【ツアー報告】フォトツアー2月の冬の道東めぐり 2025年2月23日~26日

(写真:シマエナガ 撮影:正木彰様)

冬の定番になっている冬の道東めぐりも早いものですでに20年近く担当させていただき、過去、毎年のようにコースを変えながら催行してきました。当時はタンチョウ、シマフクロウ、オオワシ、オジロワシが主役でしたが、シマフクロウに関しては厳冬期の出現率が極めて低いうえ、観察場所が混雑しているため、出現率が極めて高く、観察場所が空いている初冬に移行しました。それに代わって加わったのがシマエナガ、そして私的に応援している落石クルーズです。シマエナガは一気に人気が高まり、今や冬の北海道では外せない鳥になりました。また落石クルーズではほぼこのクルーズでしか見ることができない謎めいた海鳥、ウミバトをはじめとしたウミスズメ類やラッコの撮影に期待できます。これによりシマエナガをはじめとした小鳥類、流氷のオオワシ、オジロワシ、タンチョウの塒および雪原で乱舞するタンチョウ、エゾフクロウ、そしてコオリガモをはじめとした海ガモ類、最後はウミスズメ類とほぼ全てが撮影可能な4日間コースが完成しました。

23日、一度は去って行った強烈寒波が、この連休から再び東北、北陸地方に襲来してきて大きなニュースになる中、我々が訪れる道東は幸いにも晴天予報が出ていました。この日の東京都内は早朝から見事なまでの快晴で、風も弱く穏やかでした。トラブルなく羽田空港にご集合いただいた後は資料の配布、この日の連絡事項をお伝えしてから予定通り搭乗して現地に向いました。少々遅れがあったものの無事に到着した現地は青空が広がっていて、先週に比べてかなり積雪が減った印象でした。この日は空港から直接、宿に向かう予定だったことから、荷物を積んで早速出発しました。先週とは異なり、ほぼ路面が見えている状況の中を進むと、途中、美幌峠では見事な屈斜路湖を望むことができました。いつも吹雪いている印象が強いのですが、この日は青空と雪のコントラストが見事でした。宿に到着後は一旦お部屋に入っていただいてから各自撮影機材の準備をしていただき、その後は宿の庭にてシマエナガをはじめとした小鳥類を撮影しました。この時間は驚くほどに暖かく、ダウンジャケットを着なくてもいられるような陽気で暖かな日差しもあって快適な撮影ができました。驚いたことにこの時間はシマエナガが途絶えることなくやってきていて、息つく暇もない状況で、ほかにもハシブトガラ、シジュウカラ、シロハラゴジュウカラがひっきりなしにやってきては餌をついばみ、先週は見られなかったウソのつがいもやってきていました。またオオハクチョウが上空を飛んで行く姿もみられ、気が付くと15:30を過ぎていて、この頃からはさすがに冷え込みが厳しくなってきていました。一旦、撮影を終えて暖をとった後は17:15からエゾモモンガの撮影を行わせていただきました。ただここ数日は姿が見られていないとのことでどうなることかと心配していました。すると悪い勘が当ってしまったようで、18:00まで待ってみましたが、この日は残念ながら餌場に向って飛びたっていくエゾモモンガを見ることはできませんでした。

