【ツアー報告】アカショウビンを求めて!初夏の戸隠高原 <追加設定> 2015年6月2日(火)~3日(水)
夏鳥たちを繁殖環境で観察するのに最も適した5月。特にこの戸隠高原は私が最も得意としている探鳥地で、もう20年近く季節を問わず通っている場所です。鳥たちの個体数が多く、環境が良いせいか鳥が探しやすい印象があります。そしてここ数年、アカショウビンとの遭遇率が高いことから今回はよりその確率を上げるために、ツアー時期を遅めに設定しました。雪解け時期の関係からアカショウビンを探せる探鳥地にベストシーズンに行くことができない状況が多い中、なんとかこの地で出会いたいものです。
2日、前日までのツアーを終えて私は長野駅前に宿泊していましたことから、この日は長野駅にて皆様をお待ちしておりました。電車の遅れが少々ありましたがほぼ予定通りに皆様にご集合いただきましたので、まず今回お世話になるホテルに向かい、到着後は各自昼食をとっていただいてから探鳥に出かけました。ホテル周辺では営巣中と思われるニュウナイスズメが忙しく動きまわり、ホオジロ、ヒバリのさえずりが聞こえていました。最初のポイントではキセキレイのつがいが忙しそうに動き回り、カワラヒワが地上で採食していました。そして今回、なかなか見つからなかったコムクドリの姿もようやく見ることができ、最後はハチクマのつがいの飛翔を見ることができました。夕方に合わせて森に入りましたが、前回同様にまずはミズバショウの花を楽しみました。森の小道ではキビタキが歌い、望遠鏡を使って観察することができました。またこの日もアカゲラの姿が多く、何回も見ることができました。ほかにも地味な歌声のコサメビタキ、「ヒリリー、ヒリリー」と鳴き交わすサンショウクイ、薄暗い藪でさえずるコルリなどを観察し、途中からはツツドリの鳴き交わしが激しくなり、枝に止まっている姿を見ることもできました。結局、人の気配がなくなる18:00まで観察して終了しましたが、帰り道では地上採食するクロツグミのメスの姿があり、ちょっとした盛り上がりの中で探鳥を終了することができました。
3日、この日は天気予報が悪かったことから、やや遅めの05:00にホテルを出発しましたが、残念ながら天気予報よりも早めに雨が降り始めてしまいました。天候が悪いため歩く距離を短めにして範囲を絞っての探鳥にしましたが鳥たちは意外に元気で、早朝らしくアカハラのさえずりが聞こえ、笹のある環境ではクロジのさえずりが聞かれました。またミソサザイが間近に見られ、尾羽を立ててさえずる可愛らしい姿も見られました。この日はなぜかホトトギスの鳴き合いが激しさを増し、最後は針葉樹のてっぺんでさえずるクロツグミの姿も見られました。
朝食後も天候が回復しないことから鏡池までのルートを往復することは止め、足場の良い木道を中心に歩くことにしました。みどりが池では営巣中のカイツブリが見られ、湿地帯ではアカハラが大声でさえずっている姿を見ることができました。天候が悪いにも関わらずこの日も相変わらずキビタキは元気で、各所でその美しい姿をじっくりと見ることができました。そして最後は「リー」と鳴きながらキバシリが登場したため観察していると、間近にあった朽木に止まるオオアカゲラの姿を見る機会に恵まれました。気がつくとすでに雨は止んでいて、昼食のためにホテルに戻る頃には青空が見えはじめていました。そしてホテル脇ではノスリの姿がありました。
昼食後も森に入ることにしましたが、雨上りのためか鳥たちの動きは活発なようで、いきなりキバシリが間近に現れて幹を登る様子をじっくりと見せてくれ、付近ではカケスが騒いでいました。その後はアカハラがさえずる様子を再び見る機会があり、アオジがじっと横枝に止まって歌っていました。そして最後は僅かな時間ながら、ようやくノジコの姿を見ることができました。
今回は残念ながら2日目の午前中が雨になってしまい、少々ご苦労があったように思いました。また、期待されたアカショウビンに出会うことができず心残りになってしまいましたが、キビタキ、アカゲラの姿が目立ち、オオアカゲラ、キバシリ、クロツグミ、コルリ、ミソサザイ、コムクドリ、ノジコなど、この地を代表する種をそれぞれじっくりと観察することができました。次回は秋にひっそりとした森でムギマキとマミチャジナイを中心にカラ類、ケラ類などを観察します。ぜひ季節を変えてまたご参加ください。皆様お疲れ様でした。
石田 光史