【ツアー報告】モンゴル 中央ゴビと南ゴビ バードウォッチング 2023年8月21日~28日
(写真:サケイ 撮影:木下文生様)
21日、12:00 成田空港第2ターミナル集合。チェックイン、出国手続きを済ませて搭乗。乗客はほぼ満席、日本人もたくさん乗っている。ところが何の放送もなく1時間程待たされて、遅れて離陸する。モンゴル航空はこの4年間で対応が凄く良くなり機内食が美味しくなっていた(個人の感想)。不思議なことに出発が1時間も遅れたのに、チンギス・ハーン国際空港に定刻着陸。日本との時差は-1時間、荷物を受け取り、コーディネーターと挨拶。空港が昨年から新しくなったがコンパクトで分かりやすい。車は計4台に分乗。21:00 河畔林沿いのホテルに到着。21:30から野菜スープの軽い夕食。
22日、ホテルの庭や周辺の河畔林を歩き、カササギ、ベニハシガラス、シラコバト、コノドジロムシクイ、ヨーロッパシジュウカラなどを観察、撮影する。この4年で河畔林はプライベートが多くなって入れない場所が増え、さらにミヤマガラスやコクマルガラスのカラス類がかなり増えた感じがする。今回のツアーでルリガラが生息している場所がこの河畔林だけなのでちょっと焦る。ルリガラの鳴き声がしたので急いでその方向を探すと、5~6羽のルリガラが採餌をしていた。もちろん皆さんでじっくりと観察、撮影する。さらに、近くの枯れ木にコアカゲラがとまるのでこちらも堪能する。朝食は人によってチーズが1~2枚、キュウリが無い、ウインナーの数がまちまちというモンゴルの洗礼?を受けるがこの国ではこんなことを気にしてはいけないのだ。車両4台に分乗して出発。本日は約350kmの中央ゴビまで移動する。この4年間でウランバートル郊外の発展は凄まじく、草原の中にポツンと立っていた国立武道館が完全に町中に埋もれてしまい、どこまで行っても高層ビルが立ち並び、浦島太郎状態なのだ。市街地を抜けて高速道路を南下すると広大な草原が広がる。私が勝手に名付けた“猛禽の谷”と呼んでいる緩やかな谷に到着。ここはスナネズミがたくさんいて、それを餌にする猛禽類が集まって来るのだろう。直ぐにソウゲンワシとオオノスリが数羽旋回する。ワキスジハヤブサが行き来して、クロハゲワシ数羽も飛ぶ。そして、イヌワシも飛来して、あっという間に見たい猛禽類が勢揃いしたのである。さらに、高速道路を南下する。道路沿いの“ホーショール” の有名な店へ行く。“ホーショール”とは小麦粉の皮に挽肉と野菜を入れて油で揚げた大きな揚げ餃子のようなモンゴルの食べ物である。“スーテーツァイ”という薄い塩味の薄いミルクティーを飲みながら待つこと1時間。ようやく、熱々の“ホーショール”を食べて出発。走りだすと直ぐに後続の車から「ツルがいる」と連絡が入る。急いで、戻るとアネハヅルの夫婦が草原を歩いている。この時期は、鳥たちがどんどん南下していくのでアネハヅルにもなかなか出会えないから、みなさんでじっくりと観察、撮影する。この時期に見られるアネハヅルは子供を連れた家族が多いのだが、この個体は夫婦でいる。何かがあったのだろうかなどといろいろ考えてしまう。さらに南下して高速道路から草原道へ入り、岩場にはイナバヒタキ、ハシグロヒタキ、サバクヒタキやハマヒバリ、電柱にはワキスジハヤブサがとまっている。さらに草原を進み遊牧民の小屋でイワスズメを観察、撮影をしてから中央ゴビのホテルに到着。
23日、ホテルの周辺を歩く。電波塔でチョウゲンボウ約20羽が塒にしていてヒメチョウゲンボウが数羽、アカアシチョウゲンボウが混じり、チゴハヤブサも近くを飛ぶ。ヒメチョウゲンボウの綺麗な雄を全員でじっくりと観察、撮影する。その後、近くの公園へ行き、アカマシコ、ムジセッカ、コムシクイ、キマユムシクイなどの渡り途中の鳥たちを見ているとその中にマミジロキビタキ雌が混じってて皆さんで盛り上がる。朝食後出発。草原の中の道路を鳥を探しながら走る。オオノスリやクロハゲワシが草原に降りてて、ハマヒバリ、ヒバリ、イナバヒタキ、ハシグロヒタキなどが次々飛び立つ。皆さん憧れのコウテンシが比較的近い距離に降りて皆さんで盛り上がる。小さな池にはアカツクシガモやツクシガモがいてツクシガモのヒナ12羽が潜水ガモのように潜っている。