24日、この日の早朝の気温は-13℃でまずまずの冷え込み。空には星が輝いていて絶好のコンディションになるだろうと期待しながら04:30に出発して鶴居村に向いました。観光パンフレットなどでもおなじみのタンチョウの塒は、まず天気が良くかなり冷え込むこと、そして風がないという条件がうまく重なって最高の条件になります。このバランスが川霧と霧氷と朝陽いう要素を作り出し、見事な光景を作り出します。当然、なかなか良い条件に当らないのですが、この日はいずれの条件も満たしていて期待して現地に向いました。1時間ほどで現地に到着するとこの日はなかなかの込み具合で、我々もバスを降り橋の上から中州に佇むタンチョウたちを見ながら準備にとりかかりました。日の出時刻の06:10が近づいてくると、川霧は勢いを増し、川沿いの木々にはみるみる霧氷がついてきました。そんな中をカワアイサが続々と飛び立って行き、どこからともなくセグロセキレイが飛んできていました。塒にいるタンチョウたちも鳴き交わしたり、ダンスをしたりと動き出し、日の出時刻を過ぎた06:30頃からは朝陽が霧氷を照らし出して幻想的な光景が広がってきました。そしてここでは08:00まで撮影し、その後はエゾフクロウの撮影に向かいました。エゾフクロウはいるのかいないのか運次第といった感じで、見られなかったり、1羽だったり2羽だったりとさまざまですが、この日は幸いにも2羽で休んでいる姿を見ることができました。ただエゾフクロウは日中は寝ているため長時間の撮影は避け、この日も10分ほどの滞在で移動しました。次のポイントは基本的には観光客の方のため用といった感じがあるため、普段は行っていないのですが、この冬はマナヅルがよく見られているため行ってみました。ただこの日はマナヅルの姿はなく、ひとまず雪原で鳴き交わしやダンスをするタンチョウたちを撮影することにしました。ただしばらくすると次々にタンチョウが飛んできては降り、よく見るとその中にマナヅルが混じっていて、雪原にはあまり似つかわしくない姿を見ることができました。その後はサンクチュアリーに移動して、ここからは1時間ほどタンチョウの撮影を行いました。この日は快晴のため雪の照り返しが強く、風もなく穏やかだったことから厚着をしていると暑く感じるほどでした。この時間も鳴き交わしや求愛ダンス、そして塒から飛んでくる個体、飛んでいく個体などさまざまを撮影することができました。そして11:00には鶴居村を後にして宿に向いました。この日は宿周辺も快晴無風で、バス車内ではさらに暑さを感じるほどでした。各自昼食をとった後はそれぞれシマエナガの撮影に取り掛かっていただき、この日もハシブトガラ、シジュウカラ、シロハラゴジュウカラを中心に、ほぼ途切れることなくやってくるシマエナガの大小さまざまな群れを撮影することができ、ウソが2つがい、アカゲラが2個体、そしてコゲラ、オオアカゲラもやってきてくれ、最後はヒヨドリもやってきてこの日の撮影を締めくくってくれました。

25日、この日は流氷に群れるオオワシ、オジロワシ撮影のため羅臼町に向かいました。ただこの冬は流氷の接岸がないことはもちろん、ここまで知床半島を超えてくる気配もありませんでした。ただここ数日の北風のおかげで一気に流氷が南下し、2日前には今季初となる流氷への到達がありました。前日も流氷の位置はかなり近かったとのことで期待して出発しました。出発後はひたすら真っ白になった広大な大地の中を走り、途中では日の出間近の快晴の空が真っ赤に染まっていく様子が見られました。その後はやや雲が出てはきましたが、天気は概ね良い状況で、到着した現地では空には青空が見えてきていました。ただ流氷は一晩のうちに陸地から離れてしまったとのことで08:10に出航した後は20分ほど航行して流氷帯を目指しました。しばらくすると海上に真っ白い流氷の帯と、おびただしいオオワシ、オジロワシの姿が見え、やや波があったものの船をうまく流氷に接近させて、オオワシ、オジロワシの撮影を行いました。流氷に止まっているワシたちは間近に見えるため迫力があり、また上空を飛んできて急降下する姿は見応えがありました。一通り撮影していると付近にかなりの数のシャチがいるとのことで、行ってみることにしました。すると雪を冠した知床の山々を背景に潜水と浮上を繰り返すシャチの群れがいくつもみられ、初夏に最盛期を迎えるシャチたちには似つかわしくない風景の中でシャチを見るという珍しいシーンを見ることができました。シャチたちは一旦、姿を消してしまいましたが再び現れ、最後は隊列を組むように一列に並んで我々の船に並走するように泳いでくれました。その後は少々時間を使って堤防付近でオオワシ、オジロワシの撮影を行い、再び迫力あるワシたちの姿を撮影してクルーズを終えました。下船後は野付半島に向いました。野付半島ではゆっくりと走りながら鳥の姿を探しましたが、この冬はなかなか小鳥類の姿はなく、シロカモメやエゾシカ、キタキツネを撮影しながら進み、最後には数羽で地上採食しているハギマシコに出会うことができました。到着した野付半島ネイチャーセンターにて時間をとって昼食をとっていただき、ここではクロガモの群れを撮影してから移動しました。ただここで海上に群れているコオリガモに出会うことができ、1羽のメスを盛んに追い回している10羽ほどのオスの面白い行動を撮影することができました。その後は漁港に行ってみると、幸にもたった羽ながらコオリガモのオスの姿があり、しばらく待っているとバスの真下までうやってきてくれ、さらにはウミアイサも間近にやってきてくれたことからうまく撮影することができました。またお隣の漁港ではシノリガモ、ホオジロガモ、ワシカモメ、そしてコオリガモのつがいも撮影することができ、休憩後は別の漁港に向いました。ここでは堤防やテトラポットに止まっているオオワシ、オジロワシが意外なほど多く見られ、河口部ではここでもオオワシ、オジロワシ、さらにはカワアイサのつがいが見られ、見る見る傾いて行く夕陽を見ながら、最後は道の駅で休憩後にホテルに向いました。

