【ツアー報告】冬の信州でイスカに会いたい! 2025年2月8日~9日

(写真:ルリビタキ 撮影:AI様)
人気のある赤い鳥の中でも特徴的な嘴を持っているイスカは日本国内では冬鳥とされていますが夏季にも見ることがあり、少々謎がある鳥です。また毎冬毎冬飛来するわけではないためなかなか出会いのチャンスがないのも事実で、出会うことはなかなか難しいのが現実です。イスカは特にマツの種子を好んで食べるため針葉樹の林を探すことが重要で、松かさをこじ開けやすいよう嘴が互い違いになっていることが最大の特徴です。この嘴を使ってマツなどの針葉樹の種子をついばんで食べるためこういった採食シーンが見られればとも思いツアーを企画しています。またツアーではここ数年、皆様からのリクエストが増えているシングル部屋を利用したプランにしています。ただこの冬はどこに行っても冬鳥の姿が少なく、友人、知人に聞いてもほぼ同じ回答がくるといった状況です。冬鳥に関しては数年に一度、こういった現象があることは知られていますが、何かと心配になります。また前週には過去最高寒波襲来とのことで、北海道、北陸を中心に記録的な積雪が話題になっていて、その寒波は一旦去ったものの、この日は再び最強寒波が襲来して北陸や長野県北部にも大雪警報が出ていました。ただ幸いにも我々が訪れる長野県中部は2日間を通して曇りから晴れといった予報が出ていました。
8日、前週の最強寒波は一旦去ったものの、この日は再び寒波がやってきていて長野県北部にも大雪警報が出ていました。ただこの日の東京都内は早朝から雲一つない快晴で、現地の天気予報も曇りから晴れてくるとのことでした。このツアーは遠方からのご参加も可能になるようにとの考えから、集合時間を通常よりもやや遅めの東京駅前09:00にしています。今回は西日本の雪の影響で集合時にトラブルがあったものの、結果的には予定よりも10分ほど早く東京駅前を出発して、ひとまず中央自動車道を走りました。バス車内ではいつものようにこのツアーで見られそうな鳥の解説やイスカの話、さらには現地の状況や前回のツアーの状況などをお伝えしながら進めました。ただこの日は相模湖IC付近で事故が発生したとのことで渋滞が始まり、処理に時間がかかったのか、意外なほどの大渋滞に発展してしまいました。そのため予定していた談合坂SAにはとても到達できないと判断し、その前にある藤野SAになんとか到着できましたが、もうこの時点で出発してから3時間を過ぎていました。そのまま昼食の時間にしようかと思いましたが、渋滞直後であることから車両の数が多く、安全に駐車できないことから、結果的には談合坂SAにて昼食の時間をとりました。その後も小さな渋滞に当りながら進み、途中、いきなり黒い雲がやってきて一時的に雪が降ったりしましたが、なんとか晴れている現地に到着しました。このツアーでは当日の現地の気温、路面状況が今一つわからないことから現地到着直前のサービスエリアで時間を取り、ここで現地の状況を各自で判断していただき身支度などを整えていただけるようにしています。各自準備が終わったことからいよいよ現地に向って移動しました。バスを降りると青空が広がっていて、さらには無風だったことから厳しい寒さはなかったですが、昨晩に積雪があったようで10cmほどの新雪に意外なほどの足跡がありました。早速、間近にシジュウカラがやってきてくれ、さらに新雪を踏みながら歩くと、ヤマガラとヒガラの混群が松林の中で動いていました。その後は各所で足を止めて声を聞いてみましたが、これといった反応はありませんでした。ただどこからともなく飛んできた青いルリビタキがしばらくの間、林の中を移動しながらその姿を見せてくれました。さらにやや雪が深くなる中を歩いて行くと、カラマツの数羽のベニマシコの群れが飛んできて止まり、道の反対側にあるイタドリにとりついて種子を食べ始めました。見てみると真っ赤なオスを含む数羽が群れで餌をついばんでいました。一旦、飛び去ってしまいましたが、さらに歩くと再び同じ群れに出会うことができ、最後はカラマツに止まって姿を見せてくれました。結果的には7羽の群れだったようでした。その後はさらに歩きましたが時間が来てしまったことから折り返し、戻る途中でもベニマシコの群れに再び出会うことができ、最後は2羽のホオジロを見てこの日の探鳥を終えました。新雪があって少々歩きづらかったですが、無風だったことから厳しい寒さを感じない1日でした。
