【ツアー報告】ヤドリギに群れるレンジャクに会いたい! 2023年3月3日
(写真:キレンジャク 撮影:一ノ瀬徹様)
冬鳥と呼ばれる野鳥たちは毎冬必ず渡ってくるわけではないため、バードウォッチャーにとってはこの冬に見られるのか見られないのか気になるものです。その代表種ともいえるのが今回タイトルにもなっているレンジャクの仲間。日本では主に2種が知られていますが、いずれも独特の風貌と群れで右往左往する行動、さらにはヤドリギとの共生という特徴などから毎冬注目されています。毎年、11月中下旬には北海道各地から飛来情報をいただいており、昨冬はどこからも情報がなかったものの、この冬は早い段階から飛来情報があったため期待していました。この日は幸いにも天候も良く春のような陽気になるという予報の中で出発することができました。
3日、薄雲がかかってはいましたが早朝から概ね晴れの天候の中、東京駅前にご集合いただき予定通り08:30に出発してこの日は群馬県に向かいました。移動中はレンジャクをはじめ、この日に見られそうな鳥の解説などをしながら進み、途中休憩を挟んでも2時間ほどで現地に到着しました。現地到着後は各自、観察機材の準備をしていただいてから観察を開始しましたが、すでに周辺のヤドリギにはヒレンジャクの姿がありました。観察を続けると周辺には20羽前後のヒレンジャクの姿があり、盛んにヤドリギの実を食べていて、レンジャク類特有の行動である集中的な水飲みも見られました。しばらく観察しているとじっと止まっている1羽のキレンジャクの姿もあり、久しぶりにツアーでキレンジャクに出会うことができました。また早くも巣材集めをしているエナガが盛んに飛び回っていました。しばらく観察した後は別のヤドリギも見に行くことにしました。春のような暖かな陽気の中を歩くと、芝生にはムクドリ、ツグミの姿があり、林に入るとシジュウカラ、シメが地上採食していました。さらに歩いて別のヤドリギまで行くと、最近よく見られているというハチジョウツグミが餌を探していて、独特の赤みのある姿を意外なほど間近にじっくりと観察することができました。またここのヤドリギにも10羽ほどのヒレンジャクの姿があり、ほかにもシメ、イカルが見られ、特にイカルは30羽ほどの群れが一斉に地上に降りて採食したり一斉に飛び立ったりして見応えのある観察ができました。来た道を戻りながら池をのぞいてみると、さすがにカモ類の姿は少なかったですが、コガモ、カルガモ、ハシビロガモが見られ、当地では初となるオシドリの美しいオスが1羽だけ見られました。バスに戻った後は一旦、各自昼食の時間とし、その後は赤城山に移動しました。まだまだ残雪がある道を進むとここでもまずはヤドリギがある場所を中心にレンジャク類の姿を探してみました。やや距離はあったもののここでもヤドリギにはヒレンジャクの姿があり、よく見ると10羽程度はいるようでした。やや雪が残る遊歩道を歩くと別のヤドリギにもレンジャクがやってきていて、しばらく見ているとここにも1羽のキレンジャクの姿がありましたが、いきなり突っ込んできたハイタカの登場でどこかに去ってしまいました。その後は山を下って最後の探鳥地に向かいました。池をのぞいてみるとカルガモ、コガモ、カイツブリに混じってかなりの数のオシドリが見られ、倒木に止まって群れている姿は見事でした。その後は園内を歩き、間近にやってきたシジュウカラやヤマガラ、コゲラ、珍しくじっくりと見せてくれたルリビタキのメス型、さっと飛び去ってはしまいましたがアカゲラ、最後はジョウビタキが見られ、地上に降りては盛んに餌を探す数羽のカケスがじっくり見られたことは成果でした。
この冬は早い段階からレンジャク類の飛来情報があったことから期待していましたが、その期待通りにレンジャク類が渡ってきてくれたようで、今回は2カ所で数多くのヒレンジャク、そしてキレンジャクにも出会うことができました。またたまたまやってきていたハチジョウツグミも見られ、常連のイカル、シメ、公園ではカケス、ルリビタキ、ジョウビタキ、アカゲラ、オシドリなども見られました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。またご一緒できましたら幸いです。
石田光史