【ツアー報告】利根川周辺の冬の猛禽類B 2016年11月27日
(写真:ハイイロチュウヒ 撮影:須崎明男様)
初冬のこの時期すっかりおなじみになった、利根川周辺を巡りながら猛禽類を中心に観察する日帰りバスツアー。今季は2日間に渡っての催行となりました。コースは前日同様にさまざまなタカ類が生息している農耕地やアシ原、干拓地や池などを巡り、関東唯一のヒシクイの定期越冬地があるほか、越冬中のシギチドリのポイントやホシムクドリが見られているポイントも併せて巡ります。この日は残念ながら天気予報が芳しくなく雨マークがついていました。ただ早朝の東京駅前は曇り空ながら雨は落ちていませんでした。
27日、出発予定よりもやや早い07:50に東京駅前を出発することができました。いつ雨が落ちてきても不思議はないような空の下でしたが、現地の予報は夕方から雨ということでなんとか日中は持ってくれるのではないかと期待しての進行でした。途中、高速道路上で休憩をとったあたりから霧雨が降り出し、最初のポイントに到着する直前には雨がやや強まっていました。到着後は観察機材の準備をしてから探鳥に出発し、前日同様に堤防上に上がりアシ原を観察し始めた頃にはタイミングよく雨が上がり、そのせいかチュウヒが舞い始めました。よく見ると雨が降っていたためか干拓地の地上に複数羽のチュウヒが降りていて、電柱には昨日同様、2羽のノスリの姿がありました。利根川に目を移すとセグロカモメが飛び、カンムリカイツブリの姿もありました。その後は茨城県方面に向かって干拓地内の道をバスで走りながら鳥を探していきました。途中、地面から飛び立ったハイイロチュウヒのメスがしばらくバスの横を並んで飛翔し楽しませてくれましたが、目的のタゲリの姿は見られず、ひとまず午後から再度探すことにして、とりあえずシギ類が見られている場所に向かいました。この日は7羽のセイタカシギが佇み、ハス田内には1羽のツルシギが休んでいました。はじめのうちはツルシギは嘴を背中に入れた状態で休んでいましたが、観察しているうちに歩き出し、特徴的な嘴を見せてくれました。また2羽のコアオアシシギの姿もあり、見る見るうちに近づいてきてあまり警戒する様子もなく必死に採食していました。また2羽のミサゴが餌を探して飛び回り、よく見ると杭にも2羽のミサゴが止まっていて、そのうちの1羽は捕らえた魚を食べていました。観察後はちょうどお昼になったため一旦各自昼食の時間としました。昼食中にも木に止まるオオタカ、付近の電柱に止まるノスリやチョウゲンボウの姿が見られました。昼食後はヒシクイの越冬地に向かいました。到着後は堤防上から観察するというルールのもとに越冬中の130羽ほどのヒシクイを観察しました。この日は落ち着いた感じで地上採食をしていて、時より頭を上げたり鳴いたりしていました。今年はその中に2羽のマガン幼鳥の姿があり体の大きさの違いや嘴の色の違いを観察しました。堤防上からはカンムリカイツブリ、カルガモ、マガモ、オナガガモ、コガモ、ジョウビタキ、セッカの姿も観察することができました。その後は再びシギ類を探してみましたが、たまたまポイントが農作業中のためシギ類の姿を見ることができず、代わって100羽ほどのタゲリの群れを観察しました。長い冠羽と光沢ある美しい姿、また時より発する猫のような声が印象的でした。やや時間があったことからもう一か所のシギ類ポイントに向かうと2羽のタカブシギの姿があり、間近に観察することができましたが、残念ながらこの頃はやや雨が強まってきていました。この日は天候が悪かったことから薄暗くなるのが早く、思っていたよりも早めに塒入り観察を開始しなくてはならないと思ったのでホシムクドリ探しを急ぎました。ただ、残念ながらいくつかの群れを見てまわりましたがその姿はなく時間切れとなってしまいました。その後は塒入りポイントにいつもよりも早い15:45に到着し周囲を見てみましたが、すでに複数のチュウヒが帰ってきていて低木に止まっていました。小雨が落ちる中での塒入りはどうなるのかと心配していましたが、いつの間にかコチョウゲンボウのメスが木に止まり、すでにアシ原内にいたと思われるハイイロチュウヒのメスが飛び始めました。そして昨日とほぼ同じ16:25にハイイロチュウヒのオスがやってきて思ったよりも長い時間、我々の前を旋回飛翔し、いつの間にかメスも登場して2羽で並んで飛翔するなどして楽しませてくれました。
この日は残念ながら半日雨に降られてしまい、夕方はかなり薄暗い中での探鳥になってしまいました。ただハイイロチュウヒ、チュウヒ、コチョウゲンボウ、オオタカ、ミサゴ、ノスリなどが見られ、ヒシクイ、マガン、ツルシギ、セイタカシギなども見られた1日でした。皆様お疲れ様でした。
石田光史