【ツアー報告】ヤドリギに群れるレンジャクに会いたい! 2025年3月13日

(写真:イカル 撮影:伊藤暁郎様)

冬鳥と呼ばれる野鳥たちは毎冬必ず渡ってくるわけではないため、バードウォッチャーにとってはこの冬に見られるのか見られないのか気になるものです。その代表種ともいえるのが今回タイトルにもなっているレンジャクの仲間。日本では主に2種が知られていますが、いずれも独特の風貌、さらにはヤドリギとの共生という特徴などから毎冬注目されています。毎年、11月中下旬には北海道各地から飛来情報をいただいているのですが、この冬はレンジャク類をはじめ、多くの冬鳥情報がなく、平地ではツグミやシメ、カシラダカ、オオジュリンといった普通種の少なさも目立つ状況になってしまいました。

13日、通常、日帰りバスツアーは連続して企画することが多いのですが、前日の12日は過去の気象データを見る限り、かなりの確率で雨が降っていることからこの日にしたのですが、予報は当たったようで前日は雨の1日でした。この日はその雨も上がって東京駅前は早朝から晴れていて驚いたことに最高気温は21℃になるとのことでした。この日も08:30に東京駅前を出発して群馬県に向かいました。移動中は主にレンジャク類の生態の話をはじめ、この日に見られそうな鳥の解説などをしながら進み、途中休憩を挟んでも2時間ほどで現地に到着しました。この日は初夏のような陽気で暖かく、歩いていると汗ばむようでした。まずは付近のヤドリギから見ていき、その後は芝生広場に行ってみました。ここではツグミ、カワラヒワが歩きまわり、ヤマガラが寄ってきて楽しませてくれました。また池のカモ類はかなり減ってはいたものの、コガモ、ホシハジロに混じって、たった1羽ながら、美しいオシドリのオスの姿がありました。林に入るとこの日は意外と閑散としていましたが、ヤドリギのある場所ではかなりの数のイカルが見られ、次々に地上に降りては餌を食べるシーンをじっくり見ることができました。また観察中にはジョウビタキのメスが見られ、上空をノスリが飛んでいました。その後は各自昼食の時間とし、午後からは赤城山のヤドリギのポイントに行ってみることにしました。登っていくとわずかながら雪が見られ、この頃からはやや風が強くなってきていました。標高がやや高くなったことから期待して周囲を探してみましたが、ここでも残念ながらレンジャク類の姿はなく、早々にこの日最後の探鳥地に向かいました。この頃にはさらに強風が吹き荒れる状況でしたが、到着後に池に行くと、この日もオシドリの声が聞こえてきていて、マガモやコガモ、カルガモに混じるように30羽ほどのオシドリが見られ、中には倒木や木に止まっている個体もいました。その後は強風のため観察が困難な状況だったものの、カケスが飛び、芝生広場にはツグミの姿がありました。また、飛び立った数羽のカシラダカが桜の木に止まってくれました。その後はさらに林の奥に進むと、ここでは小川のせせらぎに、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロがやってきて水浴びをし、付近ではカシラダカ、アオジが見られ、帰り間際にはロウバイに止まるホオジロの姿を見てこの日の探鳥を終えました。

この冬は早い段階からレンジャク類をはじめ、さまざまな冬鳥の飛来情報が全くなく、しかもツグミやシメといった普通種ですらほとんど見かけない冬になってしまいました。その状況がそのまま反映されてしまい、この日も期待していたレンジャク類の姿はありませんでした。ただここまでほぼ見ることができなかったツグミが群れ、カシラダカ、アオジ、カケスといった冬鳥が多く見られ、イカルの群れやオシドリの群れが盛り上げてくれました。毎冬こういった状況ではありませんのでぜひ来年またチャレンジしていただけましたら幸いです。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

オシドリ 撮影:小幡恭子様

 

ホオジロ 撮影:伊藤暁郎様

 

ヤマガラ 撮影:小幡恭子様

 

ツグミ 撮影:伊藤暁郎様

 

イカル 撮影:小幡恭子様

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