【ツアー報告】渡り鳥の中継地 秋の粟島(追加設定)2023年10月27日~29日

(写真:カラフトムジセッカ 撮影:名尾良英様)

27日、岩船港で粟島行きのフェリーの乗船を待っていると、雨が激しく降り始めてきたが、乗船時には噓のように止んでくれた。今回は天気予報では3日間を通して雨予報ながら、雨雲の動きを見るとこのように降ったり止んだりということが断続的に続くようなので、雨の合間を使っての観察になりそうだ。粟島に到着してまずは畑地で観察を行うと、ツグミ、シロハラ、ムクドリなどが見られ、その背後の畑地の電線にヒレンジャクの小群やアトリ、マヒワも見つかり、なかなか幸先良いスタートを迎える。灰色の雲を気にしながら畑地を歩くと、先週のツアーの時も確認できたマヒワ、ベニヒワなどに加え、新たに入ってきたであろうホシムクドリの姿も確認することが出来た。農耕地ではアトリ、マヒワなどのアトリ類、カシラダカが特に多く、どこを見ても鳥の姿が見つかるような状況で、これこそ渡り途中の島ならではの醍醐味である。

翌28日、日の出直後の6時より観察を始め、まずは島の北側へと向かうと、ここではツグミ、メジロ、シメが特に多く、数十羽の群れが飛び交っている。それらにウソやイカルの鳴き声も聴こえてきて、ずっと何かしらの鳥の声を聴きながらの観察という感じである。その鳥の声のなかから何か面白いものはと、耳を傾けながら観察していると、特徴的なシラガホオジロの鳴き声が聴こえてきたので探し始めると、すぐに柳の枝にその姿を見つけることが出来た。朝食のため宿に戻って、朝食後は畑で観察をすると、新たに入ってきたであろうミヤマガラスの小群が見られたほか、ある枝豆畑からムジセッカのような声が聴こえてきたが少し違和感があったのでその姿を探すと、やはり声の主はカラフトムジセッカであった。それも1羽だけでなく、狭い畑野中から何羽もの声が聴こえてくる。どうやら1日で鳥の様子も変化したようである。海岸沿いの道を歩いてみると、ここでキクイタダキの姿が特に目立ち、道端でマヒワと共に手の届きそうなところで必死に餌を探している。

29日、最終日が3日間を通してもっとも悪い予報であったが、目を覚ましても雨音が聴こえない。これは幸いと鳥崎から観察を開始すると、今朝も鳥が多く、ツグミ、シメ、アトリなどの群れが灰色の空を絶え間無く飛び交い、畑地には多数のカシラダカが見られた。農耕地から飛び上がる鳥はほとんどがカシラダカなのだが、ビーンと濁った声で飛び上がる鳥がいたので、ビンズイですと案内しながら望遠鏡をのぞくと、どうも様子が違う。細部をしっかりと観察すると、これがヨーロッパビンズイであったので、一気に盛り上がる。朝食後は場所を移し、時折弱い雨が降るなか観察をすると、昨日確認したミヤマガラスの群れはすでに見られなくなっていたが、昨日も確認したベニヒワやカラフトムジセッカはまだ観ることができた。そして、ひととおりの観察を終えて宿に戻ろうと街に入って歩いていると、小さな草地に数羽のホオジロ類が降りていたので、双眼鏡で確認すると、1羽だけ様子の違う鳥がいる。急ぎ、望遠鏡をのぞくと、これがシラガホオジロであった。最後の最後に秋の島らしい鳥をゆっくりと観察して、笑顔のまま宿へと戻った。

今回は雨の合間での観察となり、時には雨宿りをして過ごしたりと、ご参加の皆様にはご苦労をおかけいたしましたが、皆様のご協力のおかげで円滑にツアーを運行することができました。ご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました。

田仲 謙介

マヒワとベニヒワ 撮影:小原伸一様

 

キクイタダキ 撮影:名尾良英様

 

カシラダカ 撮影:小原伸一様

 

シラガホオジロ 撮影:名尾良英様

 

キクイタダキ 撮影:小原伸一様

 

ベニヒワ 撮影:名尾良英様

 

カラフトムジセッカ 撮影:小原伸一様

 

ヨーロッパビンズイ 撮影:名尾良英様

 

ホシムクドリ 撮影:名尾良英様

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