【ツアー報告】冬の信州でイスカに会いたい! 2024年2月3日~4日

(写真:イスカ 撮影:村松喬様)

人気のある赤い鳥の中でも特徴的な嘴を持っているイスカは日本国内では冬鳥とされていますが夏季にも見ることがあり、少々謎がある鳥でもあります。また毎冬毎冬飛来するわけではないためなかなか出会いのチャンスがないのも事実で、出会うことはなかなか難しいのが現実です。イスカは特にマツの種子を好んで食べるため針葉樹の林を探すことが重要で、松かさをこじ開けやすいよう嘴が互い違いになっていることが最大の特徴です。この嘴を使ってマツなどの針葉樹の種子をついばんで食べるため、こういった採食シーンが見られればとも思いツアーを企画しています。またツアーではここ数年、皆様からのリクエストが増えているシングル部屋を利用したプランにしています。今回もここまでに引き続き天気は概ね良いとの予報が出ていましたが、3日午後から深夜にかけては小雪が舞う可能性があるとの予報が出ていました。

3日、この日の東京都内はここまでと同様に早朝から雲一つない快晴で、寒さも緩んで春のような暖かな朝でした。このツアーは遠方からのご参加も可能になるようにとの考えから、集合時間を通常よりもやや遅めの東京駅前09:00にしていることもあってか、少々早めにご集合が完了したことから、予定よりも10分ほど早く東京駅前を出発して、ひとまず中央自動車道を走りました。バス車内ではいつものようにこのツアーで見られそうな鳥の解説やイスカの話、さらにはここまでの現地の状況や鳥の状況などをお伝えしながら進め、途中、サービスエリアで休憩し、その後は真っ青な空に映える雪を冠した八ヶ岳を眺めながら現地を目指して進めました。ただこの頃からは少々風が出てきてはいましたが前回ほどではなく、バスは順調に進み、昼前には現地に到着しました。このツアーでは当日の現地の気温、路面状況が今一つわからないことから現地到着直前のサービスエリアで時間を取り、ここで現地の状況を各自で判断していただき身支度などを整えていただけるようにしています。また時間がちょうどお昼にさしかかることから昼食も済ませていただいています。バスを降りると風は弱かったものの空気は冷たく感じたため、防寒装備を整えてから再度バスにて出発し探鳥ポイントに向かいました。途中、再度トイレ休憩を挟んでから現地に向かい、到着後はバスを降りて全く積雪がない舗装道を歩き出しました。早速、上空を飛ぶノスリが現れ、道を進むと飛び回るイスカの群れが見られました。飛んでいった方向がだいたい見えていたことから、飛び去った方向に向かって歩いて行くと、杉の木に群れているイスカが見えました。そのためさらに進むと間近にあるシラカバに止まっている10羽ほどのイスカがいたことから順光側に移動して観察しました。群れは反対側にある杉の木に向かって飛んでいったことから見てみると、真っ赤なオス、緑色のメスが杉に木に飾りつけをしたかのように群れて止まっていました。しばらく見ていると飛びたってはまた戻り、時にはまた別の群れがやってくるなどしてしばらく楽しませてくれました。その後は一旦、その場所を離れてさらに道を進むと道端で餌を採っている美しいオオマシコのオス成鳥に出会うことができ、次第に距離を詰めながら観察しました。しばらく見ていると真っ赤なオス成鳥個体は2羽いて、付近にはオスの亜成鳥もいて計3羽で餌を採っているようでした。しばらく観察した後は時間も経ったことから来た道を戻り、途中では地面で採食している3羽のホオジロが見られ、さらに道を進むと林の中に止まるツグミの姿がありました。また周辺ではコガラが餌を探し、斜面にはルリビタキのメスの姿がありました。そしてここではたった1羽でカラマツの松ぼっくりをつつくイスカのオスが真上に見られ、独特の採食行動を見ることができました。時間が経ったことから一旦、トイレに立ち寄り、その後はわずかながら時間があったことから狭い範囲ながらも探鳥しました。展望台まで行くと突然足元からキジのオスが飛びたち、その後は道端で餌を採っているカシラダカがかなりの数、見られました。そしてかなり風が冷たくなってきた日没に合わせてこの日の探鳥を終えました。

