【ツアー報告】鵡川・大沼・遊楽部 冬の道南めぐり 2024年1月12日~14日

(写真:ベニヒワ 撮影:小林浩様)

冬の北海道といえばバードウォッチャーならば一度は訪れたい憧れの探鳥地でしょう。特に道東エリアは人気が高いですが、どちらかというと大型の鳥種が中心です。一方、この道南は冬の小鳥類、猛禽類、カモ類、カモメ類と冬の北海道としては比較的さまざまな種が観察できることが最大の特長で、オオワシやオジロワシ、そしてほかのツアーでは出会えないコクガンが毎回見られています。ただ道東に比べて道南は冬に訪れる探鳥地の中でもとにかく積雪量が多い探鳥地で、毎回運行がスムーズに行くかどうか心配になるほどです。今回は事前の天気予報では概ね天候は良く、現地の状況もそれほど多くの積雪がないとの情報を得ていました。

12日、早朝から澄み切った快晴の中、羽田空港に予定通りご集合いただき、資料の配布、そしてこの日の予定をお伝えした後はひとまず千歳空港に向いました。到着後は空港内にて観察機材の準備をしてから苫小牧市内に向けて出発しました。この日は予定していたウトナイ湖を一旦通過して苫小牧市内にある公園に向かいました。現地は日陰にうっすらと雪がある程度で思ったほどの積雪はありませんでした。しばらく歩くと枯れ木に止まって餌を食べているハシブトガラが見られ、付近ではシジュウカラ、ヤマガラ、シロハラゴジュウカラが地上に降りて採食していました。さらに進むとミヤマカケスが飛び回り、警戒声を出したかと思うと林の中からハイタカが飛び出してきました。駐車場まで戻ると上空をオジロワシが悠々と旋回飛翔し、この冬を象徴するかのように、北海道とはいえそう簡単には見られないベニヒワが数羽で木に止まっていて、時々、地上に降りては餌を食べていました。その後はイスカを探しながら松林のある場所を通ってウトナイ湖に向かいました。この日のウトナイ湖はほぼ全面凍結状態だったため湖面にはわずかに2羽のカイツブリが見られただけで、遠くの氷上にはオオワシの亜成鳥の姿がありました。その後は付近の林に行ってみました。ここでは3羽のシロハラゴジュウカラが貯食行動を繰り返し、いつの間にかアカゲラもやってきてくれ、地上を見るとツグミが歩きまわっていました。その後は鵡川方面に向かいましたが、途中にある公園に立ち寄ってみました。ここではなぜか苫小牧周辺でよく見られているカササギの姿を探してみました。すると早速、松の木のてっぺんに止まるカササギが見られ、一旦飛び去ってしまいましたが再度現れてくれ、今度は2羽で木に止まっている姿をしばらくの間、観察することができました。ここでは上空を飛んでいくイスカが見られ、距離はあったものの枯れ木に止まっている姿も見ることができました。その後はこの日最後の探鳥地である鵡川河口に向かいました。さすがに夕方になると寒さが厳しくなってきましたが、漁港では堤防にオオセグロカモメ、シロカモメ、ワシカモメがズラリと並び、漁港内ではコガモ、ヒドリガモ、ホシハジロ、スズガモ、クロガモ、ホオジロガモ、シノリガモ、カンムリカイツブリが見られ、この日は特にホオジロガモの数が多い印象でした。

13日、この日は早朝からほぼ快晴で、ホテル周辺は例年に比べるとかなり積雪が少なく、無風だったこともあってかなり穏やかな中、朝食後に遊楽部川に向けて出発しました。ただバスが進むにつれて周辺の積雪量は増え、昨夜はかなりの雪が降ったようでした。途中にある休憩地では青空と新雪のコントラストが美しく映え、再度出発後は八雲町にある遊楽部川上流に向かいました。そもそも雪が多い場所ではありますが、この日は前夜の雪のせいで想定外の積雪があり、結果的に上流部ではオジロワシやカワガラスがわずかに見られたのみで、その後は一旦、トイレ休憩を挟んで遊楽部川の河口方面に向かいました。積雪がある中でしたが河口部に向かうと、途中にある松の木には数羽のイスカの姿があり、松ぼっくりをつつく様子をじっくりと見ることができました。河口部につくと澄み切った青空が広がり、さらには無風だったこともあり海上は極めて穏やかでした。眺めてみるとクロガモ、スズガモ、ホオジロガモに混じって、かなりの数のビロードキンクロが見られ、さらには10羽ほどのコオリガモが群れている様子も見られました。河口ではホオジロガモに混じるオスのミコアイサが見られ、枯れ木にはオオワシが止まっていました。その後はさらに函館方面に南下し昼食の時間とり、昼食後は周辺で探鳥をしました。駐車場ではハイタカが飛び、積雪がある雑木林に入ると、どこからともなくウソの声が聞こえたため探してみると、桜の芽を盛んに食べている美しいアカウソの姿があり、周辺にはほかにも5~6羽のウソの姿がありました。その後は漁港をめぐり、オオセグロカモメ、ワシカモメ、スズガモの群れを見ていると数羽のキレンジャクが飛んでいたことから、来た道を戻ってみると、草の実を食べている4羽のキレンジャクが見られ、最後は電線に止まってくれました。周辺がどんどん薄暗くなってくる中、最後に公園に行ってみました。ここでは残念ながら鳥の気配はなく、遠くにシマエナガが飛び回る様子が見られたのみでした。その後は休憩をとってからホテルに向かいました。ただここでは幸いにも6羽で群れているコクガンが見られました。

