【ツアー報告】渡り鳥の中継地 秋の粟島 2023年10月20日~23日
(写真:ベニヒワ 撮影:大槻繁様)
20日、出発前からあいにくの雨予報であったが、東京駅を発ち新潟県に入っても、雲の多い空模様ながら、幸運なことに雨は降り始めていない。このまま予報が良い方向に外れてくれることを祈りつつ、新潟駅で下車して村上駅と進み、岩船港から粟島を目指す。
粟島に到着後、宿で小休止をしてから畑地で探鳥を始めると、今期はどこでも渡来数が多いというマヒワが特に目立ち、そこかしこにその姿が見つかる。加えて、ツグミやシロハラなども多く、何時になく鳥が多い印象を受ける。しかし、この数多い鳥を1時間ほど観察しながら過ごしていると、とうとう雨が降り始めてきて、悪いことに次第に雨脚が強まり、横から強く打ちつけてくる。屋根の下で雨宿りをしながら弱まるのを待つが、一向に雨が弱まらないため宿に戻る。その後も雨の動向を窓から眺めるが、一向に弱まらないまま空が暗くなり、なんとも無念な初日を終える。
21日、日の出から観察を始め、まずは島の北側に向かう。朝食のため宿に戻り、朝食後は畑で観察をする。今日も昨日同様にマヒワがよく目立つが、ベニヒワとジョウビタキもたくさんいる。マヒワが多い時はベニヒワもというが、今日はそのベニヒワがそこかしこで観られるため、ついつい「またベニヒワです」と言ってしまう始末に。同じく目立つジョウビタキは、きれいなオスが何羽もが隣り合って小さな群れとなっているが、縄張り意識の強いジョウビタキのこのような姿を観ることができるのも、渡り途中の島だからであろう。昼食後は細かい雨が時折降るなか畑で観察をしてシラガホオジロやタヒバリなどを新たに確認する。
22日、最終日の朝は畑から観察を開始するが、周回道路を一周してもほとんど鳥が観られない。場所を移すと、昨日まで多かったマヒワやベニヒワの数は減ったものの、アトリの増加が目立ち、30羽ほどのイスカの群れも飛びまわっている。畑にはきれいなハチジョウツグミの姿もあり、出ていく鳥がいる一方で新たに入ってくる鳥もいる様子が目に見えて、楽しい。朝食を食べた後はフェリーの出航まで残された時間を畑地で観察をしていると、島内放送が流れてきて、私たちが乗船予定のフェリーの欠航が伝えられた。予定外の出来事であったため、私は急遽、その対応に追われることに。
帰れなくなってしまった結果、午後の探鳥へ出かけられることとなったのも皮肉なことだ。気を取り直して向かった場所では、青空が広がる好天であったが北風が強く吹いており、今日のフェリーが欠航になったのもうなずける。その強風の吹くなかでは鳥影も薄かったが、シベリアジュリンやヨーロッパビンズイといった秋の離島らしい鳥たちが新たに現れてくれた。その後に訪れた場所ではシメの群れが飛び交っており、枝豆畑のなかにはムジセッカの姿も見つかった。そして戻ろうかと歩いている我々のほうを目指して飛んでくる鳥がいたので双眼鏡を向けると、驚いたことにこれがシラコバトであった!まったく予想をしていなかった珍鳥の出現に盛り上がる。帰路の途中で海のテトラポットに眼をやると、強風を避けるようにウミネコが集結していたが、そこになぜか1羽だけ混じるオシドリの姿もあった。
23日、本日は朝食後すぐのフェリーで粟島を発つ予定であるが、朝食前のわずかな時間を使って宿のそばで探鳥すると、エゾビタキやコサメビタキが増えたような様子であったほか、昨日発見したシラコバトを再発見して、きれいに撮影された方もおられた。
今回は船の欠航により急に予定より1日延びてしまうこととなりましたが、ご参加の皆様のご理解、ご協力のおかげで円滑にツアーを運行することができました。ご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました。
田仲 謙介