【ツアー報告】出水・諫早・有明海 冬の九州縦断 2024年1月13日~15日
(写真:ソデグロヅル 撮影:杉崎明登様)
1月13日、12:20に鹿児島空港に全員集まって出発。風は冷たいが抜けるような青空である。12:45小さな池に到着。ツクシガモ、カルガモ、マガモ、コガモなどがたくさんいて、アオアシシギやタシギが餌を啄ばむ。クロツラヘラサギ21羽とヘラサギ1羽がいてみなさんでじっくりと観察、撮影する。次の場所では去年はニュウナイスズメやツグミなどの冬鳥がたくさんいたが、今年は冬鳥が少なくカケス、モズなどを見て移動する。その後は出水の「ツル観察センター」に到着。センターの前のパネルには、ナベヅル9,583羽、マナヅル3,373羽、その他16羽とある。ちなみにその他とはクロヅル8羽、カナダヅル6羽、ソデグロヅル1羽、ナベヅルとクロヅルのハイブリッド1羽なのだ。急いで約13,000羽の中からその他のツルを探す。数百羽のミヤマガラスとコクマルガラスの黒色型もそこそこいる。直ぐにクロヅル1羽を発見。逆光で遠いけどみなさんでじっくりと観察、撮影する。16:30に遠くにいるカナダヅル2羽を発見してなんとか全員で観察する。ナベヅルやマナヅルの群れが次々に塒へ向かう。ハイイロチュウヒの雌タイプが目の前をひらひら飛んで行く。17:35日没。日が暮れると気温がぐんぐん下がって寒い。17:50まで待ったがソデグロヅルは塒には帰って来なかった。18:10にホテルにチェックイン。夕食は黒豚しゃぶしゃぶで盛り上がる。
1月14日、朝食後、バスで出発。ホテルに宿泊していたイギリス人から「ソデグロヅルは日の出とともに飛び去る」と言われたので、焦る気持ちで東干拓のツルの塒へ行くとナベヅルやマナヅルの群れに混じっているソデグロヅルを発見。まだ、薄暗いがソデグロヅルだけが輝いて見える。日が昇るとしきりに羽ばたきをしたり跳ねたりして落ち着きがないが、みなさんで堪能する。その後、突然、フワッと飛び立ち、干拓地の外へと飛んで行ったのである。ツル観察センターへ行くと、電線に数百羽のミヤマガラスとコクマルガラスがとまっていて、中に白色型のコクマルガラスが1羽いてみなさんで観察、撮影する。カモたちが一斉に飛び立ったので猛禽類を探すと、ハヤブサが耕作地に降りてカモを食べていた。今日もちょっと遠いがクロヅルを発見。干拓地を歩きホシムクドリや白色型のコクマルガラスをみなさんで観察、撮影して、再び、東干拓へ行き、昨日よりはちょっと近いカナダヅル3羽やオオタカ、タゲリ、タヒバリなどを見ているとヒシクイ7羽が飛来して干拓地に降りる。10:00に移動し、熊本港からフェリーに乗って島原港へ向かう。出港して直ぐの堤防にカツオドリがとまっていたが、その数が物凄くて500羽以上はいる。繁殖地以外でこんな数を見たことないので、「ウじゃないよなぁ~」と自分の目を疑ったほどである。海はべた凪でカンムリカイツブリが泳ぎ、ユリカモメ、ウミネコ、セグロカモメが飛び交い、スナメリがヌルッと浮かび上がる。諫早干拓に到着後、堤防の上に立つと、いきなり葦原からハイイロチュウヒの雄が飛び出して近くをふわふわ舞うのでみなさんでじっくりと観察、撮影する。ハイイロチュウヒの雌も何回か飛び出してみなさんで盛り上がる。お客様から「ツリスガラってどんな声で鳴くの?」と聞かれるのと同時にツリスガラの声がする。てっきり、誰かがスマホで声を再生したのかと思ったら、葦原から声がする。慌てて探すとツリスガラ数羽を発見。しかし、葦の陰にいて場所を説明しても分からない方が何人もいる。さらにオオジュリンも近くにいて紛らわしい。なんとかツリスガラを望遠鏡に入れながら全員で観察することができた。すると、数羽が葦の上の方に上ってきたのでみなさんで観察、撮影する。この鳥を目的にこのツアーに参加された方が何人もいたので大いに盛り上がる。ところがハイイロチュウヒが飛来してみんな飛ばしてしまう。その後も、ハイイロチュウヒの綺麗な雄やコチョウゲンボウ、チョウゲンボウ、ミサゴなどを観察していると、物凄い数のトモエガモの大群が飛び立って移動を始める。その数は推定だが10万羽を超えているだろう。砂嵐のようとか、バッタの大群のようとか、ウンカのようとか、、、みなさん色々と表現するが、この数になると感動よりもちょっと恐ろしい感じがするのだ。18:50ホテルにチェックイン。ツリスガラとトモエガモの大群の話で盛り上がったのである。
1月15日、朝食後にホテルを出発して公園へ行く。バスから降りるとカササギの声がするので探すが見付からない。公園内を歩いてツグミ、シロハラ、ムクドリ、シジュウカラ、エナガ、メジロ、コゲラなどの今回のツアーで初登場の鳥たちをみなさんでじっくりと観察、撮影する。移動途中で何回かカササギを見るがバスを停められない。その後は東よか干潟に到着。まだ、干潟は干出していないがズグロカモメ数羽が飛び回っている。綺麗なイタチが走り回り盛り上がる。干潟よか公園へ行くと、20羽程のタゲリが芝地に降りててミヤマガラスとコクマルガラスが飛び回る。干潟が出て来ると凄い数の鳥たちが岸に近づいて来る。日本野鳥の会佐賀県支部の情報によるとハマシギ5,100羽、ツクシガモ3,100羽、ズグロカモメ2,300羽、ダイゼン830羽という。他にも2,000羽以上のカモ類、シロチドリ、ダイシャクシギ、アオアシシギ、アカアシシギ、チュウシャクシギなどのシギ・チドリ類やちょっと遠いがクロツラヘラサギ3羽、ヘラサギ1羽が寝ている。シギ・チドリ類の規模は日本一と言われているが、干潟が狭くなると鳥で埋め尽くされる。そして、その群れが飛び立つ姿は圧巻そのものなのだ。いつまでも見ていたい光景だが、13:15に福岡空港へと向かったのである。冬の九州はとにかく鳥たちをたくさんいて楽しいツアーとなりました。みなさま、お疲れ様でした。
宮島仁