【ツアー報告】フォトツアー空の王者 イヌワシに会いたい! 2024年8月3日

(写真:イヌワシ 撮影:亀田政弘様)

今年は春からすでに真夏のような暑い日が続き、夏になったらどうなるのだろうかと思っていましたが、結果的にはいつが夏だったのかがよくわからないほど暑い日が続いていました。さすがにこうなると、特に暑さが厳しい8月は国内ではなかなか行く場所が見当たらず、したがって国内のバードウォッチングツアーも一休みとなるのですが、こういった時期だからこそ歩きまわることなく定点観察を、しかも涼しい場所でしてみてはどうかといったコンセプトで企画してきたのがこのツアーです。定点観察といえば真っ先に思いつくのが大型猛禽類ということで、今回はイヌワシとの出会いをポイントに掲げています。もちろん天気が極めて重要になることから、過去の天気を見て晴れの確率が高い時期に合わせています。その甲斐あってか今回は晴れマークが出る中での出発となりました。

3日、前日に米原まできてこの日に備えていましたが、もうとにかく暑いの一言。東京都内もかなり暑かったですが、それよりももっと暑く感じました。ツアー当日は早朝から快晴ということもあって気温はぐんぐん上がっている感じでした。集合時間の09:00には集合が完了したことから予定通り出発してまずは伊吹山ドライブウェイに向かい、途中、今回の主役であるイヌワシの基本的な話をしながら進めました。そして伊吹山ドライブウェイのゲートまでやってきたところで掲示板を見ると山頂付近の気温は22℃、視界は良好とのことでまずは一安心して山頂駐車場に向かいました。10:00には山頂駐車場でトイレに立ち寄ってから観察場所に移動し10:15からは探鳥を開始しました。この時間はまだまだ天気は不安定で霧が立ち込めては山頂駐車場付近を覆い隠し、また晴れるといったことを繰り返していました。周辺からは絶えずウグイス、ホオジロのさえずりが聞こえ、ツバメがすいすいと飛んでいましたがイヌワシの気配は全くありませんでした。11:30頃からはアオゲラがけたたましく鳴き、この頃からはやや風が出てきました。そしてその風は12:00頃からはさらに強まって、谷を吹き上げてくるようになっていました。12;15頃からはカッコウの声が響き、12:50には雲が切れて周辺は本格的な快晴になっていました。そして13:15には眼下の谷を旋回するイヌワシの幼鳥が見られたものの、すぐに視界から消えてしまい、どこに行ったのかと思って見ていると稜線の裏から出てきて一気に対岸まで飛び、枯れ木に止まりました。かなり距離はありましたが望遠鏡で確認することができ、13:30にはカケスが、そして14:10にはアオバトが飛んでいきました。14:15には枯れ木に止まっていたイヌワシが次々に飛び立って、結果的には背後の山々を背景に3羽で飛翔し、かなり離れてしまったことからしばらく見られないかと思っていると、14:30には稜線の背後から飛び出してきて3羽で仲良く岩に止まりました。ただ14:40には飛びたって対岸の森の中に消えていきました。14:50には10羽ほどの小群でサンショウクイが飛び、その後は付近はかなり静かになってしまい、さすがに今日はもうこれで終わりかなといった雰囲気でした。ただ意外なことに16:10に幼鳥が稜線の奥を飛びはじめ、奥の稜線を超えたかと思うと、つがいと思われる2羽が16:20に飛び立って右側の山の裏側に消えたかと思うと、山頂付近から現れて再び2羽で仲良く岩に止まり、しばらくすると幼鳥もやってきて、結局また3羽で仲良く岩に並んで止まりました。幼鳥は「キョッキョッ」と甲高い声で鳴きながら止まっていて、観察していると親鳥が飛びたち森に消えると、それを追うように幼鳥が飛び、谷間を旋回しながらしばらく飛翔してくれました。幼鳥は三つの白い斑が美しく並び、旋回飛翔している姿は見事としか言いようがなくしばし観察して17:00にこの日の探鳥を終えました。

さて、毎年盛夏の頃の恒例ツアーになっている国の天然記念物、イヌワシを観察、撮影するツアー。今年は久しぶりに幼鳥が無事巣立ったとのことで、なんとかその姿を一目見たいと願っていましたが、たっぷりの大サービスでラッキーでした。イヌワシの幼鳥を見ることは極めて稀なことですから私にとっても印象深い1日でした。若ワシはこれからさまざまな困難を乗り越えていかなくてはなりません。いつまでも日本のどこかの大空を舞っていてほしいものです。この度はご参加いただきましてありがとうございました。またご一緒できましたら幸いです。

石田光史

イヌワシ 撮影:島田真司様

 

イヌワシ 撮影:村松喬様

 

イヌワシ 撮影:坂東俊輝様

 

イヌワシ 撮影:大木邦夫様

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