【ツアー報告】クマゲラを求めて!初夏の北海道 2016年6月10日~14日(フェリープラン)6月12日~13日(飛行機プラン)

(写真:クマゲラ 撮影:津村勝吉様)

北海道ツアーとしては久しぶりとなる完全新コースは、現地在住の案内人の方がコースを立案し、主にクマゲラを観察することを目的に企画していただきました。ただ今年は雪解けが早かったことから例年に比べて鳥たちの春の動向が早く、予定していた場所での観察の可能性が極めて低くなり、急遽、出発直前まで観察の可能性が高い場所を探していただくという展開になりました。

10日、まずはフェリープランのお客様に22:30に大洗フェリーターミナルにご集合いただき、翌日の案内などをしてから乗船し出発しました。

11日、過去の観察データから海鳥の出現が多い金華山沖から観察を開始しました。天候は晴れで海上は驚くようなベタ凪でした。オオミズナギドリやクロアシアホウドリがコンスタントに観察できていましたが08:00頃からは濃霧のため1時間ほど観察中断となりました。09:30頃からは光線が良くなってきましたがやや風が出てきて思いのほか寒くなってきました。10:00からは連続してクロアシアホウドリが30個体ほど見られ、アホウドリの亜成鳥も1個体見られました。10:45には海上はさらにベタ凪となり着水しているクロアシアホウドリが複数見られました。11:30を過ぎるとオオミズナギドリの群れがいくつも見られ、その中にハシボソミズナギドリ、コアホウドリの姿もありました。そしてようやく11:45にオオトウゾクカモメが飛び、12:00には着水個体も見られました。午後になるとコアホウドリの姿が目立ちはじめ、14:30頃は連続してキタオットセイが見られ、15:00以降はイシイルカ、カマイルカの姿も楽しみました。そして最後は16:45にカンムリウミスズメが見られ、その後はクロアシアホウドリ、コアホウドリなどを観察しながら18:30に観察を終了しました。主役のオオトウゾクカモメは結局8個体確認でき、予想よりもやや多い感じでしたが、船に近づいてくる個体はいませんでした。

12日、飛行機プランのお客様と合流するまでの間、わずかな時間ながらも探鳥を行いました。駐車場ではアカハラ、アオジ、ヒガラ、センダイムシクイなどのさえずりが聞かれ、林内ではキビタキのさえずりが各所で聞かれたため観察していると、突然、クマゲラが飛んできて付近の木に止まり、さらにもう1羽が現れて追いかけっこをするかのように林内を飛び回りはじめました。しばらく観察することができましたが最後はハシブトガラスに追われて林の奥に消えていきました。ただ、思いもよらない出会いに感動したのでした。その後は飛行機プランのお客様、現地案内人と合流し探鳥をスタートしましたが、早朝にクマゲラが見られたことから急遽予定を変更してクマゲラが観察された場所に向かいました。到着後はクマゲラが見られた場所付近でしばらく待ってみましたが残念ながらクマゲラの姿はなく、その後は次なる探鳥地に移動しました。

ここでは本州ではまず見ることができなくなってしまったアカモズを探しました。事前の下見でよく観察されたポイントに行くと早速遠くの木にアカモズの姿があり、その後も時々現れましたが強風の影響もあってか、じっくり観察することができず、その後の出現頻度も下がってしまったことからもう一か所のポイントに移動しました。ここではノビタキ、ホオアカをじっくり観察することはできましたが主役のアカモズの姿がなく、しばらく探しているとようやく低木に止まる姿を観察する機会に恵まれ、その後数回観察する機会がありました。モズに比べて細身で赤みが強い姿が印象的で、帰り道でもさらにもう1個体を観察することができました。また最後は電線に止まるニュウナイスズメも観察することができました。

