【ツアー報告】ヤドリギに群れるレンジャクに会いたい! 2025年3月11日

冬鳥と呼ばれる野鳥たちは毎冬必ず渡ってくるわけではないため、バードウォッチャーにとってはこの冬に見られるのか見られないのか気になるものです。その代表種ともいえるのが今回タイトルにもなっているレンジャクの仲間。日本では主に2種が知られていますが、いずれも独特の風貌、さらにはヤドリギとの共生という特徴などから毎冬注目されています。毎年、11月中下旬には北海道各地から飛来情報をいただいているのですが、この冬はレンジャク類をはじめ、多くの冬鳥情報がなく、平地ではツグミやシメ、カシラダカ、オオジュリンといった普通種の少なさも目立つ状況になってしまいました。

11日、この日の関東地方の天気予報はほぼ全域が曇り予報で、南部を中心ににわか雨があるだろうとのことでした。そのため東京駅前も早朝からどんよりとした空模様でいくぶん肌寒く感じました。集合は予定通りに完了したことから08:30に東京駅前を出発して群馬県に向かいました。移動中は主にレンジャク類の生態の話をはじめ、この日に見られそうな鳥の解説などをしながら進み、途中休憩を挟んでも2時間ほどで現地に到着しました。途中、一時的に霧雨程度はあったものの現地は雨は降っておらず、意外なことに空はやや明るくなっているように感じました。ひとまず各自、観察機材の準備をしていただいてから観察を開始しました。ますは周辺のヤドリギを見てみましたが実りは良いようで黄緑色の実がびっしりついていました。残念ながらレンジャク類の姿はなかったものの、ジョウビタキのオスが見られ、エナガは早くもつがいで行動していました。池のカモ類もだいぶ数が減っていてコガモ、カルガモ、マガモ、オオバンがわずかに見られた程度でした。芝生広場ではここまでほとんど見ることがなかったツグミが数多く歩きまわり、カワラヒワが木の実をつついていました。林の中からは春を思わせるようなイカルのさえずりが聞こえ、行ってみると50羽以上はいようかというイカルの大群が飛び回っていました。しばらく見ているとイカルの群れは次々に地上に降りて採食をはじめ、付近にはこちらもこの冬になかなか見られなかったシメが数羽で地上採食していました。また最後には羽で歩き回っているビンズイも見られましたが残念ながらレンジャク類の姿がなかったことから各自昼食の時間とし、午後からは赤城山のヤドリギのポイントに行ってみることにしました。登っていくと次第に雪が見られ、到着すると道路脇にはまだまだ雪が残っていました。標高が高くなったことから期待して周囲を探してみましたが、ここでも残念ながらレンジャク類の姿はなく、この日最後の探鳥地に向かいました。小雨が降り出す中でしたが、林に入ると複数のカケスが飛び回り、池からはオシドリの声が聞こえてきたことから行ってみると、30羽ほどのオシドリが見られ、中には木に止まったり、飛び回っている個体もいました。芝生広場に行くとここでもツグミの群れが見られ、地上から飛び立った数羽のカシラダカが桜の木に止まってじっくりと姿を見せてくれました。その後も時間いっぱい園内を散策し、シジュウカラ、ヤマガラが間近に見られ、地上を歩き回るシロハラを見て、この日の探鳥を終えました。

この冬は早い段階からレンジャク類をはじめ、さまざまな冬鳥の飛来情報が全くなく、しかもツグミやシメといった普通種ですらほとんど見かけない冬になってしまいました。その状況がそのまま反映されてしまい、この日は期待していたレンジャク類の姿はありませんでした。ただここまでほぼ見ることができなかったツグミやシメ、カシラダカ、カケスといった冬鳥が多く見られ、イカルの群れやオシドリの群れが盛り上げてくれました。毎冬こういった状況ではありませんのでぜひ来年またチャレンジしていただけましたら幸いです。またこの日は東日本大震災からちょうど14年。こうして平和に鳥を見て過ごせることに感謝しつつ過ごした1日でした。

石田光史

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