【ツアー報告】初夏の上高地と乗鞍畳平ハイキング 2016年6月5日~7日

(写真:ライチョウ 撮影:岩本和幸様)

6月初旬の恒例ツアーとして毎回大好評なのが3日間で乗鞍高原周辺3か所をめぐるこのツアーです。さほど移動時間が長くないにも関わらず、それぞれに違った環境で魅力的な野鳥たちに出会うことができます。ただ亜高山帯から高山帯をめぐるためお天気が非常に重要です。今回は3日間を通じて曇りマークが並び、ややはっきりしない状況でした。出発日も当然のことながらはっきりしない空模様だったのですが、松本駅に向かう途中からは予報に反して青空が見え始めました。

5日、まずは宿泊地である乗鞍高原に向かいました。到着後は一旦宿に入り一休みし、その後探鳥に出かけました。幸いにもこのころには空はすっきりとした快晴になっていました。林に入る前からヒガラ、メボソムシクイ、キセキレイなどの声が聞かれ亜高山帯の雰囲気です。歩きはじめてすぐのところでは枯れ木に止まり、フライキャッチを繰り返すサメビタキを観察することができ、付近からはオオルリのさえずりも聞こえてきました。また途中の林ではルリビタキ、キクイタダキ、ヒガラ、メボソムシクイなどが見られ、コマドリ、ミソサザイ、エゾムシクイのさえずりを聞くこともできました。視界の広い場所では天候の回復とやや風が出てきたこともあってかノスリの飛翔が頻繁に見られ、巣に餌を運んでいるモズのつがいの姿もありました。下りに入るとようやくカッコウ、ジュウイチの声が聞かれ、最後は高木のてっぺんでさえずるオオルリの姿を堪能して観察を終了しました。夜は地元の食材をふんだんに使った料理と源泉かけ流しの温泉で疲れをいやしたのでした。

6日、05:00から宿周辺を歩きました。この日は畳平に向かうためお天気が心配でしたが早朝からからっとした晴天で残雪がある畳平がはっきりと見えました。外に出ると枯れ木でキビタキが歌い、最近当地で繁殖しているジョウビタキの姿があり、さえずっていたため声を聞きましたがノゴマによく似ている印象でした。また珍しくサンショウクイがじっと止まっていました。高原では枯れ木で歌うビンズイのほか、カッコウ、アカゲラ、アオジ、イカル、ホオジロ、カケスなどを観察し、さえずりだけでしたがコルリの歌が聞かれました。朝食後は畳平に向かいました。途中バスの車窓からは美しい山々が見え雰囲気も盛り上がってきました。到着後は観察機材の準備などを行い探鳥を開始しました。ここでは早速間近にカヤクグリ、イワヒバリの姿を観察することができ、岩場でさえずるルリビタキの姿を望遠鏡で観察することもできたのですが、残念なことにライチョウの姿を見ることができなかったため別のポイントに向かうことにしました。移動後もはやはりライチョウの姿はなく、仕方なくさらに進むとようやく岩の上でじっとしているオス個体を見つけることができました。観察していると「ゴォー」と鳴きながら飛翔し、対岸の岩場に止まりました。ライチョウの飛翔はなかなか見る機会がないだけにうれしい瞬間でした。その後は霧が発生してきたこともあってか2か所でライチョウを観察することができ、オスとメスが仲良く採食している姿を間近に観察することができました。その後は乱舞するイワツバメを眺めながら各自昼食をとっていただき、上高地に移動しました。上高地は平日ということもありバスターミナルの混雑はそれほどでもなく、幸い薄曇りの中で焼岳や穂高も眺めることができました。一旦宿に入った後は早速コマドリを探しに出かけました。この日は時間があまりないことから毎回コマドリが見られている場所へ向かいピンポイント観察を行いました。待っているとあの「ヒン、カララララ・・・」という見事なさえずりが間近で聞こえはじめましたが、なかなか姿を見つけることができません。おかしいなと思い笹薮の中を見てみると倒木に止まって鳴いていました。これでは見ることができないはずだとがっかりしながらこの日の探鳥は終了時間になってしまいました。

7日、この日も05:00に出発して再びコマドリポイントに向かいました。途中、全く逃げる様子がないカワガラス、ウグイスが見られました。到着すると前日よりもやや手前の笹薮からコマドリのさえずりが聞えたことから待っていると、やや近い場所から声が聞こえるようになりました。そのため探してみると目線よりもやや低い針葉樹の横枝に止まってさえずり続けるコマドリの姿を見つけることができ、まずは望遠鏡を使ってじっくりと観察することにしました。その後はやや近づいてみましたが、それほど警戒する様子もなく歌っていました。ほかにも川辺でイカルチドリ、イソシギ、ミソサザイの姿も観察することができました。一旦朝食のために宿に戻り、その後は別ルートから明神池を目指しました。このルートは最近サルの姿が多くなりやや困りものですが、途中にある沢が流れている場所ではミソサザイが元気にさえずっていたことから観察していると、コマドリのさえずりも聞こえはじめました。そのため待っていると、突然手が届くような距離の低木で歌いだし思わず身動きが取れない状況になりました。ただ、こちらがじっとしていたためかコマドリは数回その見事なさえずりを間近に堪能させてくれたのでした、その後も別ポイントで歌うコマドリの姿を観察することができ、思った以上にコマドリに遭遇することがでました。その姿は美しく強烈なインパクトがあったと思います。また声量あるあの独特のさえずりも何度も間近に聞くことができ幸いでした。

高山から亜高山帯での観察ではお天気がとても重要なのですが、今回はちょうど天候回復時にツアーが始まり、小雨が降りだした中でツアーが終了するというタイミングに当たり幸いでした。主な目的であったライチョウとコマドリの姿を堪能することができ、イワヒバリ、カヤクグリ、オオルリ、キビタキ、サメビタキ、カワガラスなどさまざまな野鳥たちが環境別に観察できたことも幸いでした。ただ今回は各行程共に歩いていただく時間が長くご苦労さまでした。またの機会にお会いできますことを楽しみにしております。この度は大変お疲れさまでした。

石田光史

コマドリ 撮影:岩本和幸様

コマドリ 撮影:岩本和幸様

 

ライチョウ 撮影:青木克彦様

ライチョウ 撮影:青木克彦様

 

イワヒバリ 撮影:岩本和幸様

イワヒバリ 撮影:岩本和幸様

 

ライチョウ 撮影:青木克彦様

ライチョウ 撮影:青木克彦様

 

カワガラス 撮影:岩本和幸様

カワガラス 撮影:岩本和幸様

 

コマドリ 撮影:青木克彦様

コマドリ 撮影:青木克彦様

 

カケス 撮影:岩本和幸様

カケス 撮影:岩本和幸様

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