【ツアー報告】沖縄やんばるの固有種たち 2023年5月7日~10日
7日、那覇空港を出発。今年の沖縄はまだ梅雨入りしていないが、朝から雨である。一気に北上してやんばるへ向かう。ノグチゲラのポイントで暫く待つと、ノグチゲラの雄や雌がやってきてデイゴの花にとまって蜜を吸う。ところが激しい雨となったのでポイントを変える。再びノグチゲラのポイントへ行き、デイゴの花に来るノグチゲラを観察、撮影するが、やはり雨で酷くなったので、雨の大好きなヤンバルクイナのポイントへ行く。林道をゆっくりと走ると、餌を啄むヤンバルクイナ雌雄を発見。みなさんで観察していると、雌が餌を咥えて車に近づいて来る。どうも停車した付近にヒナがいるようなので、急いで車をバックすると、雌は餌を咥えて藪に入っていった。暫く、ヤンバルクイナを堪能し、ポイントを変えるために移動すると、やんばるではなかなか出会うことのない天然記念物のリュウキュウヤマガメが道路を歩いててみなさんで盛り上がる。その後、ヤンバルクイナのポイントで待つと畑に出て来て餌を啄む。しかし、草の陰で全身がすっきりと見えない。別のポイントへ行くと、ヤンバルクイナが道路の脇で餌を啄んでいる。全員が見やすい方向へ車を移動させて、観察しようとすると警戒して藪に逃げ込む。車内からの観察で警戒されるような距離ではないので周囲を見ると、知り合いがこちらに向かって歩きながら手を振っているではないか。地元の方なので挨拶をしてその場を移動する。18:10 やんばるの森の中のホテルに到着。
8日、一晩中、雨が降っていたが朝には止んで、ホテルの周りでヤンバルクイナがたくさん鳴いていた。早朝に出発。ヤンバルクイナのポイントをゆっくりと走ると、あちこちで餌を啄んでいる。ヤンバルクイナはカタツムリやミミズが大好物なので、観察には雨上がりが好条件である。比較的に近い距離でのんびりと餌を啄むペアを発見し、車内からみなさんでじっくりと観察、撮影する。薄日が差してきて物凄く綺麗なのだ。一旦ホテルに戻り朝食。その後再度出発して、ノグチゲラのポイントへ行く。昨日は雨で中断したが、今日は薄曇りなのだ。直ぐにノグチゲラの雄がやってきてデイゴの花にとまって蜜を吸う。さらに雌が2羽来て計3羽が花にとまっている。一年でほんのひと時だけ楽しめる、デイゴの真紅とノグチゲラの深紅の美しい光景なのだ。もちろん、みなさんでじっくりと観察、撮影する。その後も、雄1羽、雌2羽が入れ替わりに次々と花にやってきてみなさんでたっぷりとノグチゲラを堪能する。「花に隠れて全身が撮れないよ~」などという贅沢な笑い声が飛び交う。さらに、近くでホントウアカヒゲが鳴いてるので見に行くと、雄が出て来て一瞬だけとまる。それを撮影した人がいてみんなから羨ましい目で見られる。その後は昼食とお買い物。午後からは耕作地をゆっくり走る。シロガシラやサギ類などを観察、撮影。その後はやんばるの森の中の林道をゆっくりと走る。数ヶ所でホントウアカヒゲの雄を観察するが、動きが早くてなかなか全員で写真撮影までとはいかない。それでも、何人かが綺麗なお写真を撮ることが出来た。雨が激しくなってきたが、林内からリュウキュウアカショウビンやリュウキュウサンコウチョウの声がする。夕方、ヤンバルクイナのポイントへ行くと、ヤンバルクイナがペアで採餌をしてて、さらに、もう1羽も出て来て草地を歩く。もちろんみなさんで観察して、18:00 やんばるの森の中のホテルに到着。
