【ツアー報告】関東有名探鳥地巡り 100種に会いたい! 2024年1月19日~21日
(写真:ハイイロチュウヒ 撮影:島井敏宏様)
そもそもは関西方面のお客様から、日帰りツアーに参加するために1日だけ東京に行くのはなかなか難しいとのご意見をいただき、それを機に東京発日帰りバスツアーをまとめる形で始まったのがこの関東有名探鳥地巡り。東京発日帰りバスツアーで好評をいただいている関東圏を代表する探鳥地を8カ所ほどまとめ、できる限りその時期の旬の野鳥も見られるよう東京、群馬、栃木、茨城、千葉と3日間かけて関東を時計回りに探鳥しながら巡ります。ただ、単に探鳥するだけではおもしろくないだろうと思い、サブタイトルとして100種に会いたいとしました。幸いなことに過去、観察種が100種に達しなかったことはく継続してきましたが、前回はこのツアーとしては初となる100種未到達になってしまいました。そのため今回はなんとか目標に到達したいと思っての出発になりました。ただ残念ながら今回は天気予報が芳しくなく、土曜日、日曜日は雨で北関東では雪の可能性もあるとの予報が出てしまいました。
19日、この日はひとまずお天気の不安はなく、しかもかなり暖かくなるとの予報が出ていました。順調にご集合が完了したことから予定通り09:00に東京駅前を出発しました。まずは東北自動車道を走り、途中サービスエリアで休憩後は群馬県の館林市を目指しました。最初の探鳥地の湖畔を歩くとヒヨドリが飛び交い、ノスリの飛翔も見られました。この日はオオハクチョウの動きが活発で見事な飛翔が何度も見られ、湖畔にはコハクチョウの姿もあり、ここに1羽のマガンが混じっていました。雑木林ではカケスが木の実をついばみ、ヨシ原付近ではジョウビタキ、モズ、シジュウカラ、たまたま水を飲みに来ていたツグミ、メジロも見られました。お隣ではオナガガモが群れ、ヨシ原ではオオジュリン、カワセミ、そして水際を歩くクイナにも出会うことができ、ふと見るとカモ類を狙う鋭い眼光のオオタカ幼鳥が止まっていました。その後は次のポイントまで移動し、ここでは驚いたことにトモエガモのつがいが見られ、狙っていたバンも見ることができ、その後は昼食の時間としました。昼食後は付近の畑地をめぐり、まずは定番のミヤマガラスの群れを観察。その後はケリを探してみましたがなかなか見つからない状況が続いたため、諦めて渡良瀬遊水池に向おうとした時、たまたま畔を歩く2羽のケリに出会うことができました。渡良瀬遊水池ではまずはツクシガモを狙いましたがこの日は出会うことができず、その後はメジロガモも狙いましたがこちらも不在でした。ただ池ではヨシガモが見られ、途中にあるヨシ原では珍しく枯れ木のてっぺんに止まっているベニマシコを見ることができました。その後は谷中湖史跡公園を歩き、ここではシメ、ツグミ、ムクドリが見られ、谷中湖ではコウノトリ、そしてかなりの数のミコアイサとトモエガモが見られ、わずかながらもカワアイサも見られました。そして最後は急に風が吹き、寒さが厳しくなる中、堤防からヨシ原を飛び回るチュウヒを見てこの日の探鳥を終えました。この日は穏やかな陽気のおかげで計55種を観察するという成果の大きい1日となりました。
20日、この日は早朝からどんよりとした空模様で今にも雨が落ちてきそうな中、朝食後に栃木県真岡市にある井頭公園に向かいました。到着後、駐車場で観察の準備をしていると、早速かなりの数のヤマガラがやってきてくれました。小さな池に行くと周辺のニレの木にはアトリ、マヒワがやってきていて、まずは代表的な冬鳥2種に出会うことができました。池を眺めるとマガモ、カルガモに混じって、ヨシガモ、オカヨシガモなどが見られ、林に入るとビンズイが目の前をノコノコ歩き、ルリビタキのメスが間近に見られました。さらに歩くとかなりの数のエナガの群れが見られ、地上で餌を探すシロハラが見られ、さらに落ち葉の上では保護色で見つけづらいトラツグミが足踏みするように餌を探していました。再び林に入ると数羽のカケスが間近までやってきて騒ぎ、枯れ木を登っていくアカゲラに出会うこともできました。その後は先に進まず駐車場方向に戻り、途中では枯れ木に止まるノスリ、さらには美しいブルーのルリビタキも見ることができました。さらに駐車場方向に歩くと、湖面には純白が輝いて見えるミコアイサのオスの姿があり、目の前に木にはアカゲラが止まっていました。また過去には全く見たことがなかったゴジュウカラが木の実をついばんでいて、これには本当に驚きました。さらに歩くと今度は湖面にヨシガモとトモエガモのオスの姿があり、どこからともなくキセキレイが飛んできました。そして付近の針葉樹林では複数のキクイタダキがホバリングしながら餌を探し、ヤマガラ、ヒガラ、メジロの姿もありました。