【ツアー報告】フォトツアー2月の道東めぐり 2023年2月22日~25日

(写真:シマエナガ 撮影:石田光史)

冬の定番となっているこの冬の道東めぐりも早いものですでに20年近く担当させていただき、過去、毎年のようにコースを変えながら催行してきました。当時はタンチョウ、シマフクロウ、オオワシ、オジロワシが主役でしたが、シマフクロウに関しては厳冬期の出現率が極めて悪いため、出現率が極めて高い初冬に移行しました。それに代わって加わったのが人気の高いシマエナガ、そして私的にも応援している落石クルーズではほぼここでしか見られないウミバトをはじめとしたウミスズメ類撮影を加えてリニューアルしました。これによりシマエナガをはじめとした小鳥類、流氷のオオワシ、オジロワシ、タンチョウの塒および雪原で乱舞するタンチョウ、エゾフクロウ、そしてコオリガモをはじめとした海ガモ類、最後はウミスズメ類とほぼ全てが撮影可能な4日間コースが完成しました。

22日、早朝から見事な快晴の中、羽田空港に予定通りにご集合いただき、健康チェックシートの回収、資料の配布、この日の連絡事項をお伝えしてから予定通り出発して現地に向いました。到着した現地は曇り空から小雨が落ちていましたがこれといった寒さを感じることはなく、バスに荷物を積み込んだ後は1時間ほど移動の時間をとってこの日の宿泊地に向かいました。途中、見事な風景に冬の北海道を感じることができました。宿に到着後は一旦お部屋に入っていただいてから各自撮影機材の準備をしていただき、その後はシマエナガをはじめとした小鳥類を撮影しました。留鳥ながら毎年毎年、見られる頻度が大きく変わるシマエナガですが、この冬はその出現率が極めて高く、この日は単独で行動している個体のほか2羽でやってくる個体、さらには現場を一気ににぎやかにしてくれる7~8羽の群れがやってくるなど、忙しい時間を過ごさせていただきました。先月はシジュウカラが多く、シロハラゴジュウカラが少ない印象でしたが、前回に引き続いてこの日はかなりの数のシロハラゴジュウカラ、ハシブトガラが頻繁に姿を見せてくれ、雪景色に赤色が映えるアカゲラ、そしてオオアカゲラのオス、メスもやってきて両方を撮影することができました。またこの日はヒガラ、そしてキバシリも姿を見せてくれました。

23日、この日はタンチョウの塒の撮影のため早朝に出発しました。観光パンフレットなどでもおなじみのタンチョウの塒はまず天気が良く冷え込むこと、そして風がないことなど、さまざまな条件が揃って初めて美しい景観になります。この日は幸いにも天気は良く、風もないことから条件としては期待できる状況でした。出発時の気温は-12℃ほど。実はこれは気温としては高いほうで、さらに気温が下がってくれないかと思っていました。ただ現地に到着すると周囲の木々には早くも霧氷がつき、意外にもこれは期待できるのではないかと思いました。やや混雑している中、まずは空いている場所を確認してスタンバイし撮影に入りました。早い団体は03:30には来ているとかで一番前に陣取ることはできませんでしたが、それでも人と人の間から良いポジションを取ることができ、この日は快晴の中、早くも周囲の木々には霧氷が付き、川霧が立ち込める中、いつもよりもやや近い位置にタンチョウの群れが見えました。日の出の頃には霧氷が橙色になり、さらにはタンチョウが鳴き交わすなど動いてくれたことから良い撮影ができました。07:00頃からは朝食の時間とし08:30からはエゾフクロウの撮影に向かいました。エゾフクロウはいるのかいないのか運次第といった感じではありますが、この日は幸いにも出会うことができ、短時間でさっと撮影させていただいてから飛び立つタンチョウを撮影しました。この日は10:00頃からタンチョウが飛びはじめ、数はそれほど多くはなかったですが、我々の頭上を通過していく群れもいて楽しめました。その後はサンクチュアリーに移動し、ここからは雪原で群れているタンチョウの姿や突然始まる鳴き交わし、さらには飛翔する姿や求愛ダンスを撮影を楽しんでから再びシマエナガをはじめ、ハシブトガラやシロハラゴジュウカラ、アカゲラ、オオアカゲラなどの撮影を楽しみ、この日は可愛らしいウソが何回もやってきてくれたほか、周囲の木に止まるマヒワ、ツグミも見られました。

