【ツアー報告】春の奄美大島で魅力的な固有種に会いたい 2025年4月15日~17日
ここに行かなければ見ることができない固有種と固有亜種たちが豊富な奄美大島を訪れる春恒例のツアー。今回からはアカヒゲ、ルリカケス、オーストンオオアカゲラに加え、早朝探鳥と2度のナイトツアーでミナミトラツグミやアマミヤマシギも狙うとともに、アマミノクロウサギも見ることができればと期待しています。この時期はベストシーズンながら、とにかく雨が多いイメージが強いのですが、今回は3日目に曇りの予報が出ているものの、珍しく3日間を通して概ね天気は良いとのことでした。
15日、この日は奄美大島に残っていたことから、早朝に外を見るとすっきりした快晴でしたが強風が吹き荒れていました。昼前に空港行きのバスに乗り、奄美空港に到着すると飛行機は30分遅れで到着が14:05になるとの表示が出ていました。14:30頃にお客様と合流した後は観察機材を準備していただいてから、空港近くで探鳥しました。強風でどうなることかと思いましたが、風向きが良かったせいか探鳥には全く問題がありませんでした。海岸線から岩礁地帯を見ると、まずはかなりの変化があることがその雰囲気からわかりました。ざっと見てみるととにかくシギチドリ類の数が多いこと、多いこと。間近にはかなりの数のタカブシギが群れ、全体的には相変わらずムナグロが多く見られました。よく見ると真っ赤な夏羽のウズラシギもかなり多く、間近に数羽が群れていて、よく見ると夏羽のオジロトウネン、そして夏羽のコアオアシシギ、オバシギが間近を歩いていました。ほかにもセイタカシギが多く、メダイチドリ、シロチドリ、ヒバリシギなども見られ、ハシビロガモ、カルガモ、そして黒色型のクロサギも見られ、一日中見続けたいと思えるほどのラインナップでした。時間がかなり押していましたが、その後は森に移動しました。ひとまず森の中を歩くと、すでに人影がなくなっていたことからシロハラが歩きまわっていたものの、アカヒゲのさえずりは全く聞くことができませんでした。ただ遊歩道脇にあった倒木にとりついて、ひたすらつついているオースンオオアカゲラのメスに出会うことができ、じっくりと観察することができました。観察していると一旦、飛び立ってしまいましたが近くの木に止まり、ここでもしばらく木をつついていたことから、かなりの時間を使って観察することができました。ここまでのツアーではなかなか見られず、いつも最後の最後で出会っていましたが、この日は最初に出会うことができました。また戻る途中にはルリカケスが頭上にやってきて、鮮やかな姿、そして飛翔する姿を見せてくれました。その後はホテルに戻ってあわただしく18:00から夕食をいただき、19:00にナイトツアーに出発して、みるみる薄暗くなってくるタイミングで林道をゆっくり走ってみました。ここまで結果が良かったり悪かったりと両極端でこの日も不安がありましたが、早速、アマミヤマシギが見られ、この日は道端でゆっくり餌を探している個体や、完全に固まって、あたかも眠っているかのような個体までさまざま見ることができ、アマミノクロウサギも何度も見ることができました。またこの日は間近からリュウキュウコノハズクの声が聞こえていました。
16日、この日は天気予報通り、早朝からすっきりした青空が広がっていました。早朝に予定は入れていなかったことから朝食後の08:00に出発して森に向いました。前日の風もなくなって穏やかな中、現地に到着後は早速、森に入って探鳥しました。まずは枯れ木に3羽のズアカアオバトが止まっていて、木の実にはアマミシジュウカラ、アマミヤマガラが集まっていて、観察しているとリュウキュウサンショウクイもやってきてくれました。遊歩道を歩くと、ここまでなかなか見られずに苦労してきたオーストンオオアカゲラの声が聞こえ、まずは倒木に止まって餌を探しているメスをじっくり観察することができました。その後はアカヒゲのさえずりが聞えたことから行ってみると、朗々とさえずっているアカヒゲを見ることができ、ここでも足元の倒木をせっせとつついているオーストンオオアカゲラのオスを見ることができました。