13日、出発の05:00は夜に降っていた雨は上がっていました。早朝はホテルからすぐのところにある場所に向かいました。ここは下見時にヤマゲラがよく見られていた場所だったため探してみることにしました。駐車場では早速キビタキの声が聞かれ、若葉に止まってさえずるアオジの姿を望遠鏡でじっくり観察することができました。林内では亜種シロハラゴジュウカラ、ハシブトガラの姿があり、藪の中からはヤブサメの独特のさえずりが響いてきましたが、結局ヤマゲラは一瞬だけ飛んでいる姿が見えただけでした。その後は一旦ホテルに戻って06:30から朝食をとり通常よりも早い07:30に出発しました。この日はいよいよクマゲラの観察に期待がかかる場所に向かいました。本来ならば別の場所でクマゲラを観察する予定でしたが、相手は自然の生き物のためうまく行かず、最後に行きついたのがこの場所でした。現地では小雨が降る状況でしたがそれほど気になるほどではなく、深い原生林は雨のためみずみずしく感じました。しばらく待っているとクマゲラのオスが現れてその姿をしばらく見せてくれました。また飛翔する様子も観察することができ、独特のフワフワした飛翔も観察することができました。結局、2時間ほど現地で過ごし、その後は現地案内人と相談の上、ぜひ訪れたい場所がもう一か所あるとのことで移動することにしました。最後に訪れた場所ではクマゲラと並んで北海道でなくては観察することができないヤマゲラを探しました。待っている間には可愛らしいエゾリスが現れて楽しませてくれました。結局、ヤマゲラはメス個体が1時間ほどしたところで現れ、桜の木の枝に止まってその姿をじっくりと見させてくれました。本州で見られるアオゲラに似ていますが虹彩が淡色であることから表情が冷たく感じる点は印象的です。目的の鳥の出現状況で行動する1日だったため、かなり臨機応変な感じとなりましたが皆様に見ていただきたい種をうまく網羅することができ、その後は空港に移動しました。空港では飛行機プランのお客様とお別れし、その後はフェリープランのお客様と共に買い物をした後、苫小牧フェリーターミナルに向かいました。フェリーターミナルでは2時間ほどの待ち時間が生じますが、夕食やショップでの買い物、そして仮眠などに充てていただき22:30に乗船しました。

14日、この航路は往路とは逆になるため早朝が勝負ということから05:00にスタンバイして探鳥開始です。天候はどんよりとした曇り空で小雨が降っていました。事前の予報通りに早朝は波が穏やかでオオミズナギドリ、ハシボソミズナギドリ、コアホウドリ、クロアシアホウドリが飛んでいました。07:00くらいからはややうねりが出てくる中、着水するクロアシアホウドリが複数見られ、07:30にはオオトウゾクカモメも現れました。またハシボソミズナギドリと共に飛翔するアカアシミズナギドリが見られ、08:15にはようやくフルマカモメも現れました。ただその後の三陸沖からは予想通りのうねりとなり、一時は4mほどのうねりとものすごい衝撃で観察もままならない状況となりました。結局、11:00頃からは晴れ間も見え始めて天候は回復したものの海鳥の出現は限られてしまい、クロアシアホウドリ、コアホウドリ、オオミズナギドリを時より観察するに留まり、金華山沖を過ぎたあたりで観察を終了しました。

今回は北海道ツアーとしては久しぶりの完全新コースで、北海道では初となる現地案内人付き、さらにはその現地案内人の方に行程を作成していただくという初物尽くしの企画でした。主役と考えていたクマゲラは思いもよらぬ事態から観察地を変更しましたが、その甲斐あって見事に観察することができ、アカモズ、ヤマゲラ、オオアカゲラも見ることができました。やはりリアルタイムの情報を得てツアーができることは強みだと感じました。今後も北海道ツアーにぜひご期待ください。この度はお疲れ様でした。

 石田光史

アカモズ 撮影:中西榮子様

アカモズ 撮影:中西榮子様

 

クマゲラ 撮影:山中武士様

クマゲラ 撮影:山中武士様

 

オオアカゲラ 撮影:津村勝吉様

オオアカゲラ 撮影:津村勝吉様

 

クマゲラ 撮影:澤田粂夫様

クマゲラ 撮影:澤田粂夫様

 

ヤマゲラ

ヤマゲラ

 

クロアシアホウドリ 撮影:津村勝吉様

クロアシアホウドリ 撮影:津村勝吉様

 

ハシボソミズナギドリ 撮影:津村勝吉様

ハシボソミズナギドリ 撮影:津村勝吉様

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