4日、なにかと天気が心配だったため、早朝に外を見ると数センチの積雪があり、一面の雪景色に変わっていました。降っている雪の量はたいしたことはありませんでしたが、この日は小雪が舞う中、朝食後に出発して現地を目指し、トイレ休憩後は昨日と同じルートを歩いてみることにしました。ただ、現地に近づいたころには幸いなことに雪は止み、空は次第に明るくなってきていました。この日も早速、周辺からイスカの声が聞こえ、飛び回っている姿を見ることができ、雪のせいか周辺はかすんでいましたが枯れ木にはカワラヒワが群れていました。積雪があり霧氷が付いている木々を見ながら進むと、たった1羽で木に止まるシメ、さらに歩くと道端にあるハギに群れているオオマシコの姿があり、真っ赤なオスの成鳥個体が3羽混じっていました。一旦、飛び去ってしまいましたがカラマツに止まり、ここではしばらくの間、観察することができました。さらに進むとここでもまた別と思われるオオマシコの群れに出会うことができ、ここでも複数の真っ赤なオス成鳥個体が見られ、斜面の草むらを行ったり来たりしていました。この日は積雪のせいか、オオマシコが頻繁に見られ、さらに歩いた場所でも今度は真っ赤なオス成鳥個体が5羽含まれている群れに出会うことができました。時間が来たことから来た道を戻ると、昨日、イスカの群れに出会った場所で再びイスカの群れに出会うことができ、この日は昨日とは異なり、真っ赤なオス個体が多い印象がありました。群れは松の木に止まっていて、観察していると時々雪をかじって水分を取る行動をとったり、松ぼっくりをかじったりする行動も見せてくれました。その後はバスに戻るために歩いていきましたが、ここでも再び8羽で地上採食しているオオマシコの群れに出会うことができ、この群れには真っ赤なオス個体が含まれていなかったことから、ここまで出会った群れとは異なるようでした。展望台まで来ると朝には曇っていた空は青空に変わり、雪を冠した八ヶ岳をしっかりと望むことができました。そしてゲートまで来ると小鳥が動いていたことから見てみるとベニマシコの姿があり、真っ赤なオスが木に止まっていました。その後はトイレに立ち寄ってから公園で昼食の時間とし、昼食後は公園内で探鳥をしました。この頃には天気は完全に回復していましたが、相変わらず冷たい風が吹いていました。川をのぞくとカルガモ、オオバン、カイツブリ、そしてたった1羽ながらホオジロガモのメスの姿があり、湖畔まで歩くとキンクロハジロ、カンムリカイツブリ、そしてミコアイサのつがいが見られました。観察しながら付近の木を見ると10羽ほどのキレンジャクの小群がいたことから、少々近づいて観察していましたが、ここで運悪く花火のような爆音が響き渡り、残念ながら群れはどこかに飛び去ってしまいました。その後はホオジロガモのオス、カワアイサ、ミコアイサなどを見ながら歩き、キレンジャクの群れを探しましたが結果的には見つけることはできず、最後にハイタカの飛翔を見て探鳥を終えました。

昨秋からの冬鳥の渡来状況を見る限り、この冬は冬鳥の渡来状況が比較的良いだろうと判断していました。結果、各所でさまざまな冬鳥との意外な出会いがあり、それが裏付けられました。そのためこのツアーもかなり期待していましたが、結果的にはイスカ、オオマシコともに期待以上の出会いがあり、特に今回は前夜からの雪の影響からか鳥たちの状況が若干変わり、真っ赤なオオマシコのオス成鳥を最大で5個体見ることができるなど、何度も何度もオオマシコに出会うことができたのはラッキーとしか言いようがありませんでした。またイスカも何度も見ることができ、松の木に群れる姿は見事でした。ほかにもベニマシコ、ルリビタキ、ジョウビタキ、ツグミ、カシラダカなども見られ、わずかな時間ながらキレンジャクに出会うことができ、ミコアイサやホオジロガモ、カワアイサにも出会えました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

オオマシコ 撮影:村松喬様

 

オオマシコ 撮影:村松喬様

 

オオマシコ 撮影:村松喬様

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