【ツアー報告】利根川周辺の冬の猛禽類 2023年12月2日
(写真:コチョウゲンボウ 撮影:杉崎明登様)
冬になるとさまざまな猛禽類が身近な環境で見られるようになってくることから、冬の定番日帰りバスツアーとして長らく催行させていただいているのがこのツアーです。千葉県から茨城県の利根川周辺、さらには霞ヶ浦南部をめぐるとさまざまな猛禽類が見られるだけでなく、人気があるタゲリや越冬しているシギチドリ類、毎年越冬しているヒシクイなどが見られます。そしてこのツアーのメインは、夕暮れ時に次々にやってきては塒に入っていくチュウヒたちを見ることで、年によっては複数のハイイロチュウヒも見られ、塒にやってくる小鳥類を狙って、コチョウゲンボウも見られます。ここ数日はぐっと冷え込んではきていたものの、ずっと晴天が続いていて、この日も幸いなことに天気予報は概ね晴れ予報の中で出発することができました。
2日、この日も早朝からほぼ快晴の東京駅前にご集合いただき、予定通り08:30に出発してひとまず高速道路を走って千葉県方面に向かいました。移動中のバス車内ではこの日に見られる可能性が高い種の解説や、今回の主役である猛禽類の探し方や識別のポイント、さらには主にチュウヒとハイイロチュウヒ、チョウゲンボウとコチョウゲンボウの違いについての解説をしながら進み、途中のサービスエリアでの休憩を挟んでも2時間ほどで現地に到着しました。到着後は各自観察機材準備をしていただいてから再びバスに乗って探鳥をスタートしました。まずは利根川が一望できる河川敷から探鳥しました。猛禽類、特にチュウヒはやや風があったほうが良く飛ぶのですが、この日は風がほとんどないせいかヨシ原を飛んでいるチュウヒは少なく、数羽はゆらゆらと飛んでいるのみでした。そのため一旦、場所を変えてみましたが、ここでもチュウヒの数は少なく、ただ川に群れているカモ類が多く、マガモやホシハジロが乱舞していました。その後はさらに利根川に沿って上流方向に走り、途中にあった湿地にはタゲリが群れていました。観察していると付近からタカブシギが飛び立ち、「チョーチョー」と独特の声で鳴きながら2羽のアオアシシギが飛んできました。観察後にさらに進むと、ここ数年やってくるようになったオオハクチョウとコハクチョウの群れが広大な畑地に群れていたことから観察しました。ややオオハクチョウが多い印象で、周辺んでは電柱に止まっているノスリも見られました。その後は霞ヶ浦周辺まで移動して一旦、昼食の時間とし、その後は夕方のチュウヒの塒入り観察の時間まで周辺の猛禽類ポイントをめぐってみました。毎年、ヒシクイが越冬にやってきている干拓地では残念ながら飛来数が極端に少なく2羽とのこと。またほとんど見ることができていないとのことで早々に切り上げました。その後はまた別の畑地に行くとタゲリ、そしてムクドリの群れもいたのでバスを降りて観察をしました。するとムクドリを狙っているのか、どこからともなく飛んできたコチョウゲンボウの美しいオスが電線に止まりました。たまたま順光だったことからより美しく見える姿をじっくり観察する幸運がありました。その後もさまざまな場所をめぐり、水田に小群で餌を探しているコチドリ、タゲリ、その後はタシギ、タカブシギを見ることができ、いよいよ周囲が薄暗くなってきた16:00に合わせてチュウヒの塒入り観察を行いました。塒入り探鳥は風が吹いている日のほうがチュウヒが乱舞するため見ていて面白いのですが、この日はかなり穏やかだったことから飛んできたチュウヒが木々に止まるケースが多く、そのため逆に個々の特徴を見ることができました。またハイイロチュウヒのメスは比較的早い時間に飛んできたため翼下面の特徴的な模様を見ることができました。またタヒバリの群れが塒にやってきたのに合わせて、それを狙ってコチョウゲンボウのメスがやってきて飛び回り、結果的には20個体以上のさまざまな色合いのチュウヒを見ることができました。
この日は夕方の時間帯は冷えこんではきたものの、基本的には晴天で無風とかなり穏やかな1日となりました。ハイイロチュウヒのオスを見ることはできませんでしたが、コチョウゲンボウのオスをじっくり見る幸運があり、ミサゴ、チュウヒ、ハイイロチュウヒ、ノスリ、チョウゲンボウと猛禽類を数多く見ることができました。また人気のタゲリをはじめ、タシギ、タカブシギ、アオアシシギなどのシギ類にも出会え、オオハクチョウ、コハクチョウの群れにも出会え1日を楽しむことができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史