その後もしばらくアカヒゲを観察していると、どこからともなくルリカケスが飛んできて地上に降り、歩きまわって餌を探している姿を見ることができました。さらに歩くと木の実を食べているズアカアオバトを間近に観察することができ、その後は一旦昼食の時間にしました。この日は名瀬港に海外からの豪華客船がきていて、その船で来島した外国人観光客が乗った大型バスが次々にやってきていて森の中は過去一番に賑わいでした。昼食後はここまでよくルリカケスが見られている場所に行ってみると、ここでは地上を歩き回っているミナミトラツグミに出会うことができ、最後は木に止まっている状態で見るという珍しいシーンに出会うことができました。その後は再び梢でさえずっているアカヒゲを観察して、その後は場所を変えてみました。ここでは毎回、リュウキュウツバメが見られていることから行ってみると、まずはマングローブ林付近の干潟で踊るように小魚を追っているクロサギが見られました。その後、広場を覗いてみると驚いたことにコシャクシギが歩き回っていました。春には国内でも多少観察例はあるものの、非常に珍しい鳥だけに時間をかけて観察、撮影しました。また付近を見てみると黄色と灰色のコントラストが美しいマミジロツメナガセキレイ、タイワンハクセキレイがそれぞれ2羽いて、歩きまわっていました。橋まで行ってみるとリュウキュウツバメが飛び回っていて、1羽のヒメアマツバメが混じっていました。また川沿いではシロハラクイナ、イソシギの姿もありました。その後はホテルに向い夕食後にナイトツアーに出かけました。この日は天候も良く無風ながらアマミヤマシギの出現が極めて少なく、一方でアマミノクロウサギは相変わらず絶好調で、何度も何度も見ることができました。ただ最後の最後でようやく道の真ん中でじっとしているアマミヤマシギに出会うことができ、じっくりと観察、撮影することができました。
17日、雨もなく風もなく穏やかな中、この日はまだまだ真っ暗なうちに出発して林道に向い、ミナミトラツグミを探してみました。日の出は06:00のためまだまだ真っ暗な中をゆっくり走ると、各所でアマミノクロウサギに出会うことができ、ミナミトラツグミのさえずりが響いてきたことから、車を降りてそのさえずりを聞いていただきました。薄暗い森から聞こえるトラツグミとは全く異なるアカハラのようなまろやかなさえずりは、早朝の奄美大島にはぴったりといった感じがしました。さらに明るくなってきた頃には、地上採食しているミナミトラツグミに出会うこともできました。その後はアカヒゲが朗々とさえずる中、ホテルに戻って朝食をいただき、その後はどんよりとした曇り空の下、08:00に再出発して森に向いました。現地ではやや風がでてきたようでしたが、この日はここまでしっかり見られていない、ルリカケスを探してみました。まずは駐車場から展望台に向って枯れ木に止まる個体に期待してみました。枯れ木にはズアカアオバトが止まっていてじっくり見られ、直後には機体通り2羽のルリカケスが枯れ木に止まってくれました。その後、さらに1羽が止まってくれたため全身が見える形でルリカケスを見ることができました。また周辺では昨日に引き続いてミナミトラツグミが見られ、この日は木に止まっている姿や地上採食する姿を見ることもできました。その後は森に入って、この日もよくさえずっているアカヒゲを見ることができ、最後は別の場所で再び地上を歩いているミナミトラツグミに出会うことができ、このツアーを締めくくってくれました。
今回は到着遅れや強風もあって特に初日はコンディションが悪かったですが、アカヒゲ、ルリカケス、オーストンオオアカゲラ、そしてミナミトラツグミも複数回見る幸運があり、ナイトツアーでは相変わらずアマミノクロウサギが何度も見られ、アマミヤマシギも間近に見ることができました。さらに今回は渡り途中と思われるコシャクシギ、マミジロツメナガセキレイ、タイワンハクセキレイにも出会え、ズアカアオバトやリュウキュウサンショウクイ、初日にはセイタカシギやコアオアシシギ、オジロトウネン、ウズラシギ、ヒバリシギといったシギチドリ類も楽しめました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史