【ツアー報告】早春の奥日光で渡りの冬鳥に会いたい! 2023年3月29日
(写真:キクイタダキ 撮影:杉崎明登様)
奥日光といえば毎年恒例になっているのが、晩秋にアオシギを集中的に探すツアーと初夏に草原や森林の夏鳥を探すツアーですが、今回はあえて中途半端な時期に奥日光を訪れ、定番になっている平地では越冬しない小鳥類、さらにはちょうど渡り期を迎えた冬鳥たちを探すことをメインにしてみました。奥日光といえば、平地では越冬しないアオシギ、カワガラス、キバシリ、ゴジュウカラ、コガラ、オオアカゲラといった種が生息していて比較的見やすく、今回はこれらに加えてレンジャク類やベニヒワ、オオマシコ、アトリ、マヒワといった冬鳥たちとの出会いに期待しています。昨年は冬鳥の渡来状況が芳しくなかったこともあって、これといった成果がありませんでしたが、この冬はレンジャク類が多く見られているなど、比較的冬鳥の渡来状況が良いことから期待しての出発となりました。
29日、この日の天気予報は概ね晴れ予報ながら関東では雲が多く、訪れる予定の奥日光では午後から小雨の予報が出ていました。ただご集合いただいた東京駅前は早朝から青空が見えていました。今回は東京駅前からのバスツアーとしては現地までの距離があるため出発時間を早めて07:30としていますが、今回も順調にご集合が完了したことからほぼ予定通り出発することができました。バス車内ではいつものようにこの日見られる可能性がある野鳥たちの解説を行い、途中にあるサービスエリアで休憩をとった後は日光有料道路を経由して、おなじみのいろは坂に向かいました。この頃には少々雲が出てきてはいましたがまだまだ雨の気配はなく、東京から3時間ほどで戦場ヶ原に到着しました。到着後は駐車場で観察機材の準備をしていただいてから、この日の最初の探鳥地に向かいました。今年の奥日光で何より驚いたのは全く積雪がないことで、例年であれば凍った道を注意しながら歩かなくてはならない場所も今年は全く心配ありませんでした。早速、複数のコゲラが間近にやってきたため観察していると、いつの間にか周囲に小鳥たちが集まっていてキバシリが目線ほどの高さの木を登っていて、ふと後を見ると針葉樹には複数のキクイタダキが集まり、中には地面に降りて採食している個体までいました。すると今度はエナガのつがいがやってきて巣材探しをし、ゴジュウカラも間近にやってきて木の幹を上り下りしていました。気が付くと周囲からはヒガラ、コガラ、ゴジュウカラがさえずり、珍しいキバシリのさえずりを聞くこともでき早春の雰囲気も堪能することができました。その後はアオシギを探して木道を歩きました。残念ながらこの日はアオシギの姿はありませんでしたが、愛想が良いカワガラスが間近に止まり、ミソサザイは早くも大音響でさえずっていました。一旦、昼食の時間とした後は場所を変えてズミの実のある場所を中心に歩きました。林に入る寸前にはウソが飛び、木道エリアに入るとこの冬を象徴するかのように9羽のレンジャクが枯れ木に止まっていました。ただ、よく見てみるとすべてがキレンジャクで驚きました。再び歩くと川にはマガモの姿があり、枯れ木にはノスリが止まっていました。さらに歩くとカワラヒワが水浴びをするために集まっていてカラマツにはアカゲラの姿があり、珍しくしばらくじっと止まって木をつついていました。その後も点々とレンジャクの姿があり、わずかに混じるヒレンジャクがズミの実を食べているシーンも見ることができました。戻る途中にはカワガラスもじっくり見ることができ、空模様を見ながらバスに戻りました。天気予報が良いほうに外れたようで、この時間になってもまだまだ青空が見えていたことから、もう一か所行ってみることにしました。ここでも元気が良いゴジュウカラがさえずり、川ではキセキレイの姿がありました。周辺にはジョウビタキの姿があり、よく見るとオス、メスともにいるようでした。また、最後に再び川をのぞくと2羽のゴジュウカラがやってきて水浴びをしていて、予定通り16:30にこの日の探鳥を終えました。
午後からは雨予報のため空模様を見ながらの進行でしたが、結果的には雨は全く降らず終日青空が見える中での探鳥となり、森は小鳥たちのさえずりであふれ、たっぷりと春を感じることができました。期待していた冬鳥は種類こそ少なかったですが、ヒレンジャク、キレンジャクがたっぷりとその姿を見せてくれ、定番のコガラ、ゴジュウカラ、キバシリ、カワガラス、さらにはアカゲラ、ヒガラ、コガラ、ミソサザイも見られ、何より驚かされたにはキクイタダキの多さで、かなり低い針葉樹にいたことから頭頂部の色までしっかり確認できるほどでした。奥日光は今後はズミやワタスゲが咲き乱れ、ノビタキやホオアカ、カッコウなどが楽しめる6月に企画しています。ぜひまた奥日光にお越しください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史