14日、この日は午後から雪の予報が出ていましたが、早朝は曇り空ながらも所々に青空が見えていてかなり穏やかな朝でした。この日はどう行動しようかと考えていましたが、朝食後はまず周辺を歩いてみることにしました。駐車場付近では早速、複数のミヤマカケスが現れ、周囲ではシジュウカラ、ヤマガラが飛び回っていました。少し進むと真っ赤なベニマシコの姿があり、草の実をついばむ様子をしばらく観察することができました。その後はやや積雪があったものの雑木林に入ってみました。周辺ではシジュウカラ、ヤマガラ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、そしてアカゲラも姿を見せてはくれましたが残念ながらシマエナガの姿はなく、一旦、海岸に向かうことにしました。昨日、複数のコクガンの姿があった岩礁にはこの日もたった1羽ながらコクガンの姿があり、穏やかな海上にはホオジロガモの群れやシノリガモ、ヒドリガモ、マガモが見られ、どこからともなく美しいウミアイサのオスが飛んできました。その後は別の場所に行ってみることにしましたが、これが当たったようで岩礁に100羽はいようかというコクガンの群れがいました。コクガンは鳴き声まで聞こえるほど近くにいて、岩礁に群れたり、周辺を泳ぎまわったりとさまざまなシーンを見せてくれ、遠くの海上にはアカエリカイツブリの姿もありました。その後は再びシマエナガやヤマゲラを探して戻りましたが、この頃からは予報通り小雪が舞ってきていました。途中にある駐車場ではここでも3羽のミヤマカケスがやってきて楽しませてくれ、その後に立ち寄った公園ではたまたま飛んできたオオハクチョウの群れが見事な飛翔を見せてくれました。そして最後は朝に歩いた場所に再度行ってみることにしました。相変わらずシジュウカラやヤマガラ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラは元気に飛び回っていて、アカゲラも頻繁に姿を見せてくれました。またシメがやってきて枯れ木に止まってしばらくその姿を楽しませてくれました。そして時間ギリギリになってしまったものの餌台にヤマゲラがやってきていてその姿を見ることができました。

毎回毎回、天候や積雪の状況が気になるエリアでの探鳥ですが、今回は概ね天候も良く、風もなかったため穏やかな中で3日間を過ごすことができ、これが今回の成果につながったように感じました。苫小牧では定番のハシブトガラやシロハラゴジュウカラ、カササギ、そして今年の冬を象徴するかのように数羽のベニヒワに出会うことができました。遊楽部ではいきなりイスカに出会う幸運があり、海上にはビロードキンクロ、コオリガモの姿がありましたが、目玉であるオオワシ、オジロワシの個体数が少なかったのが気になりました。各漁港ではここでもキレンジャクに出会う幸運があり、ワシカモメ、シロカモメ、シノリガモ、ホオジロガモ、ウミアイサが見られ、今回は100羽はいようかというコクガンの群れが圧巻でした。ほかにもアカウソ、ベニマシコ、ヤマゲラに出会うことができ、今回はミヤマカケス、アカゲラとの出会いが多かったことも印象的でした。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ベニヒワ 撮影:nanazo様

 

イスカ 撮影:小林浩様

 

コクガン 撮影:nanazo様

 

キレンジャク 撮影:小林浩様

 

ミヤマカケス 撮影:小林浩様

 

コクガン 撮影:小林浩様

 

アカウソ 撮影:小林浩様

 

シメ 撮影:小林浩様

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