷たく感じる中での探鳥でした。湖面を見渡すと例年に比べて個体数はやや少なめでしたが、マガモ、カルガモ、ヒドリガモ、コガモ、キンクロハジロといった基本種に加え、数個体のミコアイサ、そしてカワアイサの姿をじっくりと観察することができました。また周囲の林ではシメ、アトリ、ベニマシコ、柿の木にはムクドリ、ヒヨドリ、ツグミがやってきていました。また橋の上から河原を観察すると、セグロセキレイ、ハクセキレイが歩き回り、イソシギ、そしてイカルチドリの姿もありました。また今年は数多く見かけるツグミが水浴びをしていました。その後は一旦高速道路に乗り、すぐのところにあるサービスエリアで各自昼食としました。そして最後は森林公園で探鳥を行いました。駐車場ではやはり今年よく見られているツグミが、逃げる様子もなくハナミズキの木に佇んでいました。園内の池ではマガモ、コガモの姿があり、地面から2羽のアトリが飛び立って松の木に止まりました。さらに進むと雑木林付近の小道で複数のアオジが見られたほか、ふいに目の前の低木にルリビタキが止まりポーズをとりさらには東屋の屋根にとまって可愛らしい姿を見せてくれました。また付近ではシジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラがにぎやかに動き回り、針葉樹の林では枝にじっと止まっているアトリとカシラダカの姿を望遠鏡を使ってじっくりと観察することができました。また帰り際にも針葉樹の枝に止まるカシラダカの姿があり、観察しているとどんどん地上に降りていく様子が見られ、一時は最大で11羽が同時に観察できました。

この冬を象徴するかのようにアトリとツグミの姿が目立った2日間でした。最大の目的であったフクロウの姿を見ることができなかったことは残念でした。特に初日は小雪が舞う状況の中、環境的に良かっただけに残念でした。一方で普段なかなか出会うことがない小鳥類との出会いが多く、今回も稀な冬鳥としてわずかに記録があるオオモズに出会えたことは幸運で、小鳥を追い回すその行動も観察することができました。美しい雪景色の八ヶ岳と厳しい高原の環境、そしてそこに生息する野鳥たちの姿を楽しむことができた2日間でした。皆様お疲れさまでした。

石田光史

コチョウゲンボウ 撮影:宅間保隆様

コチョウゲンボウ 撮影:宅間保隆様

 

オオモズ 撮影:須崎明男様

オオモズ 撮影:須崎明男様

 

オオモズ 撮影:見崎智子様

オオモズ 撮影:見崎智子様

 

カワアイサ 撮影:宅間保隆様

カワアイサ 撮影:宅間保隆様

 

ミコアイサ 撮影:須崎明男様

ミコアイサ 撮影:須崎明男様

 

アトリ 撮影:見崎智子様

アトリ 撮影:見崎智子様

 

オオモズ 撮影:宅間保隆様

オオモズ 撮影:宅間保隆様

 

ミコアイサ 撮影:須崎明男様

ミコアイサ 撮影:須崎明男様

 

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