【ツアー報告】冬の信州でイスカに会いたい! 2025年2月10日~11日

人気のある赤い鳥の中でも特徴的な嘴を持っているイスカは日本国内では冬鳥とされていますが夏季にも見ることがあり、少々謎がある鳥です。また毎冬毎冬飛来するわけではないためなかなか出会いのチャンスがないのも事実で、出会うことはなかなか難しいのが現実です。イスカは特にマツの種子を好んで食べるため針葉樹の林を探すことが重要で、松かさをこじ開けやすいよう嘴が互い違いになっていることが最大の特徴です。この嘴を使ってマツなどの針葉樹の種子をついばんで食べるためこういった採食シーンが見られればとも思いツアーを企画しています。またツアーではここ数年、皆様からのリクエストが増えているシングル部屋を利用したプランにしています。ただこの冬はどこに行っても冬鳥の姿が少なく、友人、知人に聞いてもほぼ同じ回答がくるといった状況です。冬鳥に関しては数年に一度、こういった現象があることは知られていますが、何かと心配になります。ただ、先週、先々週と続いていた過去最高寒波は一旦去り、この日間は新潟県や北陸、東北地方の一部では大雪があるとのことでしたが、我々が訪れる長野県中南部は2日間を通して快晴の予報が出ていました。

10日、先週、先々週と続いていた最強寒波は、新潟県や東北地方の一部ではまだまだ続いているようでしたが、長野県中南部では一旦去り、この2日間は晴天で風も弱く穏やかな陽気になるとの予報が出ていました。このツアーは遠方からのご参加も可能になるようにとの考えから、集合時間を通常よりもやや遅めの東京駅前09:00にしていて、早朝からすっきりした快晴の中、順調にご集合いただいたことからひとまず中央自動車道を走りました。バス車内ではいつものようにこのツアーで見られそうな鳥の解説やイスカの話、さらには現地の状況やここまでのツアーの状況などをお伝えしながら進めました。ただこの日は首都高速で早くも事故渋滞が発生したことから、事故箇所を避けるために一旦一般道を走って調布ICまで移動して再び高速道路を走りました。ただこの時点で時間になろうかとしていたことから、まずは石川PAで休憩をとることにしました。休憩中に時間読みをしたところ、ちょうど12:00には双葉SAに到着できる見込みだったことから再度出発して双葉SAで昼食の時間をとることにしました。そしてちょうど12:00に双葉SAに到着後は各自昼食をとっていただき、その後は雪を冠した美しい八ヶ岳を見ながら走り、ほぼ快晴無風の現地に到着しました。このツアーでは当日の現地の気温、路面状況が今一つわからないことから現地到着直前のサービスエリアで時間を取り、ここで現地の状況を各自で判断していただき身支度などを整えていただけるようにしています。各自準備が終わったことからいよいよ現地に向って移動しました。バスを降りるとまさに快晴無風、積雪は前日とほぼ変わっていないような印象でした。早速、周囲にはヤマガラ、ヒガラ、コガラ、コゲラの混群がやってきて賑やかになりました。さらに歩くとこの日は快晴のため、美しい展望を楽しむことができ、ふと見るとカヤクグリが地上採食していました。必死に餌を探しているためか、それほど警戒する様子もなく、斜面を登ったり、降りたりしていました。観察後には付近のヌルデの実にやってきているルリビタキのメスが見られ、道路の反対側に飛んでいってしまったことから探してみると、今度は真っ赤なベニマシコが草に止まってその姿を見せてくれました。さらに歩くと再びベニマシコの姿があり、オスとメスで草の実をついばんでいました。その後は地上で餌を探しているシロハラ、木の実にやってきているヒヨドリが見られたものの、イスカ、オオマシコの姿はなく、折り返しました。帰る途中でも再びカヤクグリに出会うことができ、陽が傾いてきた16:30にこの日の探鳥を終えました。

