【ツアー報告】秋のシギチドリ巡り 東京湾と霞ケ浦 2024年10月5日

(写真:ヒメハマシギ 撮影:小林浩様)

1日という限られた時間の中で海水域と淡水域の両方をめぐりながら、それぞれの環境に生息するシギチドリ類を集中的な観察する秋定番の日帰りバスツアー。淡水域での探鳥では道幅が狭い県道を走らなくてはならないため、車幅が狭い小型のマイクロバスを利用した少人数でコンパクトなツアーとし、アクセスを良くして歩く距離もできる限り軽減しています。また海水域に関しては潮位を見て日程を決めています。そして淡水域での探鳥ではさまざまなトラブル事例があることから、それらを回避するための探鳥ルールについて説明してから現地に向かうようにしています。ただ秋はなかなか天候が安定せず、晴れたり雨が降ったりと毎回毎回悩ましく、この日は前日とは異なり、最高気温は25℃と過ごしやすいものの、午前中は小雨、その後は曇りとの予報が出ていました。

5日、この日も潮位の関係から集合時間は08:30。早朝から雨が落ちてきているのかと思っていましたが、東京駅前は幸いにも雨は降っておらず、空はやや明るい印象がありました。予定よりも少々早めにご集合いただいたことから出発し、まずは海水域での探鳥のため千葉県に向かいました。移動中のバス車内ではわずかな時間ながら、秋の地味な色合いのシギチドリ類識別のポイントを説明しながら進むとともに、一昨日の下見時、また昨日の状況もお伝えしました。到着後は意外に明るい空の下、長靴に履き替えるなど準備をしていただいてからトイレに立ち寄り干潟に向かいました。干潟を見回してみると前日に賑わいは全くなく、どうしたことかといった感じでしたが、ハヤブサが飛び回っていてシギたちはどこかに避難しているようでした。砂浜状になっている場所には小型のシギの姿があり、上半身しか見えなかったもののヒメハマシギの特徴が見てとれました。しばらく見ていましたが動きがないことからやや移動すると、オバシギ、オオソリハシシギが間近に見られましたが、ここでハヤブサが登場してシギたちはどこかに飛んでいってしまいました。ただわずかな時間でハマシギ、ミユビシギ、ダイゼンなどが砂浜に戻り、さらにはシロチドリ、ソリハシシギ、メダイチドリと続々と姿を見ることができました。さらに移動すると点々と降りているミヤコドリの群れに混じるキョウジョシギが見られ、ここで再びヒメハマシギの特徴を持つ小型のシギ類に出会うことができ、再度観察することができました。そして戻る途中ではこの秋によく見かけるトウネンを間近に観察して戻り、探鳥後は靴や三脚の泥を落としていただいてから再びバスに乗って茨城県に向かいました。幸いにも雨に降られラッキーと思っていたものの、この時間からは雨が降り出してしまい、昼食のために立ち寄ったサービスエリアでは雨がやや強まってきていました。午後からは雨の心配はないと思っていたものの、ここから先も雨が止むことはなく、そのためあまり歩かなくても良いポイントから探鳥することにしました。最初の場所は残念ながらシギ類の姿は少なく、コチドリ、イソシギ、そして数羽のトウネンが見られ、飛び回るコガモも見られました。次に訪れた場所では少々雨が強まる中、コアオアシシギ、オグロシギ、エリマキシギ、トウネンが見られ、付近の水田ではタカブシギ、クサシギ、そしてヒバリシギの小群にも出会いました。その後は一旦トイレに立ち寄りましたが、この時間でも雨は止むことがなく、時間もなくなってきたことから今回のメインポイントに向いました。相変わらず雨が降る中、ここでもトウネンの数が多く、畔には4羽のムナグロ、そして赤みが強いウズラシギの姿もありました。さらに進むとここでもトウネンの姿が目立ち、そこに混じる2羽のオジロトウネン、コチドリが見られました。観察しているとどこからともなく3羽のアオアシシギがやってきて水田に降り、付近では3羽のオオハシシギも見られました。ここからはさらに雨が強まってきてしまいましたが、最後にようやく2羽のツルシギと複数のコアオアシシギ、アオアシシギを見ることができました。

この日は雨は午前中のみと思っていましたが、結果的には午前中は雨は降らず、代わって午後からはずっと雨の中での探鳥になってしまいました。ただこの日もシギチドリ類のバリエーションは見事で、海水域では基本種のハマシギ、ミユビシギ、ダイゼン、シロチドリ、メダイチドリ、ソリハシシギ、オオソリハシシギ、キアシシギ、オバシギ、ミヤコドリなどが見られ、ヒメハマシギに出会う幸運もありました。淡水域ではツルシギ、オグロシギ、エリマキシギ、コアオアシシギ、アオアシシギ、クサシギ、タカブシギ、オオハシシギ、トウネン、オジロトウネン、ヒバリシギ、ウズラシギ、コチドリなど計28種のシギチドリ類に出会うことができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

(千葉県内で観察された小型シギ類に関しましては、足が黄色みを帯びており交雑個体の可能性が考えられますが、概ねヒメハマシギの特徴を有していることから担当ガイドの判断によりヒメハマシギと記載しました。)

石田光史

オオソリハシシギ 撮影:小林浩様

 

ウズラシギ 撮影:小林浩様

 

ミヤコドリ 撮影:小林浩様

 

オグロシギ(左)とエリマキシギ 撮影:小林浩様

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