【ツアー報告】春の水郷巡り 夏羽のシギを探そう! 2015年4月27日(月)

日本海側の島々ではすでに渡り鳥の観察を楽しんでいるバードウォッチャーも多いこの時期、関東各地の水田にはこれから繁殖地に向かっていくシギやチドリの仲間が増えてきます。よく似た種が多いシギやチドリの仲間も、この時期はとても美しい夏羽に換羽していることが多く、秋に比べて識別がしやすい状況になっているのが特徴です。ただ、今年は直前の状況があまり良くはなく、例年に比べて種類数、個体数共に少ないとのことでした。事前の天気予報は晴れマーク一色で、お天気の不安はなさそうです。
27日、鳥の観察会にお申込みのお客様は毎回ご集合が早めで、この日も集合予定よりも5分ほど早い07:55にご集合いただいたことから早めの出発となりました。これといった渋滞もなかったことから途中の休憩を挟んでも2時間ほどで最初のポイントに到着することができました。まずは駐車場にバスを止めて観察機材の準備をしていただきましたが、好天だったことから周辺ではヒバリ、セッカ、オオヨシキリがさえずっていました。事前情報ではシギ類が少ないとのことでしたが、渡り途中の鳥たちの状況は日に日に変わるため、過去にシギ類が良く見られたポイントは全て見て行こうと考えバスを出発させました。最初の水田ではシギの姿は無かったですが、次のポイントに向かう途中の畑地では50羽ほどのムナグロの群れが休んでいました。渡ってきたばかりと思われ、ほとんどの個体が疲れ切った様子で地面にべったりと座り込んでいました。距離が近かったため車内からの観察でしたが、換羽の状態が個体によってさまざまで、中には完全な夏羽に換羽した個体も見られました。その後は僅かなハス田で2羽のクサシギが見られ、よく似たタカブシギとの違いを望遠鏡で確認しながら尾羽を振る動作も観察することができました。また付近ではウグイスがうるさいくらいに「ホー、ホケキョ」を連発し、我々に対して警戒声も発していました。そこから僅かな距離にある田植え後の水田では7羽のチュウシャクシギの群れが見られました。距離がややあることからバスを降りて望遠鏡を使って観察し、大きく湾曲した嘴、頭央線という2つの特徴を観察できました。すると近くの水田で観察をされていた方からツルシギがいるとのお電話をいただきましたので直行しましたが、残念ながら到着直後に飛ばれてしまいました。
その後は一旦各自昼食を食べていただき午後からはまた別の場所を巡りました。まずは水が僅かなハス田でタカブシギ、タシギ、セイタカシギの姿を見ることができ、その後は利根川に沿って水田を見て行きますが、コチドリ、チュウシャクシギを見るに留まりました。そのためアシ原での観察を加えて、コジュリン、オオセッカ、チュウヒなどを観察しました。夕方は再び最初に訪れた水田を巡りましたが、新たにアオアシシギの姿がありました。また霞ヶ浦湖畔では夏羽に換羽中のカンムリカイツブリが浮かんでいました。
今年は渡り期がズレているのか、コースが反れてしまったのか、見ていただきたかった定番種のシギ類が種類数も個体数も少なく残念でした。ただ、少ないながらもこれから繁殖地へ向かう長い旅の途中、日本各地の水田で羽を休めていることは分かっていただけたと思います。また秋に今度は越冬地に向かっていくシギやチドリたちに出会えればと思いました。この度はお疲れ様でした。
石田 光史

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