11日、この日も早朝から青空が広がっていて、ほぼ快晴といった感じで風も弱く、昨日に引き続いてそれほど厳しい寒さを感じることはありませんでした。朝食後に出発して現地に向かい、まずは途中でトイレに立ち寄りましたが、雪はやや融けていて、昨日に比べると路面が多く見えているように感じました。その後は昨日と同じルートを歩いてみましたが、バスを降りると雪の上を歩いているホオジロの姿があり、さらに見ると周辺にはホオジロのほか、シジュウカラの姿もありました。また付近にはジョウビタキのメスもいて、地面に降りては餌を捕っていました。その後は昨日同様に積雪のある道を歩きましたが鳥の気配は少なく、松林でヒガラ、ヤマガラ、コガラ、コゲラの混群が見られた程度で、少々早めに折り返しました。すると林の中で動き回っているルリビタキのメスに出会うことができ、しばらく観察していると明るい場所に出てきて楽しませてくれました。さらに歩いていくと、今度は青いルリビタキが林から現れて対岸にあるヌルデの実をついばんでは戻るといった行動をくり返していて、美しい青色の姿を堪能することができました。その後は一旦、バスに戻ってトイレに立ち寄り、まだまだ時間があったことからもう一カ所行ってみました。ここは道路は全く積雪がなく、比較的歩きやすい印象でした。まずはイカルが上空を通過し、歩いて行くとジョウビタキのオスが地上に降りては餌を捕り、その後はガードレールに止まるといった行動を繰り返していました。さらに歩くもこの日はなかなか鳥の姿はなかったですが、ようやく畑地でカワラヒワの姿があり、遠くの針葉樹林からカケスが飛びたちました。さらにどんできたアカゲラが枯れ木に止まってしばらくじっとしていたため望遠鏡を使ってじっくり観察することができました。そして最後は木の実についていたシロハラを見て公園に向いました。途中、各自昼食の準備をしていただき、昼食後は湖畔で探鳥をしました。湖面を眺めると真っ白いミコアイサのオスが見られ、遠くには6羽のコハクチョウが群れていました。水門付近まで行くと、カルガモ、キンクロハジロが見られ、この日は間近に数羽のミコアイサが群れていました。特にオスは逆光ぎみの光線に照らしだされ、白さが際立って美しく見えました。またこの日もホオジロガモの群れが見られ、1羽のオスを7羽のメスが取り囲むように潜水と浮上を繰り返していました。ほかにもコサギ、アオサギ、そして岩の上にはじっととまっているカワセミの姿もありました。その後は再び湖面を眺めてみると、間近にカワアイサのオスが浮上したことから行ってみました。最初の個体は我々から離れるように移動してしまいましたが、小さな漁港付近には別の個体がいたことから行ってみることにしました。するとカワアイサのオスがまずは見られ、さらに近い距離にはメスが浮いていたことから両方をじっくりと観察することができ、付近にはオス3羽メス1羽の計4羽のミコアイサもいて、しばらく見ていると間近にやってきてくれたことから、合わせてじっくりと観察することができました。そしてバスに戻る途中ではカンムリカイツブリも間近にやってきてくれ、この日は今回訪れた6日間の中でも特に天気が良かったことから、遠くには雪を被った美しい八ヶ岳が見られるなど、見事な風景もたっぷりと楽しむことができました。

とにかくこの冬は冬鳥の渡来状況が極めて悪く、日本各地から悪いニュースばかりが入ってくる状況でした。結果的にはその状況がそのまま出てしまった形になり、今期は3回ツアーを催行させていただきましたが、今回もイスカ、オオマシコともに声すらもないといった状況で出会うことができず残念でした。ただ天候は2日間ともにほぼ快晴で風もなかったことから積雪量の割には厳しい寒さを感じることなく過ごすことができました。鳥は少なかったですが、カヤクグリを間近にじっくりと見ることができ、真っ赤なベニマシコや青いルリビタキ、ジョウビタキ、アカゲラ、シロハラ、ヒガラ、コガラ、ヤマガラなどが見られ、湖畔ではミコアイサ、カワアイサ、ホオジロガモなどのカモ類を楽しむことができました。今回は残念でしたがぜひまたチャレンジしてください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

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