ここからは北関東道経由で常磐道に入り、途中にあるパーキングエリアにて昼食の時間としてからさらに南下し、右手に牛久大仏をみて、この日最後の探鳥地である茨城県稲敷市までやってきました。まずはヒシクイが毎年越冬している場所に向かいました。この冬は渡来数が少なく、あまり見ることができていませんでしたが、この日は幸いにも50羽ほどのヒシクイが地上に群れ、付近ではタゲリ、キジの姿を見ることもできました。その後は主に淡水域に生息するシギチドリ類を探しながらめぐり、最初の場所ではハス田で餌を探すタシギ、タカブシギ、クサシギに出会うことができ、別の場所ではコチドリ、さらに進むとオジロトウネン、ヨーロッパトウネンに出会うことができました。その後は一旦、場所を変え、ハス田に群れる20羽ほどのオオハシシギを観察することができました。付近では羽のタゲリがいたことからバス車内から間近に見ることができ、ここではタシギ、そして10羽ほどのハマシギも見ることができました。そしてこの日の夕方はハイイロチュウヒを狙って16:00くらいから探鳥する予定でしたが、曇り空のため暗くなるのが早いだろうと考え15:30に現地に行ってみました。するとたまたま美しいハイイロチュウヒのオスがヨシ原上を飛びはじめ、かなりゆっくりと観察することができ、最後はハイイロチュウヒのメス、さらには10羽ほどのチュウヒが乱舞する様子を見てこの日の探鳥を終えました。この日は新たに計29種を加えてここまでの観察種は合計84種となりました。
21日、この日は前日の天気予報通り、昨夜からの雨がさらに激しくなっていて、悪いことにそれに強風も加わって鳥を見る状況としては最悪に近い天気でした。風雨が強まる中、この日はまずは茨城県の波崎港に向かいました。バスから降りて探鳥できないことは前日から想定していたため、車内から鳥が見られるようめぐりました。毎回お願いしているベテランのドライバーさんはさすがに慣れていて、風上側にドアが来ないよう方向も考えて止めてくれるため、風雨が強いながらも窓やドアを開けて車内から観察できました。この日は外洋が荒れていたため漁港内にはかなりの数のカモメ類が見られ、まずはユリカモメ、ウミネコ、セグロカモメ、さらにはオオセグロカモメ、そして漁港内ではアカエリカイツブリ、スズガモ、キンクロハジロ、別の場所ではウミアイサ、そしてハシビロガモとここまで見ていなかった鳥たちを次々に見ることができました。銚子漁港では堤防上に並んでいるセグロカモメ、オオセグロカモメに混じるワシカモメが見られ、一旦、別の場所に行った後に再びその場所に行ってみると、今度はシロカモメも混じっていて、かなり厳しい状況ながらかなりの種類のカモメ類を見ることができました。その後はやや雨が弱まってくる中、一旦昼食の時間とし、昼食後はこのツアーの最後の探鳥地である船橋海浜公園に向かいました。向かう途中からは雨は上がり船橋市に入ると晴れ間も見えてきました。現地到着後は観察準備をしてから干潟に向かいました。この日は当地の定番種のミヤコドリが群れ、驚いたことにかなりの数のシロチドリが干潟に群れていました。次第に潮が引いてくると広がってきた浅瀬めがけてミユビシギが飛んできて、ハマシギも次第にその数を増やしていきました。またこの日はここ数年、定番になりつつあるズグロカモメが飛び回り、干潟に降りてはカニを捕食していました。そして最後は堤防から干潟に降りているカモメも観察してツアーを締めくくりました。この日の午前中は天候がかなり悪かったものの最後は穏やかな晴れ間も見えるくらいに天気は回復してくれ、新たに19種を観察し3日間の合計観察種は103種でなんとか目標を達成することができました。
今回は出発前の天気予報が芳しくない中での出発となってしまい、結果的には最終日の午前中はかなり激しい風雨の中での探鳥になってしまいました。ただ心配されていた積雪はなく交通渋滞などはありませんでした。初日は穏やかな天候の中、定番種に加えてマガン、ミヤマガラス、ケリ、ベニマシコ、チュウヒ、トモエガモなどが見られ、翌日はルリビタキ、トラツグミ、アトリ、マヒワ、キクイタダキといった冬の小鳥類、午後からはタゲリ、オオハシシギ、ヨーロッパトウネン、オジロトウネン、ハマシギ、タシギ、ヒシクイなどが見られ、オスのハイイロチュウヒの飛翔を堪能することができました。最終日は雨の中でしたがシロカモメ、ワシカモメ、アカエリカイツブリ、ハジロカイツブリ、最後はミヤコドリ、ミユビシギ、シロチドリ、ズグロカモメなどが見られ、3日間の合計観察種は103種となりなんとか目標を達成することができました。かなりの駆け足でめぐったにも関わらず、これだけの多種多彩な野鳥たちに出会えることはまだまだ関東地方も野鳥の住みかとしては良い環境が残っていることの証でしょう。またの機会にご一緒できましたら幸いです。
石田光史