【ツアー報告】ベストシーズンに行く!三宅島 2023年5月19日~21日

週末を利用して、アカコッコに代表される特産の野鳥たちが生息する三宅島を巡る初夏恒例のツアー。渡り鳥であるイイジマムシクイ、ウチヤマセンニュウも渡ってきて、三宅島の野鳥たちが出揃い、さえずりが多く、緑が鮮やかな時期に訪れます。三宅島といえば、真っ先に名前が挙がるのがアカコッコですが、昨年は今までからは考えられないほど観察、撮影するのが困難な状況になってしまっていましたが、今年はどうでしょうか。

19日、集合場所の竹芝桟橋は週末ということに加え、新島でトライアスロンの大会があるということもあり混雑していましたが、集合時間の21:30には皆様ご集合いただきましたので資料配布、翌日とツアー全体のスケジュールなどを連絡して、22:10頃から乗船開始となりました。

20日、今回は東京湾を出てから、うねりがある海の航海となったため、三宅島へ到着する前には船体が大きく揺れる航海となってしまいましたが、ほぼ予定通りに三宅島伊ケ谷港に着岸しました。今にも雨が落ちてきそうな曇天の空模様でしたが、早速バスに乗って、早朝によく囀るウチヤマセンニュウを求めて移動しました。到着すると、風が強く、ときどき霧雨も舞う、あいにくの天気でしたが、目的のウチヤマセンニュウのさえずりは周囲から聞こえてきて、風があるなかでも枝先に出てきて囀る複数の個体を観察することができました。そしてウチヤマセンニュウが囀る背後を、右に左にカラスバトが飛び交っていました。1時間ほどの観察を終えた後は次の場所に移動しました。ここは薄暗い森の環境で、三宅島の森林に生息する特産種が観られるポイントです。元気よく囀るイイジマムシクイ、タネコマドリ、モスケミソサザイの囀りを聴きながら、進むと、何回かタネコマドリが道端に現れてくれたほか、アカコッコの雄も現れてくれましたが、すぐに森の中へ飛び去ってしまったため、充分な観察ができなかったのが残念でした。その後は島内をまわりながら、三宅島の噴火を今に伝える阿古小・中学校跡、椎取神社、アーチ状の奇石めがね岩などを観た後に、宿泊する宿へと向かいました。宿ではオーストンヤマガラを間近に観察しながら昼食を食べ、午後からは宿のすぐそばにあるアカコッコ館を訪れ、隣接する大路池まで歩きました。イイジマムシクイ、モスケミソサザイ、タネコマドリなどは賑やかにしているものの、やはりここでもアカコッコだけは現れません。再び、アカコッコ館に戻り、水場にやってくる小鳥たちを観察していると、陽が傾いた時に、ようやく雌のアカコッコが現れ、その姿をしっかりと観察、撮影することができました。

21日、早朝よりアカコッコの姿を狙えそうなポイントで観察をすると、狙った通りにアカコッコの雄が数回、姿を現してくれました。朝食を食べた後は、再びアカコッコ館周辺に戻って観察、撮影を行うと、再びアカコッコが現れたほか、観察センターの水場周辺では、間近に現れるモスケミソサザイ、イイジマムシクイの姿を観察することができました。これで三宅島での観察を終えて、昼食を食べた後に出航する港である、錆が浜港に向かいました。橘丸乗船後はデッキから海鳥観察を行うと、行きの航路とは対照的に、ほとんど揺れを感じない、凪いだ海況であったので、オオミズナギドリも着水している個体が多く見られましたが、海面近くをひらひら飛ぶオーストンウミツバメのほか、アカアシミズナギドリ、ハシボソミズナギドリ、アナドリ、トウゾクカモメなどバラエティに富んだ海鳥の姿が観察され、後半には、船のそばを飛ぶクロアシアホウドリの姿も観察することができました。

ツアーを行う前から、その動向が気になったアカコッコですが、今回はツアーを通して観察する機会に恵まれました。それでも、今年もかなり観察が難しくなっている印象を受けました。このような状態が一過性のものであって、来年以降は以前のように観察しやすい状態に戻ることを願うばかりです。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

田仲 謙介

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