24日、この日は流氷に群れるオオワシ、オジロワシ撮影のため早朝に出発して羅臼町に向かいました。以前は05:30の早朝便の流氷観光船に乗っていましたがなかなか日の出に出会えないこと、そして日の出が見られないと光線の関係で1時間ほど撮影ができないことから08:30便に変えました。この冬は比較的早い段階で流氷が接岸したのですが、流氷は風向きによって行ったり来たりするため、なかなか位置が読めないのです。今回は前日に流氷がやや離れてしまったものの、その後は北風が吹くので戻るのではないかとの連絡をいただいていました。約2時間で羅臼町に到着した後は各自朝食を取ったり、準備をしていただき、その時間を見計らってクルーズ船の事務所に行って状況をうかがうと20分ほどでなんとか流氷帯まで行けるとのことで安堵しました。08:30に出航後は20分ほど走って流氷帯に向かいました。しばらくすると海面に白い帯のように見える流氷帯がみるみる近づき、いよいよ流氷帯にたどり着きました。その後は見事な青空に映える羅臼岳を背景に群れ飛ぶオオワシ、オジロワシ、さらには流氷帯に群れるオオワシ、オジロワシを2時間に渡って撮影しました。ワシたちの姿もさることながら、背景にそびえる雪をかぶった山々の景観が見事で、気が付くと上着を一枚脱ぎたくなるほどの暖かさになっていました。その後は根室方面に向かいながら撮影をするため途中、昼食を買っていただいてから現地に向かいました。海を眺めると流氷の残骸のような氷が点々と浮き、背景には雪を被った国後島が見事にそびえていました。海上には数多くのクロガモ、そしてビロードキンクロの姿があり、点々と群れているハギマシコに出会うことができました。ただここでたまたまオオホシハジロがいるとの連絡をいただき直行することにしました。到着すると漁港内にはかなりの氷が入り込んでいましたが、海面が開いている場所には多くのカモ類の姿がありました。バス車内から見てみると間近にホオジロガモ、コオリガモがいたため撮影し、さらに見てみるとやや距離のある場所にオオハシハジロが3羽見えました。ただ距離が長いためしばらくバス内で待機することにし、その間にもコオリガモのオスやウミアイサのオスが間近にやってきてくれ撮影ができました。そして1時間ほど経つとようやくオオホシハジロが動き出し、結果的には間近までやってきてくれたため撮影することができました。その後は根室まで移動して探鳥すると、オオハクチョウ、タンチョウ、そしてコミミズクが飛んでいました。そして最後は港に向かい、薄暗くなってくる中でしたが漁港内に浮いているシノリガモを撮影してこの日の撮影を終えました。

25日、この日は落石クルーズに乗船予定のため数日前から風、波予報を見ていました。ただどうも状況が良くないとのことで心配していましたが早朝に見てみると風、波共に収まっていて安堵しました。朝食後は落石漁港に向かい、待合室にてライフジャケットの装着、トイレを済ませてから乗船して出航しました。空はどんよりとしていましたが確かに波は穏やかで視界も十分にありました。漁港内ではクロガモ、コオリガモを撮影し、外洋に出るとビロードキンクロのオスがいたため接近して撮影しました。ただその後はウミスズメ類の出現が少なく、まずはオオハム、そして点々と浮いているケイマフリを撮影しながら進みました。ケイマフリはこの時期にすでに夏羽に換羽している個体もいて冬羽個体、中間羽などさまざま楽しめました。後半からは雪が降ってきましたが最後にウミガラスの換羽中個体を撮影することができました。ただ全体的にウミスズメ類が少なく、期待していた小型種にも出会うことができませんでした。

今回は冬の道東としては珍しく全日穏やかな陽気でした。このツアーのメインともいえる流氷観光船からのワシ撮影は運よく流氷帯に到達することができオオワシ、オジロワシの迫力ある姿をめいっぱい撮影することができました。これぞ冬の知床といった景観もお楽しみいただけました。早朝からはじめたタンチョウの撮影も塒風景、飛翔、求愛ダンスなど良い条件でき、新たな主役となった可愛らしいシマエナガも期待通りで、エゾフクロウ、アカゲラ、オオアカゲラ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、ハギマシコ、コオリガモ、そして幸運にもオオホシハジロも撮影できました。海鳥は期待には沿えませんでしたがウミガラス、ケイマフリ、ビロードキンクロも撮影できました。北海道はさまざま企画しどれも魅力的な野鳥たちに出会えています。また季節を変えて北海道にお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

タンチョウの塒 撮影:石田光史

 

オオワシ 撮影:石田光史

 

ウミガラス 撮影:石田光史

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