【ツアー報告】紅葉の戸隠高原でムギマキに会いたい! 2024年10月25日~26日

(写真:ムギマキ 撮影:明官恵子様)

一年を通してバードウォッチングに最適な場所といえばこの戸隠高原でしょう。東京から行くとなると遠い印象があり、バスでは45時間がかかりますが新幹線を使えば東京駅から長野駅までは90分ほどとあっという間に到着することができます。時期的にはやや中途半端な時期といえますが、これは秋の目玉である旅鳥のムギマキとマミチャジナイがやってくる時期に合わせているためではありますが、なにしろいつやってきて、いつ去っていくかがわからないだけに難しいのも事実です。またここ数年は写真を撮影したいといった需要が増大したこと、また歩く距離を大幅に削減するため、以前は定番だった鏡池までの往復ハイキングを取りやめ、ムギマキをじっくりと観察、撮影する時間を増やせるように行程を変更しました。この秋の戸隠高原はちょうど20年前に私がまだまだ助手ではありましたがガイドデビューした思い出深い場所であり、個人的にも一番足を運んでいる探鳥地でもあります。もちろん言うまでもなく大好きな探鳥地なのです。ただこの時期の信州はお天気が安定せず、ころころと変わる空模様を見ながらの進行となることが多いので何かと悩ましいのですが、今回は2日目がやや雲が出るものの、両日ともに概ね天候は良いとのことで安心して出発することができました。

25日、いつになったら秋になるのかといった陽気が続いていましたが、ここ数日はようやく秋らしくなってきたように感じていました。この日も朝から東京都内はどんよりとしていて涼しく、今にも雨が降ってきそうでしたが、その後は晴れてくるという予報が出ていました。ひとまず予定通りに東京駅を新幹線で出発し長野駅に向かいました。途中、車窓から見られた景色は次第に回復してきて、東京駅から90分ほどであっという間に到着した長野駅は青空が見えるほどに天気が良くなっていました。到着後はご参加の皆様と合流してから専用バスにて今回の宿泊地に向かいました。途中、外を見るとすっかり空は秋晴れに変わっていて、飯綱山が見えてくると見事な紅葉に歓声が上がるほどでした。その後は紅葉が最も美しく見えるといわれているバードラインを通ると紅葉のトンネルをくぐっているかのようでした。そしていよいよ戸隠連山が見えるとさらに美しい紅葉が輝いてみえました。1時間ほどで到着した後は一旦、ロビーをお借りして各自昼食をとっていただき、併せて観察機材の準備をしていただいてから出発しました。この日はまだまだ皆さんの体力があるうちにということで、最も歩くルートに行くことにしました。ひとまずバスで移動し、ここからは歩きました。付近のツルマサキには早速、コガラ、コゲラがやってきていて賑やかに動き回り、ゴジュウカラが木の幹を登っていました。さらに歩くとヒガラの声が聞こえ、エナガの群れが通過していきました。実はこの場所は数年ぶりに来るため懐かしさすらありましたが、早速、ツルマサキの実にはメジロがやってきていて、さらにはすばしこく動き回るムギマキの姿もありました。そのためしばらく観察してみることにしました。このツルマサキの実には頻繁に数羽のコゲラがやってきていて、他にもコガラの小群がやってきていました。ムギマキもオスの亜成鳥と思われる個体が頻繁にやってきて姿を見せてくれたほか、キビタキのオスの姿も見られました。また付近ではアカゲラ、アオゲラが見られたほか、マミチャジナイの群れがやってきて木の実をついばんでいたことから、このツアー目的の2種を同時に観察する幸運がありあました。2時間半ほど経ったことから一旦、戻ってトイレに立ち寄ってから、残りの時間は別の場所のツルマサキを見てみました。ただここではツルマサキの実が少なく、飛び回るアトリの群れやカケス、キバシリなどを見てこの日の探鳥を終えました。

26日、この日は日の出の時間に合わせて06:00スタートで探鳥を開始しました。外に出ると曇ってはいたものの空は次第に明るくなってきて、意外にも寒さはそれほど厳しくありませんでした。早朝の時間はまた別の場所にあるツルマサキの実に絞ってみることにしました。秋の戸隠高原では早朝に渡ってきたばかりと思われる小鳥の群れが飛び回る姿がよく見られるのですが、早速、ツグミ類の群れが飛び、続けてイカルの群れ、アトリの群れが飛び、イカルは木に止まってさえずっていました。また、アカハラ、カシラダカ、アオジもやってきて賑やかになり、時々飛んでいくアオバトの群れも見事でした。ツルマサキの実を見てみるとオオルリのオス亜成鳥がやってきていて、ほかにもキビタキのメスと思われる個体が複数やってきていました。しばらく見ているとキビタキのオス、そしてようやくムギマキのオス亜成鳥もやってきてくれました。その後は一旦、朝食のためにホテルに戻り、再度ここで探鳥することにしました。この時間も小鳥たちの動きが良く、キビタキのオス1個体、メスは3個体、そしてムギマキのオス亜成鳥が頻繁にやってきていて、そこにコガラ、コゲラが混じり、しばらくするとエゾビタキもやってきていました。途中、何度かアオゲラがやってきてくれ、川にはカワガラスの姿があり、ツルマサキの木には珍しくミソサザイがやってきていました。そして最後の最後にはここまで姿がなかったムギマキのメスがやってきてくれ、オスとは異なる淡い黄色の喉を見ることができました。その後はちょうどお昼に合わせてホテルに戻り、恒例になっている戸隠そばの昼食をいただき、午後からの時間はここまで行くことがなかった木道を歩いてみました。ここでも数日前にムギマキの姿があったとのことでしたが、この日はタイミングを逸したのか、しばらく見ていましたがキビタキのメスの姿があるのみでした。ただアトリの群れが飛び回っては頭上の木に止まり、ゴジュウカラ、コガラを見ることもできました。ムギマキの姿がなかったことから最後の30分は別の場所にあるツルマサキを見てみることにしました。ここは事前にはムギマキの情報はなかった場所でしたが、そろそろ終了かといった頃にひらりと1羽のムギマキのメスがやってきて比較的長い時間、ツルマサキの実をついばんでいたことから、最後の最後で思いがけずムギマキの姿を堪能してツアーを締めくくることができました。

今回はまず2日目ともに穏やかな陽気の中で探鳥ができ幸いでした。またツアー時期が例年よりもやや遅めだったにも関わらず、紅葉の見ごろがちょうどよいタイミングだったことも印象的でした。主な目的だったムギマキ、マミチャジナイは初日から見ることができ、マミチャジナイは小群で木の実を食べる様子をじっくり見ることができました。翌日もムギマキ3個体をじっくり見ることができたほか、オオルリのオス亜成鳥、キビタキのオス、キビタキのメス、エゾビタキと賑やかなメンバーが出そろい、キビタキの個体数の多さは驚くほどでした。今回はムギマキをじっくり観察、撮影するため行動範囲が狭くなってしまいましたが、コガラ、ゴジュウカラ、アカゲラ、アオゲラ、キバシリ、早朝にはアオバトの群れ、アトリ、カシラダカなども見ることができました。戸隠高原は春も企画いたしますのでまた時期を変えて訪れてみてください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ムギマキ 撮影:生田目怜様

 

ムギマキ 撮影:大槻繫様

 

エゾビタキ 撮影:hitaki様

 

マミチャジナイ 撮影:生田目怜様

 

キビタキ 撮影:大槻繫様

 

ムギマキ 撮影:hitaki様

 

オオルリ 撮影:生田目怜様

 

キビタキ 撮影:生田目怜様

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