【ツアー報告】キクイタダキに会いたい!8月の富士山五合目 2016年8月3日
(写真:ホシガラス 撮影:宅間保隆様)
当日の天気は曇り時々雨というあまり芳しくない予報の中、定刻通り08:00に東京駅を出発し、富士山五合目を目指しました。河口湖インターを下車しスバルラインを登り始めた頃は薄日が射していましたが、二~三合目と標高が高くなるにつれ霧に覆われる状況になってきました。
五合目奥庭の駐車場でバスを下車し、急な下り坂を注意しながら目的地の山荘に向かいます。目的地では別会社の鳥観察ツアーや団体の撮影会2グループ約40名が先着しており、既に小さな水場がバーダー達に取り囲まれている状況でした。別の観察者達の後ろに新たな場所を確保して待ちますが、雨が降りはじめ、その後雨脚がだんだん強くなる状況です。
天候悪化のため、撮影会のグループはあきらめて帰路につきましたが、この直後近くのカラマツの梢にホシガラスが飛来しました。このホシガラスはその後水場に舞い降り、盛んに水浴びを繰り返してくれ、殆どのお客様がじっくりこの様子を観察することができました。
その後雨もやや小降りになったため、数名のお客様と遊歩道を散策しました。ルリビタキが木の梢で囀る姿を望遠鏡で観察、また低木を動き回るカヤクグリの姿をはっきり皆さんが確認できました。ゴヨウマツの中で囀るメボソムシクイはなかなか姿を見せてくれませんが「ギッ、ギッ」という地鳴きを皆さんで確認しました。雨も上がった上空ではアマツバメが鎌型の翼を広げて滑空し、渡りをする蝶アサギマダラも飛びはじめました。お客様の中に植物に詳しい方がいらっしゃったため、鳥の観察合間にベニバナイチヤクソウ、ヤマホタルブクロ、ミヤマウズラ、ヒメシャジン、メイゲツソウなどの亜高山帯の花も観察できました。
しかしその後雨は降ったり止んだりを繰り返し、水場ではホシガラスが飛来してから鳥が現れない状況が続きました。雨が小康状態になった時にご夫婦で来られていた2組のお客様をお誘いし、再度遊歩道を歩きました。やや遠い距離でしたが梢で囀るルリビタキ雄の美しい姿を望遠鏡でゆっくり、展望広場付近ではホシガラスを至近距離で観察することができました。また針葉樹林帯の中でようやくキクイタダキ、ヒガラに出会うことができました。ただ動きが速いため、なかなかじっくりその姿を双眼鏡に入れることはできませんでしたが、皆さん何とか確認することができました。
この日水場付近ではカヤクグリがその後現れたのみでした。遊歩道の石畳にできた水溜まりでウソが水浴びをしているのを観察したお客様もいらっしゃり、鳥達にとっては水場に来る必要のない天気だったのかもしれません。
天候と鳥の出を考慮し、予定を1時間ほど早めて帰路につき、途中大きな渋滞もなく無事に東京駅に到着し解散しました。
雨模様の天気で水場に鳥がほとんど現れず、お客様にはやや物足りない結果となりましたが、初めて富士山五合目を訪問するお客様が半数近くいらっしゃいました。首都圏では冬の時期にしか見ることができない、ルリビタキ、ウソ、キクイタダキといった鳥達が繁殖している環境を体験したことは大きな収穫だったと語るお客様の感想が心に響きました。皆様大変お疲れ様でした。
小島久佳