水溜りにはモウコユキスズメ50羽程の群れが降りて水浴びをする。コマミジロタヒバリが近くの岩の上に降りる。岩山を越えて観光ゲルで昼食。昼食が出来るまでゲルの周りを歩くと、アリスイが草原に降りてて驚かされる。サバクヒタキ、ベニハシガラス、ハマヒバリなどを観察、撮影してから昼食。途中、遊牧民の小屋の屋根にとまっているコキンメフクロウを皆さんでじっくりと観察、撮影。さらに、サケイ20羽程が道路から飛び立ち草原の彼方へ飛んでいく。草原の中の小さな池でオグロシギ16羽、ハジロクロハラアジサシ、オジロトウネン、ヨーロッパトウネン、アカアシシギなどを観察、撮影。草原のデコボコ道を走ってホテルに到着。
24日、電波塔でヒメチョウゲンボウの写真を撮る人と郊外の草原を歩く人に分かれて行動する。コサメビタキが渡って来たようであちこちにいる。アカモズ、ハシグロヒタキ、イワスズメなどを観察、撮影してホテルに戻り朝食、本日は高速道路を南下して約300kmの南ゴビへ移動する。ところが直ぐに高速道路が工事中で草原のデコボコ道を走る。だんだんと大きな植物が見られなくなり、芝のような草と礫ばかりとなる。イナバヒタキやハマヒバリが飛び立つが前を急ぐ。13:00 草原でパンにハムやチーズを挟んだ簡単な昼食。モンゴル側はレストランでモンゴル料理を食べて欲しいようだが、1時間も待たされるので、これで十分なのだ。サバクヒタキを見ながらの昼食である。こんな砂漠の中にトカゲがたくさんいるが、-30℃にもなる冬をどうやって越しているのだろう。13:45 高速道路に戻ってぐんぐん南下する。高速道路といっても日本のものとは違って、あちこちに穴が開いていて、さらに山羊、羊、馬、牛、ラクダが普通に歩いているのだ。南ゴビの町に到着してホテルにチェックイン。この町もこの4年間に大発展してて高層ビルがいくつも立ち並び、建設中のビルがあちこちにある。過去にサケイが集結していた草原を車4台が間隔を置いて並んで走るローラー作戦を実施する。といっても、ゴビ砂漠は面積約130万k㎡ もあり日本の面積の3.5倍もあるので、走っているところはゴビ砂漠のほんの一部分なのだ。その中からサケイを探し出すのは至難の業で、経験と勘だけが頼りという心許ない勝負なのである。すると2号車から「サケイ!」の連絡がある。急いで駆けつけると、サケイ雄1羽、雌2羽がのんびりとニラの種を啄んでいる。全員が駆けつけてたっぷりと堪能する。その後もサケイを探して車4台でローラー作戦を行ったが、遠くを飛ぶ30~50羽程の群れをいくつか見ただけで大集結とは出会えなかった。しかし、こんな乾いた草原でオオメダイチドリをじっくりと観察、撮影。ホテルに戻るとホテルの前の上空を50~60羽のハイタカが鷹柱を作って渡って行ったのである。
25日、希望者だけでホテルの周辺を歩き、鉄塔で十数羽のヒメチョウゲンボウが寝ている。通称“恐竜公園”へ行くと、オジロビタキが渡って来たようであちこちにいる。コサメビタキ、アカマシコ、ムジセッカなどを観察、撮影してから朝食、4年前は草原だった町の郊外にはマンションが立ち並び、舗装道路が整備されていて「ここはどこ?」という感覚になる。舗装道路から山道に入ると、山道も整備されてて快適となる。ヒゲワシの谷に到着。急いで準備をしてヒゲワシがよく見られるポイントへ行く。既にヒマラヤハゲワシが次々に飛び立ち、旋回をしては流れていく。すると、ヒゲワシの成鳥が悠々と飛んできた。翼開長280cmもある大きなワシで成鳥は腹部下面が真っ白で優雅に飛ぶのである。何度も旋回して皆さんでたっぷりと堪能する。谷を歩くとウスヤマヒバリ、クロジョウビタキ、ユキスズメ、チャイロツバメ、ニシイワツバメやナキウサギ、スナネズミなどが次々に現れて皆さんでじっくりと観察、撮影する。するとお客様が「あれは何?」と指を差す方向を見るとカベバシリが崖を上っているではないか。水浴びをしていたようで、川に降りては崖を上っていく姿を全員でたっぷりと堪能。さらに進むと、ヒゲワシの亜成鳥とイヌワシの亜成鳥が飛翔し、ヒゲワシがイヌワシを攻撃するシーンを観察、撮影。