【ツアー報告】海鳥北上期の大洗~苫小牧航路 2015年5月8日(金)~10日(日)

一年を通してさまざまな海鳥たちが楽しめる大洗~苫小牧航路ですが、種類数、個体数が最も多いのがこの5月で、この航路のベストシーズンといえます。南方で繁殖を終えたアホウドリ類やミズナギドリ類、これから繁殖地に向かうヒレアシシギ類やトウゾクカモメ類など多くの海鳥たちが北上する時期だからで、群れというよりは大群との出会いにも期待できます。往復とも天候はまずまずで波も穏やかな予報です。
8日、やや遅れたお客様もいらっしゃいましたが22:30からツアー説明、翌朝の連絡。期待できる海鳥たちの解説を行い乗船。翌日の観察に備えて早めにお休みいただきました。
9日、日の出は04:30でしたので05:00から福島沖に設置された海上風力発電の風車を見ながら探鳥を開始しました。天候は曇りで思った以上に寒い状況でした。まずは驚くようなベタ凪の海上をハシボソミズナギドリとオオミズナギドリがスイスイと飛んでいました。06:00には夏羽に換羽した5羽のシロエリオオハムが飛んでいました。06:15からはハシボソミズナギドリが帯状に飛び、次々に船を追い越して行く様子が観察でき06:30にはキタオットセイの姿に和まされました。06:30以降は連続してクロアシアホウドリが現れ、07:30にはズラリと並ぶように11羽のクロアシアホウドリが着水していました。08:00にはウトウ、08:15にはシロエリオオハム、08:20には6羽のウミスズメが船体脇を飛翔しました。また遠くの海面には30羽ほどのクロアシアホウドリが着水して何かを食べているようでした。08:40にはハシブトウミガラス、09:20にはアカアシミズナギドリ、そして10:00からは海面をほんのり赤く染めるハイイロヒレアシシギ、アカエリヒレアシシギの夏羽の群れが見られはじめ、一斉に飛び立って飛翔する様子は圧巻でした。群れは高く舞い上がったり、急降下したり、時には巨大な生き物であるかのように空中にうごめいていました。その数が何万羽いたのかはわかりませんが、このような状況は約1時間ほど続きました。11:00にはヒレアシシギ類の群れは小さなものばかりになりましたが、漁船について飛翔するコアホウドリが見られ、その後はクロアシアホウドリ、コアホウドリがコンスタントに見られ、13:20には海面はさらにベタ凪になり、漂うゴミに沿うように再びヒレアシシギ類が見られ、浮いているハシブトウミガラスの姿も目立ちました。そして17:15にはザトウクジラの噴気が上がり、数頭の姿を見て18:00に観察を終了しました。
0日、再び05:00から探鳥を開始しました。早朝はどんよりとした空から小雨が落ちていました。早朝からコアホウドリ、クロアシアホウドリが連続して見られ、大きな群れではないもののハシボソミズナギドリも飛んでいました。06:30には小規模なヒレアシシギ類の群れ、07:10には漁船につくクロアシアホウドリが見られました。07:50にはウトウ、08:00には渡り途中と思われる小鳥が飛び、08:15には一旦上がった雨が再び降り始めました。08:50には空が明るくなりはじめ、ようやく青空が見えてきました。09:30を過ぎるとハシボソミズナギドリの数が増え始め、やや遠かったものの帯状に飛翔する群れが見られ、ようやく春の航路らしい光景を見ることができました。10:55にはその群れに紛れていたのか、トウゾクカモメが現れ、着水していたハシボソミズナギドリと小競り合いをしていました。11:20には15羽ほどのアジサシがヒラヒラ舞ながら船首を横切り、12:00にも30羽ほどのアジサシの群れが海面に飛び込むなど、採食行動をしていました。12:40にはこの航路で渡り期にはよく見かけるキジバトが飛んでいました。そして13:30にはお待ちかねのアホウドリ亜成鳥が現れました。この時はたまたま風が強かったことから、全く羽ばたかない状態で大きく上下動しながらダイナミックな飛翔を見せ、船首の左右を行ったり来たりしていました。14:00を過ぎるとさらに風が強まりましたが、それに合わせるかのようにオオミズナギドリ、ハシボソミズナギドリ、ハイイロミズナギドリが船体に沿うように飛翔しはじめたため、それぞれの特徴を見ることができました。ただ、この日は天候や風の状況がコロコロ変わる1日で、結局17:00には船体が揺れるような強風が吹きはじめたことから観察を中止し、探鳥を終了しました。
海鳥北上期ということもあり期待してのツアーでした。結果的にはアホウドリ類3種、ミズナギドリ類5種、ウミスズメ類3種、トウゾクカモメ、アジサシ、そして夏羽のシロエリオオハム、ヒレアシシギ類2種、鯨類も観察でき5月らしい結果となりました。期待されたミズナギドリ類の大群には出会えませんでしたが、予想を上回るヒレアシシギ類の大群は見事で、記憶に残るシーンでした。6月もまだまだベストシーズンが続きます。またのご乗船をお待ちしております。この度はお疲れ様でした。
石田 光史

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