【ツアー報告】渡良瀬遊水池と城沼・多々良沼  2024年12月4日

(写真:ケリ 撮影:小林浩様)

今回は毎冬恒例となっている渡良瀬遊水地を中心に、周辺の湖沼をめぐる日帰りバスツアーです。ここ数年は狙いの種を絞って探鳥する「会いたいシリーズ」が増えましたが、このツアーのように特に狙いの種を決めていない場合は、各探鳥地をまんべんなくめぐるため観察種が多く、いろいろな野鳥が見たいと考えている初心者の方には特におすすめです。またこのツアーは東京から比較的近い場所に探鳥地あることから集合時間を08:30とやや遅めにしても十分にお楽しみいただけます。多々良沼、城沼はハクチョウ類の越冬地として知られ、カモ類も多いことから、それらを狙う猛禽類が多く、メイン探鳥地の渡良瀬遊水地は広大なヨシ原が広がる中で、チュウヒ、ハイイロチュウヒ、ノスリ、ミサゴ、チョウゲンボウなどの猛禽類、さらにはツグミ、ジョウビタキ、カシラダカ、シメ、ベニマシコといった冬鳥にも期待できます。ただ、冬の渡良瀬遊水地周辺は大変に風が強い探鳥地としても知られていて、特に夕方は寒さが厳しくなる傾向があります。ただこの日も前日同様に12月とは思えない快晴無風の予報が出ていて、驚いたことに最高気温は17℃。前日に引き続いて冬というよりも小春日和になる予報が出ていました。

4日、この日はやや雲が出てはいたものの、早朝からほぼ快晴の東京駅前にご集合いただいた後はこの日も東北自動車道を走りました。バス車内では数日前の下見時の内容や前日の状況を含め、この日に期待できる種の解説を行いながら進み、途中、サービスエリアでの休憩を含めても2時間ほどで最初の探鳥地に到着することができ、まずは観察機材の準備を行っていただきました。駐車場から湖畔に向かうと、早くも陸地に上がって草を食んでいるオオハクチョウの群れが見られ、周辺ではアオサギ、ダイサギ、コサギ、ハクセキレイの姿もありました。湖面は相変わらずカンムリカイツブリに占領されているかのようで、少数ながらキンクロハジロ、セグロカモメが見られ、傍らにはヒドリガモ、オナガガモが群れていました。来た道を戻るとヨシ原では魚を捕食しているカワセミが見られ、さらに歩くと林の中からシジュウカラ、エナガの声が聞こえ、ヨシ原にはスズメが群れ、メジロ、シジュウカラが盛んに水浴びをしていました。その後は少々移動してオナガガモの群れを見てみると、その中にたった1羽で混じっている美しいトモエガモのオスが見られ、周辺の木には身を隠すかのようにオオタカがじっと止まっていました。その後は次の湖沼まで移動して探鳥しました。ここではかなりハスが茂ってしまい、水面は一部しか見られませんでしたが、かなりの数のオナガガモの姿があり、オオバンの群れが草地を歩きながら餌を食べていました。ほかにもハスに隠れるようにバン、コガモ、マガモ、ホシハジロが見られ、時間がお昼を過ぎたことから一旦、付近にある公園で昼食の時間をとりました。昼食後は下見時にケリが見られた場所に行ってみましたが、この日は草地に佇んでいる2羽のケリが見られ、慎重に観察をしたものの警戒心が強く、あっという間に飛び去ってしまいました。そのため飛び去った方向に行ってみると草地に10羽ほどのケリが群れ、時折飛んでくるトビに威嚇行動をしているシーンや一斉に飛翔するシーンを見ることができました。また観察中には上空をハイタカが飛んでいました。そしていよいよ渡良瀬遊水池に向いましたが、途中にある畑地を走りながらミヤマガラスを探してみました。この日もそれほど大きな群れではなかったものの電線に止まっている10羽ほどの群れが見られ、額や嘴の特徴もしっかりと見ることができました。その後はいよいよ渡良瀬遊水地に移動することにしました。まずはヨシ原内にある池に向かうことにしまし、バスを降りると枯れ木に止まっているノスリが見られ、最初の池では間近に美しいヨシガモのオスが見られ、数羽のミコアイサのメス、コガモ、カルガモが見られました。さらに歩くと美しいヨシガモが群れ、付近にはカンムリカイツブリ、ミコアイサ、コガモなどはいたものの、この日は残念ながらメジロガモの姿はありませんでした。その後は谷中湖に向い、ここでも湖面には数多くのカンムリカイツブリが見られ、少数ながらハジロカイツブリも見られました。遊歩道沿いではヒヨドリ、そしてシロハラの姿があり、湖面が一望できる場所まで行くと、カモ類の少なさに驚いたものの、ミコアイサだけは比較的多く見られたほか、距離はありましたが30羽ほどのトモエガモも見られました。その後はコウノトリを探してもう一カ所いってみましたが姿はなく、最後は堤防上からヨシ原を眺めてみました。昨年から残念ながら猛禽類の塒はかなり奥になってしまいましたが、枯れ木に止まるチュウヒやノスリが見られ、ヨシ原上を飛ぶチュウヒ、ハイイロチュウヒのメスを見てこの日の探鳥を終えました。

渡良瀬遊水地は強風が吹き荒れることが多く、寒い探鳥地として知られていますが、この日に見た風景は木々がまだまだ青々としていたり紅葉が見られたりとまるで秋のようで、気温も高く前日同様にフリースすら必要がないという過去に記憶がない状況になりました。冬鳥やカモ類が少ない印象ながらもオオハクチョウ、ヨシガモ、トモエガモ、ミコアイサ、カンムリカイツブリなどが水辺を彩り、チュウヒ、ハイイロチュウヒ、ノスリなどの猛禽類、そしてミヤマガラスが見られ、この日は幸いにもケリが集団で行動しているシーンを堪能でき1日で計53種の野鳥たちに出会うことができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ジョウビタキ 撮影:坂東俊輝様

 

ハイタカ 撮影:小林浩様

 

メジロ 撮影:坂東俊輝様

 

ミヤマガラス 撮影:小林浩様

 

カワセミ 撮影:坂東俊輝様

 

ヨシガモ 撮影:小林浩様

 

トモエガモ 撮影:坂東俊輝様

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