26日、この日は落石クルーズに乗船予定でしたが急激に接近してくる低気圧の影響から西風が強まって欠航になってしまったことから根室半島をめぐることにしました。朝食後に外に出ると天気はまずまずでしたが強烈な風が吹き荒れていて、街路樹が大きく揺れていました。まずは昨日、行くことができなかった港に行くと、漁港内であるにも関わらず波立っていて、意外なほどにカモ類の姿がなく、わずかにヒメウ、コオリガモ、シノリガモが見られたのみで納沙布岬方面に移動しました。ここでは先々週あたりからケアシノスリが見られているため探してみましたが見つからず、一旦別の漁港に行くことにしました。ここでは漁港内にキンクロハジロ、ホシハジロが浮いていて、残念ながらすべての個体が寝てしまっていましたが、その中に混じる1羽のオオホシハジロを見ることができました。その後は休憩を挟んでから再びケアシノスリを探しに行ってみました。すると道路脇の枯れ木に止まっているケアシノスリを見ることができ、飛び立ってはしまいましたが、特徴的な翼上面の白斑を見ることができました。その後はしばらく待ってみましたが現れることはなく、時間になったことから空港に向いました。

国内ツアーとしては長い日程で、朝も早く、船に乗る行程もあってお疲れだったのではないでしょうか。今回はなんといってもここまで全く気配がなかった流氷がちょうどよいタイミングで南下してくれ、ようやく「流氷とワシ」の撮影ができたことが幸運でした。またシャチの群れもいてくれたことから、合わせて楽しむことができ大いに盛り上がりました。ほかにもタンチョウの撮影は快晴無風の好条件になり、新たな主役となった可愛らしいシマエナガも期待通り撮影三昧で、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、オオアカゲラ、アカゲラ、ウソも撮影でき、可愛らしいエゾフクロウは2羽で見られ、コオリガモも間近で撮影できました。最終日は落石クルーズが強風により欠航になってしまいましたが、代わってケアシノスリに出会うことができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

オオワシ 撮影:正木彰様

 

エゾフクロウ 撮影:正木彰様

 

タンチョウの塒 撮影:正木彰様

 

シャチ 撮影:正木彰様

 

ウソ 撮影:正木彰様

 

タンチョウ 撮影:正木彰様

 

カワアイサ 撮影:正木彰様

 

マナヅル 撮影:正木彰様

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