【ツアー報告】固有種と渡りの鳥たち 春の奄美大島(追加設定)2023年4月7日~9日
(写真:アカヒゲ 撮影:藤川重隆様)
7日、奄美空港ご集合の皆様、現地ガイドさんと合流したあと奄美空港を出発してまずは海岸へと向かいます。 越冬中の水鳥に移動途中の水鳥が加わるこの時期は本来ベストシーズンなのですがいくら目を凝らしてもヒドリガモ2羽しか見つからず、いきなり出鼻をくじかれるスタートとなりました。 次いで訪れた草地にはテトラポットが積み上げられており草地の面積が減少していました。 ハクセキレイの姿はあったものの期待していた他のセキレイ類、タヒバリ類の姿はありませんでした。 最後に水田地帯まで足を延ばして探鳥しましたが、冷たい北風と小雨が吹き付ける生憎の天候で強い北風を避けるように佇んでいるコガモ、タカブシギ、クサシギなど、わずかな水鳥たちの姿を確認してこの日の観察を終えることとなりなんとも物足りなさの残る幕開けとなってしまいました。
8日、まだ夜も明けていないうちに出発して森に向かいます。 到着するとアカヒゲの美しい囀りが林内の各所から響き渡りその姿も確認できましたが、まだ薄暗かったため見えかたとしてはいまひとつといったところです。一度ホテルに戻って朝食を終えてからは渡り鳥の姿を期待してまわります。最初の場所では北風が特に強く吹き続け、厳しい気象条件の中での観察を強いられることとなってしまいました。 そのため普段は湾内に散らばって見られることの多いオオバンも風当たりの弱い河口に集まって2羽のオカヨシガモと共にじっと風を避けているようでした。 次いで訪れた場所も晴天には恵まれたものの北風が強いのは変わらず、こちらも例年にない鳥の少なさに驚かされました。昼食後はまた別の場所を訪れますが、またしてもここでも鳥影が薄かったのですがきれいな生殖羽のシマアジ雄を観ることができたのは嬉しい出会いとなりました。 昨日、今日とどこへ行っても渡り鳥の状況が芳しくないので、残った時間を使ってもう一度、森で観察を行うことにして再訪します。今年はオオトラツグミの繁殖が例年よりも半月以上早いようで、親鳥の餌を取る餌場がある程度絞られているということでしたので、そのポイントで息を殺して待っているとこの日の夕方も繰り返し現れてその姿をしっかりと楽しませてくれました。
9日、本日も早朝に出発。今朝はオオトラツグミの生息密度が高くその囀りが賑やかな場所へと向かいます。 向かう途中、現れたアマミヤマシギを観察することができて幸先の良いスタートとなりました。しかし、例年は夜明けの時間に賑やかに聞こえるはずのオオトラツグミの囀りがほとんど聞かれずかすかに遠くで聞こえるのみでした。朝食後は昨日も訪れた森へ向かうと道端で採餌に忙しいルリカケス、木漏れ日の中で美しい色を見せてくれるアカヒゲ、餌場でエサ取りに忙しいオオトラツグミと奄美大島を代表する鳥たちがそれぞれよく観察できたので皆様にそれぞれ好きな鳥に狙いを定めていただいて観察、撮影をしていただきました。旅の最後には奄美大島を代表する郷土料理の鶏飯を食べて、初日に訪れた海岸を再訪するとサンゴ礁のリーフの上を旋回している4羽の鳥の姿が視界に飛び込んできました。急ぎ双眼鏡を向けるとソリハシセイタカシギ!しかし、残念ながらサギ類やシギ類が群れる場所に降りることなくそのまま飛び去ってしまったのですが、5分と経たずに戻ってきてくれ、水たまりの中で4羽揃っての美しい姿を見せてくれ、旅を締めくくってくれました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
田仲 謙介