【ツアー報告】秋の対馬 大群で渡るアカハラダカと渡りの小鳥たち 2023年9月10日~12日

(写真;アカハラダカ 撮影:布留川毅様)

9月中旬の対馬は、朝鮮半島から渡ってきたアカハラダカが通過していくことが知られており、毎年10,000羽を超えるアカハラダカが通過していきます。対馬を通過した後は、長崎県烏帽子岳や南西諸島を通過して、越冬地である南方まで飛去していきますが、対馬は国内の玄関口となっている場所です。このツアーは渡っていくアカハラダカの渡りを観察するのが目的のツアーですが、ここ数年はこの時期に台風が重なってしまい、対馬名物の壮大な渡りを観察することがかないませんでした。はたして今秋はどうでしょうか。

10日朝、羽田集合にご集合いただいた後に長崎空港へ予定通りに到着すると、空港の外には晴天の空が広がっているにも関わらず、対馬までの便が着陸できない場合は福岡空港に引き返すという条件付の運行であるとの案内が搭乗口で告げられました。そのため少し不安を抱えての搭乗となりましたが、対馬の天候も快方に向かったのか、そのような心配も杞憂に終わり、予定通りに対馬空港に到着することができました。空港からまずはアカハラダカ観察ポイントまで向かいます。本日は対馬野鳥の会のアカハラダカ観察会の日でもあることから、到着すると野鳥の会の有志の方もおられ、山の稜線に現れるアカハラダカの姿を観察します。しかし、ここでのアカハラダカ観察は午前中が本番ということで、さらなる群れへの期待は翌日以降に持ち越しとなりました。峠を下った後は水田地帯へと向かいますが、到着すると水田の稲も青々と茂っており、期待していた渡り途中の小鳥たちを観察するのが厳しい状況でした。それでも秋の渡り鳥であるシマアカモズの姿をここで確認して、初日の探鳥を終えます。

11日は昨晩の降雨の影響か、朝は地面が濡れていましたが、まずまずの晴天のなかを出発します。本日もアカハラダカの群れは繰り返し現れますが、どの群れも天候の影響なのか、なかなかそばには現れずに遠いところを舞うものが多く、ちょっと退屈しかかっていると、突然1羽のアカハラダカが眼前に現れました。こういうことがあるので、油断ができません。ところが、空を見上げていると、次第に青空を灰色の雲が覆う面積が広くなっていき、その雨雲が頭上を覆ったかと思うと、大きな雨粒が落ち始めてきました。そのため予定よりも1時間ほど早く観察を終えることとなってしまいましたが、昼食のために山裾まで下ると、こちらは激しい雨が嘘のように晴れ渡っていました。昼食後は、渡り途中の小鳥を探すために水田をまわりますが、こちらも昨日同様にまだ水田が茂っているため、期待していたセキレイ類やホオジロ類の姿はほぼありませんでしたが、渡り途中のチゴハヤブサが上空に現れ、空中で餌を捕まえて食べる姿を観察することができました。そして最後に訪れた水田地帯は、幸いにも少しだけ稲が刈られた水田があり、そのわずかな水田に集まるツメナガセキレイの小群を観察することができて、この日の観察を終えました。

最終日12日は午前中だけの観察であるため、残された時間で大きなアカハラダカの群れが現れることを期待して観察します。到着すると、本日もアカハラダカはよく現れますが、昨日とあまり変わらず、少し遠いところを飛ぶ群れが多かったのですが、ようやく展望台上空を通過する群れが訪れてくれ、最終日にしてようやく対馬のアカハラダカの渡りの面白さの一端を味わわせてくれました。

今回は結果的には期待したような大きな群れと出会うことは残念ながらかないませんでしたが、連日渡っていくアカハラダカを観察しながら、「次こそは!」という期待を持ちながら観察することができました。その機会は次回へとお預けとなりましたので、また機会を改めて対馬を訪れていただければと思います。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

田仲謙介

アカハラダカ 撮影:酒井知子様

 

エナガ 撮影:布留川毅様

 

ハリオアマツバメ 撮影:酒井知子様

 

コゲラ 撮影:布留川毅様

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