【ツアー報告】大洗航路の海鳥と北海道の小鳥 2015年3月12日(木)~15日(日)

コミミズク/ツメナガホオジロ/ミツユビカモメ/キバシリ/エゾフクロウ/ヤマゲラ/ユキホオジロ/ベニヒワ/シマエナガ

ツメナガホオジロ

ツメナガホオジロ

この時期の大洗~苫小牧航路はウミスズメ類のピークのため航路のみのツアーも大変に人気がありますが、道内での探鳥も楽しめることから今回は単に航路を往復して探鳥するだけでなく、苫小牧周辺での一日探鳥もするツアーです。今冬の北海道は天候が悪いことが多く、この航路も数日前まで欠航でした。しかし出発日には海況は良くなり無事出発することができました。 12日は予定通り22:30にご集合いただきツアーの行程の説明や注意事項をお伝えし、その後は観察できる海鳥の解説を行ない乗船していただきました。
13日、好天の中、06:30から探鳥をはじめました。早朝は逆光でしたが07:30には光は良くなりウミスズメの小群、シロエリオオハムが観察できました。08:00以降はやや風が強くなってきましたがハシブトウミガラスの個体数が多くなり、10:00を過ぎると10羽程度の小群で浮いている姿が何度か見られました。11:00頃からは陸地に近いこともあり、ウミネコ、カモメ、オオセグロカモメの姿が多くなり、ウミスズメ類の出現は少なくなってしまいました。午後に入ると13:30、13:45、14:30にそれぞれエトロフウミスズメが出現しましたが群れが小さいため目にはつきませんでした。ただ、14:55にはコウミスズメが船体のすぐ下を飛び、15:15には20羽ほどのオオハクチョウが船体の上を通過して行きました。そして16:20にコアホウドリを観察して終了しました。風が強かったり弱かったり、津軽海峡では吹雪になったりと天候がよく変わる3月らしい航路でした。
14日、08:00にホテルを出発し、最初のポイントではアトリの群れに出会い、愛想の良いキクイタダキがかわいらしい姿を見せてくれました。次のポイントではハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、ミヤマカケス、アカゲラなどを見ながら歩きましたが、途中の林でクマゲラが現れ、別の個体が我々の上空を「コロコロコロ・・・・」と鳴きながら飛翔する姿も見ることができました。さらにはさえずりながら幹を登るキバシリをじっくり観察することができ、エゾフクロウ、ヤマゲラ、最後は北海道で最も人気のあるシマエナガの姿を堪能することができました。この後は一旦昼食としましたが、飛翔するオオワシ、オジロワシの姿を見ることができたほか、空き時間に探鳥をされていたお客様がヒレンジャク、キレンジャクの姿を見られたようでした。次のポイントでは群れ飛ぶベニヒワの姿があり、地面に降りて採食する様子をじっくり観察することができたほか、カササギ、ワシカモメ、シロカモメ、ハジロカイツブリの姿を見ることができました。足早に巡ってきたこの日の探鳥もいよいよ最後の探鳥地となり、まずは畑地に群れるマガンの姿を観察し、漁港では再びベニヒワの群れを見ることができました。漁港内ではスズガモ、クロガモ、ホオジロガモを観察し、最後に草地へと向かいました。バスの窓からツグミの群れを見ていると何やら見慣れない鳥がいたのでバスを降りて見てみるとツメナガホオジロでした。最初は6羽の群れでしたが、飛立つとその数は意外に多く20羽程度いたようでした。出会う確率が極めて低い鳥のため、かなり時間をとって観察しましたが、顔の黒みと後頭部のレンガ色が際立った個体は見応えがありました。ただ、クライマックスはツメナガホオジロではなくその直後に現れたユキホオジロでした。珍鳥度はツメナガホオジロに分がありますが、人気はユキホオジロのほうが上のようで、さらに時間をとって観察を続けました。見た目も動きも可愛らしい鳥のため、人気のある理由がよく分かる気がしました。そして観察中にはコミミズクの姿もあり、鳥が多い冬を象徴するような一日を過ごすことができました。
15日、早朝の時間帯が重要なため06:00から探鳥を開始しましたが、この日は一転してエトロフウミスズメの群れが出現しました。06:30からの2時間は数十羽から、時には数百羽が黒い塊状になって飛翔と着水を繰り返し、ようやく3月航路の主役が登場したといった感じでした。09:00以降はハシブトウミガラスが出現し、午後からはウミスズメとオオミズナギドリを観察しました。ただ往復共にミツユビカモメの個体数がやや少なく、カモメが特に目に付いたのが印象的でした。一部で強風や吹雪がありましたが、概ね穏やかな航路で、苫小牧での探鳥も小雪はあったものの穏やかだったことが成果に繋がったと思いました。皆様お疲れ様でした。

石田 光史

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