9日、晴れていて気持ちのいい朝。昨夜はホテルの前でリュウキュウコノハズクがずっと鳴いていた。早朝に出発してやんばるの林道を歩く。ヤンバルクイナが走って行き、あちこちでホントウアカヒゲが囀る。リュウキュウサンコウチョウが鳴きながら道路を渡り、イジュの花の甘い香りが漂う中、オキナワシジュウカラやリュウキュウメジロなどを見ながら歩く。ダムへ行くとクロハラアジサシの綺麗な夏羽2羽が飛んでいてみなさんでじっくりと観察、撮影する。一旦ホテルに戻り朝食。再度出発して、昨日と別のノグチゲラのポイントで暫く待つ。ここは上からデイゴの花を見れる場所があり、花にとまっているノグチゲラを上から観察、撮影が出来るのである。直ぐにノグチゲラの雌がやってきてデイゴの花にとまって蜜を吸う姿を見下ろしで観察、撮影する。夢のような美しい瞬間なのだが、デイゴの開花が年によって2~3週間程のズレがあるので、ツアーの日程と外れるとまったく見られないのだ。ノグチゲラを観察する人と林道を歩く人に分かれて行動する。林道ではホントウアカヒゲやリュウキュウサンコウチョウが囀り、リュウキュウコゲラやアマミヤマガラが枝を移ってやって来る。いかにも南国的メタリックなリュウキュウハグロトンボがとまっている。12:15昼食、13:50やんばるの林道を歩く。ノグチゲラが道路を横切ったり、ホントウアカヒゲが出てきたりとやんばるの森をたっぷりと堪能する。15:40ホテルの周辺を歩く。リュウキュウコゲラの巣があり、巣穴からヒナが顔を出している。ノボタンがピンクの可憐な花を付けて、ジャコウアゲハやイシガケチョウが飛び回る。18:00夕食、19:30に夜間観察に出発。林道を走っていると、道路脇で採餌する激レアのオキナワケナガネズミを発見。慌てて車内から全員で観察する。オキナワケナガネズミはあまり知名度は無いが、やんばるの森に生息する鼻先から尾の先端まで約60cmという日本最大のネズミ類なのだ。主に木の上で生活をする樹上性で、時々、地面に降りて来るという。さらに、翼を広げると70~80cmもあるオリイオオコウモリ十数頭がデイゴの木に集まって花を食べている姿をみなさんでたっぷりと堪能してホテルに戻ったのである。
10日、早朝、曇りの中を出発。リュウキュウアカショウビン、リュウキュウサンコウチョウが鳴き、ヤンバルクイナも道路脇に出ているが数は少ない。1.5m程のアカマタが道路にいてみなさんでじっくりと観察、撮影する。一旦、ホテルに戻り朝食。再度出発し、南下する。時々、土砂降りになったり晴れたりと梅雨のような天気なのだ。農道をゆっくり走ると、いきなりリュウキュウヒクイナがいて驚く。なかなか会えない鳥なのだ。シロガシラ、アオアシシギ、夏羽のアマサギなどをじっくりと観察、撮影しながら進むと、これもツアーになると出会えないリュウキュウヨシゴイ雌がしかも2羽もじっとしているのでみなさんでたっぷりと堪能する。さらに、別の場所で再びリュウキュウヒクイナが舗装道路を歩いて来る。そして、アカガシラサギの真っ赤な夏羽もみなさんでじっくりと楽しんで移動する。本日は時間がないのでお昼はお弁当を食べながらさらに南下して海岸へ行き、アカエリヒレアシシギ2羽、ヘラサギ、サギ類、カモ類やムナグロ、メダイチドリ、ミユビシギ、ウズラシギ、ヒバリシギなどのシギ・チドリ類などを観察、撮影する。さらに、周辺の耕作地で飛んでいるツバメチドリを観察。干潟ではクロツラヘラサギが近くで採餌をする姿をみなさんでじっくりと観察、撮影する。寝ているクロツラヘラサギやコアオアシシギ、アカアシシギなどを観察、撮影する。抱卵中の雌のバンにせっせと巣材を運ぶ雄の姿にみんな笑顔になる。そして、急いで那覇空港へと向かったのである。この時期限定のデイゴの花にとまるノグチゲラの美しい景色とヤンバルクイナ、ホントウアカヒゲをたっぷりと楽しんだ4日間でした。みなさま、お疲れ様でした。
宮島仁