【ツアー報告】初夏の奥日光 戦場ヶ原と日光白根山 2023年5月24日
(写真:ルリビタキ 撮影:東海林治様)
主に晩秋や冬季にツアー企画してきた奥日光ですが、王道ともいえる初夏にも訪れることにしました。奥日光には標高約1400ⅿの戦場ヶ原があり、わずかな距離には標高約1700ⅿの日光白根山登山口があるため、今回はノビタキ、ホオアカなどの草原の野鳥、キビタキ、コサメビタキなどの森林の野鳥に加え、コマドリ、ルリビタキといった亜高山帯の野鳥たちも観察するといった具合に3つの環境をめぐることにしました。もちろんカワガラスやカラ類など奥日光を代表する留鳥たちも豊富なため、ちょうど賑やかな時期でしょう。
24日、この日は天気予報にはまったく不安がなく、早朝の東京駅前も晴れていて当日の東京都内の最高気温は24℃と初夏の陽気になるとのことでした。奥日光は現地までの距離があるため出発時間を通常のツアーよりも早めの07:30としていて、この日もほぼ時間通りに出発することができ、いつものようにバス車内ではこの日見られる可能性がある野鳥たちの解説や行動予定などをお伝えし、途中にあるサービスエリアで休憩をとった後は日光有料道路を経由して、おなじみのいろは坂を上っていきました。車窓からはみずみずしい新緑を眺めることができ、中禅寺湖が見える頃にはやや風がありましたが青空が広がっていました。まずは戦場ヶ原まで行ってここで休憩、そして観察機材の準備をしていただき再度出発となりましたが、白根山方向には黒い雲がかかりなにやら怪しげな空模様でした。金精道路を進むといきなり小雨が降りだして天気は急変といった感じ。トンネルを抜けると雨は降ってはいませんでしたが、駐車場に到着と同時になんと小雪が舞い始めました。それでもいきなり美しいルリビタキのオスがやってきて姿を見せてくれ、川沿いではミソサザイがさえずっていました。さらに進むと雪の勢いが増してきてまるで真冬のような景色の中での探鳥となりました。さすがに小鳥類のさえずりはありませんでしたが、この日はルリビタキの出現が続き、美しいオス、そしてメスも間近にやってきて雪の中のルリビタキを堪能でき、キバシリを見ることもできました。林に入るとメボソムシクイのさえずりが聞こえ、オオアカゲラのオスも見られましたがここでも主役はルリビタキで、数羽が間近にやってきては何度も何度も可愛らしい姿を見せてくれました。ほかにも巣作り中なのかコガラがやってきたり、新緑の林ではヒガラ、エナガの姿もありました。その後は移動して各自昼食の時間として、その後は木道を歩いてみました。この時間は空気はひんやりとしていながらも空は青空になっていました。林に入るとヒガラが水浴びをしていて付近ではコサメビタキ、サメビタキがさかんにフライキャッチを繰り返していました。さらに進むとここでもサメビタキ数羽がさかんに飛び回っていてしばらく楽しませてくれました。木道を進むとここでもケラ類の声が聞こえたため見てみるとオオアカゲラのオスの姿があり、しばらく観察しているとメスもやってきて、珍しくオオアカゲラをつがいで観察することができ、よく見るとゴジュウカラの姿もありました。道を戻ると最後の最後でカワガラスに出会うことができましたが、この日は川のいたるところに釣り人の姿があったためかじっくりと観察することはできませんでした。その後はこの日最後の探鳥地の戦場ヶ原に向かいました。カラマツ林ではコサメビタキが飛びまわり、ゴジュウカラがくるくる回るように幹を登っていきます。木道に入るとモズがけたたましく鳴き、ズミに止まってさえずるアオジを見ることができました。草原にはやや距離はありましたがノビタキ、ホオアカの姿があり、澄み切った空に映える男体山が見事でした。戻る途中には巣材を集めるニュウナイスズメのメスに出会うことができ、最後は枝先で求愛行動をしているモズのつがいを見て探鳥を終了しました。
この日は午前中にしっかりした雪が降るという想定外のことが起きましたが、なんとか予定通りに探鳥を終えることができました。この時期の奥日光を代表するキビタキやオオルリ、カッコウがしっかり見られずでしたが、この日はルリビタキ、オオアカゲラ、サメビタキといった脇役が良く見られ、ノビタキやホオアカ、ニュウナイスズメ、アオジ、コサメビタキ、ゴジュウカラ、コガラ、ヒガラなどを楽しむことができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史