【ツアー報告】紅葉の戸隠高原でムギマキに会いたい! 2024年10月27日~28日

(写真:ムギマキ 撮影:山崎敬介様)

一年を通してバードウォッチングに最適な場所といえばこの戸隠高原でしょう。東京から行くとなると遠い印象があり、バスでは45時間がかかりますが新幹線を使えば東京駅から長野駅までは90分ほどとあっという間に到着することができます。時期的にはやや中途半端な時期といえますが、これは秋の目玉である旅鳥のムギマキとマミチャジナイがやってくる時期に合わせているためではありますが、なにしろいつやってきて、いつ去っていくかがわからないだけに難しいのも事実です。またここ数年は写真を撮影したいといった需要が増大したこと、また歩く距離を大幅に削減するため、以前は定番だった鏡池までの往復ハイキングを取りやめ、ムギマキをじっくりと観察、撮影する時間を増やせるように行程を変更しました。この秋の戸隠高原はちょうど20年前に私がまだまだ助手ではありましたがガイドデビューした思い出深い場所であり、個人的にも一番足を運んでいる探鳥地でもあります。もちろん言うまでもなく大好きな探鳥地なのです。ただこの時期の信州はお天気が安定せず、ころころと変わる空模様を見ながらの進行となることが多いため、何かと悩ましいのですが、今回も2日目の天気予報が芳しくないとのことでした。

27日、天気予報では早朝の時間帯以降は曇りとのことでしたが、この日は集合時間の11:10でも長野駅周辺は青空が広がっていました。ご参加の皆様と合流してからは専用バスにて今回の宿泊地に向かいました。途中、外を見るとやや雲が多くなってきてはいましたが、まだまだ雨が降ってくるような気配はありませんでした。そして飯綱山の麓からバードラインを通ると紅葉がまだまだ美しく、いよいよ戸隠連山が見えるとさらに美しい紅葉が輝いてみえました。1時間ほどでホテルに到着した後は一旦、お部屋に入っていただき各自昼食、そして観察機材の準備をしていただいてから出発しました。出発時にはホオジロのメスが枯草に止まっていました。この日は前日の結果を踏まえて、まずは最も賑やかだった場所に向い、ここにあるツルマサキの実に絞ってみることにしました。この日も幸い小鳥たちの動きが良く、早くもキビタキのメスと思われる個体が複数やってきていました。しばらく見ているとキビタキのオスもやってきていて、盛んにホバリングしてツルマサキの実をついばんでいました。その後はジョウビタキのメスがやってきてくれ、昨日見た個体と思われるエゾビタキもやってきてくれました。そしてようやくムギマキのメスもやってきてくれ、オスとは異なる淡い黄色の喉を見ることができました。ただ2時間ほど観察したもののムギマキのオスがやってくる気配がなかったため、場所を変えてみることにしました。ただ歩き出すとオオルリのオス亜成鳥が飛んできてシラカバに止まったことから、最後に半分青い独特の姿のオオルリを見ることができました。残りの時間は別のツルマサキを見てみることにしました。ここではキビタキのメスの姿はあったもののムギマキはやってきていないようでしたが、待っている間にはコガラ、ゴジュウカラ、ミソサザイ、キバシリ、カケスを見ることができ、最後には群れ飛ぶアトリも見ることができ、周囲が薄暗くなってきた16:45に探鳥を終えました。

28日、昨夜からの雨はこの日も降り続いてはいましたが、歩きまわる形でなければ可能だろうということで、予定通り06:30に出発しました。この時間は雨はまだまだ激しかったため、まずはトイレの軒下に行ってみました。さすがに鳥の動きは少なかったですが、それでもイカルが鳴きながら飛んでいました。その後は昨日、小鳥たちがやってきていたツルマサキを見てみました。雨にも関わらずムギマキ、キビタキ、エゾビタキといった昨日同様の鳥たちが見られ、雨の中でも必死に餌を採っていました。探鳥後は一旦、朝食のためにホテルに戻り、朝食後はここまで行っていない場所に行ってみることにしました。この時間は雨はやや弱まっていましたが、まだまだ雨具は必要でした。川沿いではかなりの数のエナガの群れに出会い、なぜかミソサザイがさえずりながら動き回っていました。現地についてまず驚いたのがマミチャジナイの多さで、十数羽の群れがいくつも上空を飛んでいました。そしてキハダの実に集まっているマミチャジナイが見られたほか、ツルマサキの実を必死についばんでいる群れも見ることができました。その後はさらに山道を歩いてみましたが、ここでも周囲からはマミチャジナイの声が聞こえ、ここでもキハダの実をついばんでいる小群を観察することができたほか、ツルマサキの実にやってきているメスのムギマキを見ることもできました。さらに歩くといつの間にか雨は上がっていて、ここでようやく美しいムギマキのオスに出会うことができ、しばらく時間をとって観察しました。見ているとやはりマミチャジナイの群れが飛び交い、ここでもキビタキのメスが見られました。その後は来た道を戻りましたが、途中にあるツルマサキにも2羽のムギマキの姿があり、明らかに昨日までとは様子が変わっていました。さらに戻るとここでも2羽のムギマキ、そして2羽のオオルリが飛び交っていたため、午後からも来てみることにし、一旦、昼食のためホテルに戻りました。そして恒例になっている戸隠そばの昼食をいただいた後もわずかな時間ながら探鳥をしました。この時間は一部に青空も見え、ようやく雨は過ぎ去ったようでした。この時間も相変わらずキビタキのオス、メス、ムギマキのメス、エゾビタキが見られました。ただ観察しているといつの間にかムギマキの美しいオスが1羽混じっていて最後の最後に再びラッキーな時間を過ごすことができました。さらにはオオルリのオスの亜成鳥やマミチャジナイも加わって賑やかな時間を過ごし、帰り間際にはカワガラスもじっくり見て探鳥を終えました。

今回は初日は探鳥日和だったものの夜からは雨になり、その雨が翌日の午前中まで残る厳しい状況になりました。ただ目的だったムギマキには初日から出会うことができ、キビタキのオス、メス、オオルリ、エゾビタキ、ジョウビタキと賑やかなメンバーも揃ってくれました。翌日は雨の中の探鳥でなかなか難しかったですが、雨上がりに合わせるかのように鳥たちの動きが良くなり、前日と同じメンバーに加え、ようやく美しいムギマキのオス2個体が見られたほか、ムギマキは全部で67個体を見ることができ、マミチャジナイの群れも見事でした。ほかにもコガラ、ゴジュウカラ、エナガ、アオゲラ、キバシリ、アトリ、ツグミ、カワガラスなども見ることができました。戸隠高原は春も企画いたしますのでまた時期を変えて訪れてみてください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

キビタキ 撮影:小野塚佳恵様

 

ムギマキ 撮影:箕輪篤子様

 

キバシリ 撮影:山崎敬介様

 

マミチャジナイ 撮影:箕輪篤子様

 

ムギマキ 撮影:小野塚佳恵様

 

オオルリ 撮影:箕輪篤子様

 

ジョウビタキ 撮影:山崎敬介様

 

キビタキ 撮影:箕輪篤子様

 

キビタキ 撮影:小野塚佳恵様

 

エゾビタキ 撮影:箕輪篤子様

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