その後、ヤツガシラ、キバシヒワ、コウライバト、ユキスズメなどを観察しながら帰路につき昼食。13:30 出発して山道を走って行くと、崖の上にシベリアアイベックスの巨大な角を持った雄が立っている。その横には雌もいて、2頭でじっとこちらを向いているのでみなさんでじっくりと観察、撮影する。その後、草原の未舗装道を走る。サケイの50~150羽の数群がさらに南へ飛んでいく。トイレに行った数名が「コキンメフクロウがいる」と、走って来てくれたが飛んでしまったのか見付けられない。草原を歩き、イナバヒタキ、モウコアカモズなどを観察、撮影。遊牧民の小屋の屋根にとまっているオオノスリが何か違和感があり識別ポイントを議論していると飛んでしまった(後にニシオオノスリと判明)。オジロビタキが砂漠のあちこちにいて、サケイ7~8羽が餌を食べている。その後もサケイの50~200羽の群れがいくつも南へ飛んで行き、今日だけでも500~600羽以上の個体を見たが、今年はどんどん南へ行っているようで、この辺りには大集結はしていないのである。19:20にホテルに到着。
26日、希望者だけで鉄塔でヒメチョウゲンボウの写真を撮る人と“恐竜公園”を歩く人に分かれて行動する。オジロビタキがさらにたくさん渡って来たようであちこちにいる。コムシクイ、ムジセッカ、フタオビムシクイなどを観察、撮影して朝食。草原の中の高速道路をひたすら北上する。道路工事の採石場へ行くとモウコナキスズメ120~130羽が飛び回り、キセキレイ、ツメナガセキレイ、キガシラセキレイを観察、撮影する。さらに高速道路をぐいぐいと北上し、岩場にイヌワシやソウゲンワシがとまっていたので、ここで昼食とする。さらに高速道路をぐいぐいと北上し、中央ゴビ手前の池にアネハヅル16羽、ツクシガモ、マガモなどがいてみなさんで観察、撮影する。さらに高速道路を北上し、道路脇にとまっているソウゲンワシの写真を撮ったりしながら中央ゴビの草原へ行き、チョウゲンボウ、ソウゲンワシ、サバクヒタキなどを観察、撮影してホテルに到着。
27日、希望者だけで鉄塔でチョウゲンボウ類の写真を撮る人とホテルの近くの公園へ行く人に分かれる。ベニハシガラス70羽程の群れが大騒ぎをして、鉄塔にはチョウゲンボウやヒメチョウゲンボウが十数羽塒に使っている。公園へ行くとあちこちにオジロビタキとムジセッカがいてアカマシコも鳴いている。07:30朝食。08:20出発。鳥を探しながら草原のデコボコ道を走る。鳥の群れが飛んでて「サケイ?」と思ってよく見るとムナグロ30羽程の群れにコシャクシギ1羽が混じっていた。さらに草原を走り、大きな池がありアカツクシガモ、ツクシガモ、コガモ、タゲリ、ツルシギ、ユリカモメ、ハジロクロハラアジサシなどがたくさんいるが水際がぬかっていて近づけない。さらに草原を走ると、石の上にコキンメフクロウがとまっていたので皆さんでじっくりと堪能する。さらにさらに草原を走り、先日、道に迷って辿り着けなかった“スムフォホ・ブルド”という古城の遺跡がある湖に到着。4年間でアシが繁茂して開放水面が殆ど無くなっている。アネハヅルが20羽程、チュウヒ、オオハクチョウ、オグロシギ、クサシギ、オオバン、アカハラツバメなどなどを皆さんでじっくりと観察、撮影する。お昼を食べているとワキスジハヤブサが小鳥をアタックする。草原の未舗装道路をひたすら走る。岩場の山を越える時にクロハゲワシの巣があり若鳥がとまっていた。ハマヒバリがあちこちから飛び出すが近くに降りない。さらに草原のデコボコ道を走り、16:00に高速道路に出て舗装道路を北上する。途中、工事中で草原の道を走るが、再び、舗装道路に戻って北上する。“猛禽の谷”でオオノスリ、ソウゲンワシ、クロハゲワシ、ワキスジハヤブサなどを観察、撮影して、さらに北上する。そしてウランバート郊外のスーパーマーケットでお土産を買ってホテルに到着。
28日、04:00朝食を持って出発。チンギスハーン国際空港に到着。07:45にウランバートル離陸。成田着陸後は受託手荷物を受け取り解散しました。とにかくよく走ったツアーでした。みなさま、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
宮島仁