【ツアー報告】初夏の奥日光 戦場ヶ原と日光白根山(追加設定)2023年6月9日
(写真:ノビタキ 撮影:中村由紀子様)
主に晩秋や冬季にツアー企画してきた奥日光ですが、王道ともいえる初夏にも訪れることにしました。奥日光には標高約1400ⅿの戦場ヶ原があり、わずかな距離には標高約1700ⅿの日光白根山登山口があるため、今回はノビタキ、ホオアカなどの草原の野鳥、キビタキ、コサメビタキなどの森林の野鳥に加え、コマドリ、ルリビタキといった亜高山帯の野鳥たちも観察するといった具合に3つの環境をめぐることにしました。もちろんカワガラスやカラ類など奥日光を代表する留鳥たちも豊富なため、ちょうど賑やかな時期でしょう。
9日、この日は前日に雨雲が次第に関東に接近してくる状況でしたが、天気予報によるとこの日は次第に雨雲が離れ10:00過ぎには奥日光周辺は雨が止むだろうとのことでした。早朝の東京駅前は雨模様で出発直前にはかなり激しい雨でした。ただ順調にご集合が済んだことから予定通り07:30に出発することができました。出発後はいつものようにバス車内ではこの日見られる可能性がある野鳥たちの解説や行動予定、現地の環境や状況などをお伝えしながら進み、途中にあるサービスエリアで休憩をとった時には曇り空ながら雨は止んでいました。ただここから日光有料道路に入った頃からは再び激しい雨になりどうなることかと心配でした。ただいろは坂にさしかかった頃には空は明るくなりはじめ、山霧が立ち込める中を走り、いよいよ中禅寺湖が見えたころには一部に青空が見え始めていました。まずは戦場ヶ原まで行って休憩し、同時に観察機材の準備をしていただいてから再度出発しましたが白根山方向は霧で全く視界がないことから急遽予定を変更して、最初に森林の野鳥たちを見に行くことにしました。駐車場では早速、シジュウカラの幼鳥やヒガラが飛び回り、ふいに飛んできたキビタキのオスが横枝に止まってじっとしていたため、まずはたっぷり観察することができました。林に入るとエゾハルゼミの大合唱がうるさかったですが、カワガラスが倒木に止まり、少々歩いたところではカワガラスの幼鳥を見ることができ、木道をアナグマが歩いていました。さらに歩くと川沿いでオシドリのつがいが休んでいて、観察後に来た道を戻るとかなり賑やかなエナガの幼鳥たちに取り囲まれる状況になりました。しばらく観察していると、シジュウカラやヒガラ、コゲラ、コサメビタキ、ニュウナイスズメなども同時に見られ、ゴジュウカラは木の幹を逆さまになって歩いていました。最後はアカゲラのメスを見てから一旦、昼食の時間としました。昼食後は湯元から金精道路を進んで白根山登山口まで移動しました。天気がどうなのか心配でしたが意外にもこちらのほうがよく晴れていました。ひんやりとした空気の中、各所からルリビタキ、エゾムシクイ、メボソムシクイのさえずりが聞こえ、さらに進むと当地では恒例になっているジュウイチの叫び声のようなさえずりが聞こえていました。ただこの日は意外にも鳥影が薄く、最後にキセキレイ、ルリビタキを見てから戦場ヶ原に移動しました。駐車場ではキセキレイがさえずり、付近のズミの花には複数のニュウナイスズメがやってきていて、枯れ木や電線に止まってその姿を見せてくれました。林に入るとここでもエナガの幼鳥が見られ、ズミにはアオジが止まっていました。川沿いの木道を歩くとカルガモが見られ、戦場ヶ原が一望できる場所では、盛んに飛び回っては低木に止まるノビタキのオス、メスを堪能することができ、ホオアカの姿もありました。さらに歩くとアカゲラが見られ、付近ではウグイスが枯れ木に止まってさえずる姿をじっくりと観察することもできました。来た道を戻ると再びノビタキ、ホオアカがじっくり見られ、遠くからはカッコウの声が響いていました。そして最後は求愛給餌をするモズのつがいを見てこの日の探鳥を終えました。
この日の早朝の都内はかなり激し雨が降っていてなにかと心配でしたが、ちょうど現地に到着すると同時に晴れ間が広がり、午後には蒸し暑さを感じるほどの陽気になりました。亜高山帯の野鳥たちがあまり見られず残念でしたが、ジュウイチ、ルリビタキ、エゾムシクイ、メボソムシクイなどのさえずりが聞こえ、林ではキビタキ、コサメビタキ、アカゲラ、ゴジュウカラ、エナガ、ヒガラ、コゲラ、オシドリ、カワガラス、そして戦場ヶ原ではノビタキ、ホオアカ、アオジ、ニュウナイスズメなどを楽しむことができ、結果的には雨に降られることなく探鳥を終えることができ幸いでした。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史