9日、この日は早朝から青空が広がっていて、ほぼ快晴といった感じで風も弱く、昨日に引き続いてそれほど厳しい寒さを感じることはありませんでした。朝食後に出発して現地に向かい、まずは途中でトイレに立ち寄りました。すると付近の木にカケスが止まっていて、珍しくじっとしていてのんびり羽繕いをしていました。その後は昨日と同じルートを歩いてみましたが、バスを降りると早速、カラ類の混群が頭上にやってきて賑やかになりました。よく見るとヒガラ、ヤマガラ、コガラ、コゲラの混群のようで、松ぼっくりにはヤマガラが、ヌルデにはコガラがやってきて盛んにつついていました。その後は積雪がある中を歩いてみましたが、林の中は閑散としていて鳥の気配はなく、ようやく1羽で草の実をついばんでいる真っ赤なベニマシコに出会うことができました。さらに歩くと林の中を動き回るルリビタキのメスの姿があり、珍しくじっと木に止まってくれたことから望遠鏡を使って観察することができました。さらに歩くも鳥の姿は少なく、松の木にやってきているヤマガラを見るにとどまり、少々早めに折り返すことにしました。戻る途中では再びカラ類の混群に出会うことができ、カラマツの松ぼっくりをつつくヒガラ、さらにはコガラ、シジュウカラ、ヤマガラが見られ、上空を通過したカワウに対してエナガが警戒声を発していました。結果的には鳥の姿が少なかったこともあり、かなり早めに戻ったことから、もう一カ所立ち寄ってみることにしました。積雪は少なめでしたが、やはり鳥の姿は少なく、駐車場にはセグロセキレイの姿があり、草地から飛び立ったトラツグミが木に止まりました。さらに歩くと枯れ木にアオゲラが止まっていて、ヌルデの実のは青いルリビタキ、そしてシロハラがやってきて実をついばんでいました。付近にはジョウビタキ、そしてヒガラ、シジュウカラの姿もあって賑やかでした。そして最後は松の木に飛んできたアカゲラを見てから公園に移動して昼食の時間にしました。バス車内から湖面を見ると、間近にある漁港の中にカワアイサのつがいがいて、浮上と潜水を繰り返していました。昼食後にバスを降りると、今度は数羽のカワアイサの群れが我々の前をゆっくりと泳いでいき、やや距離はありましたがミコアイサのオス、さらには数羽のキンクロハジロの姿がありました。また遠くの湖面にはかなりの数のカンムリカイツブリが群れて浮いていました。河口まで行くとこの日はかなりの数のミコアイサが浮いていて、中にはブロックに上がって休んでいる個体もいました。さらにはホオジロガモの群れも見られ、1羽のオスを取り囲むように泳いでいる7羽のメスも見られました。バスに戻ってくる途中には枯れ木に止まっているモズが見られ全員で観察してツアーを締めくくりました。この日はほぼ快晴だったことから雪を冠した八ヶ岳が見られるなど、見事な風景が見られました。
とにかくこの冬は冬鳥の渡来状況が極めて悪く、日本各地から悪いニュースばかりが入ってくる状況でした。結果的にはその状況がそのまま出てしまった形になり、前回に引き続いて目的としていたイスカ、オオマシコともに声すらもないといった状況で残念でした。ただ天候は2日間ともに概ね良く、また風もなかったことから積雪量の割には厳しい寒さを感じることなく過ごすことができました。鳥は少なかったですが、ベニマシコやルリビタキ、ジョウビタキ、アカゲラ、アオゲラ、シロハラ、ヒガラ、コガラ、エナガなどが見られ、湖畔ではミコアイサ、カワアイサ、ホオジロガモなどのカモ類は見られました。今回は残念でしたがぜひまたチャレンジしてください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史