【ツアー報告】10月下旬の大洗~苫小牧航路 2016年10月28日~30日
(写真:トウゾクカモメ)
いよいよ秋の北航路も海鳥たちが増えてくる季節を迎えました。またこの時期はこの海域でミナミオナガミズナギドリの観察頻度が高いことから、この珍しい海鳥との出会いにも期待してツアー企画しています。今回は天気予報は良かったものの、直前に低気圧の通過がありやや海況が悪い中での出発となりました。
28日、集合時間の22:30をやや過ぎましたが、大洗フェリーターミナルに全員ご集合されましたので、翌日の連絡、重要な海域、さらに観察が予想される海鳥の解説などをしてから22:50に乗船しました。
29日、過去のデータから往路は北の海域がより重要であることが明確なため、観察は金華山沖の08:00から開始しました。朝は船首左舷が順光ですが曇り勝ちだったためどちらでも観察可能な状況でした。朝のうちは秋らしく渡り途中のアカハラ、シロハラの姿が船上にありました。波は穏やかでしたが風が冷たく真冬のような寒さでした。ウミネコやセグロカモメが飛ぶ中、08:10には早速船体脇をトウゾクカモメが飛び、08:40にはフルマカモメ、クロアシアホウドリの姿も見られました。09:00を過ぎたあたりからは風がやや強まり寒さが厳しくなってきましたが、再びクロアシアホウドリが飛び、晩秋らしく渡り中のカモ類の姿も増えてきました。09:15にはウミスズメが船体脇を飛び、09:30にはトウゾクカモメ、09:40にはアカアシミズナギドリ、09:50には船上で休憩していたと思われるキジバトが飛び交いました。10:05にはミツユビカモメ、11:00にはマガモと思われるカモ類の群れが現われました。その後は風がさらに強まりいよいよ潮を被りながらの探鳥になってしまいました。ただこういった海況の方が海鳥の出現状況は良くなり、ミツユビカモメが飛び交い、11:30にはクロガモの群れが飛び、11:35には間近をトウゾクカモメが飛び、11:40には20羽ほどのアトリの群れが海上を飛んでいました。その後も12:10にはハシボソミズナギドリ、13:00にはハイイロヒレアシシギ、14:40にはオナガガモの群れ、そして14:55には海上を渉って行くオオハクチョウの群れが見られました。その後はさえあに海況が悪化する中、15:15からはハジロミズナギドリが飛び始め、15:30には30羽ほどのフルマカモメの群れが乱舞しました。海鳥が増え始めたためデッキ上は忙しくなってきましたが、そんな中、よく見ると灰色の小さな海鳥が波間を舞い始めました。これが大変珍しいハイイロウミツバメだったためデッキ上はさらに大騒ぎとなりました。結局、薄暗くなる16:30まで、ハジロミズナギドリ、フルマカモメ、ハイイロウミツバメが飛び交う時間帯が続き、大忙しの中探鳥を終えました。が、片付けをしていると白い巨大な海鳥が船首方向から飛んできました。驚いたことにこれがアホウドリ成鳥で最後に大きなプレゼントがあった往路でした。ただこの日は真冬のように寒く、到着した苫小牧港は小雪がちらついていました。
30日、この日は早朝に良い海域を通ることから05:30にスタンバイしました。日の出は06:00のためまだまだ薄暗い中でしたが、すでにフルマカモメやコアホウドリが飛び交っていました。海況はまだまだ良くはなっておらず荒れ模様の中でしたが、ようやく06:35にミナミオナガミズナギドリの姿がありましたが海面色が悪くなかなか目につかない状況で残念でした。07:30を過ぎるとスズガモやマガモ、ヒドリガモといったカモ類の姿が増え、08:30には30羽ほどの群れで飛翔するスズガモの姿が見られました。09:10にはシロエリオオハム、10:00にはクロガモとスズガモの混群、10:30には20羽ほどのマガモの群れ、12:00には50羽ほどのヒドリガモの群れが飛んでいました。13:00以降は左舷が順光になるため移動しました。すると13:05にはこの航路ではめったに見る機会がないアオサギが、ゆったりと羽ばたきながら飛んでいる様子が観察でき、14:00には鯨類の死骸と思われる物体に群がるフルマカモメが見られました。14:30には海上を飛ぶキジバトがどんどん船に近づいてきて手すりに止まろうかとする様子に盛り上がりました。そして15:30には着水している30羽ほどのハイイロヒレアシシギの姿があり、予定よりも時間延長して16:00まで観察して終了しました。
今回は目玉と考えていたミナミオナガミズナギドリに出会うことはできたものの観察個体数が少なく、また海況が悪い時間帯だったことから、しっかりとその特徴を確認するには至らず残念でした。29日午後は海況悪化により波が高く、また風向きの関係からかデッキ上は海水を浴びる状況になりご苦労をおかけしました。ただ、海況が悪かったことからハイイロウミツバメ、ハジロミズナギドリがかなりの個体数見られ、アホウドリ成鳥との出会いもあり幸運でした。さらには秋の渡り期らしくカモ類や小鳥類の出現もあり、鳥たちの渡りを実感することもできました。海鳥観察ツアーは今後も継続して参りますのでぜひまたご乗船ください。この度はお疲れ様でした。
石田光史