【ツアー報告】漁港の海鳥を満喫!冬の銚子と波崎 2023年2月8日
(写真:オオホシハジロ 撮影:上野達雄様)
カモメ類、カイツブリ類、海ガモ類といえば、まず真っ先に思いつくのがこの銚子と波崎でしょう。本来であれば一冬に何度も通って難解なカモメ類の識別にチャレンジしたいところですが、地図で見るよりも実際には意外と遠く、交通のアクセスも悪いためなかなか足が向かないのも事実です。ただこの冬は新聞の記事になるほどカモメ類の数が少ないそうで、下見に出かけた時も確かに大型カモメ類の少なさが目立ちました。一方、この冬は日本では稀な冬鳥として渡ってくるオオホシハジロ、さらには極めて珍しいヒメカモメが飛来しているとのことでした。関東地方は前日の夜に天気がやや荒れたものの、ツアー当日は早朝は曇りでしたが日中は概ね晴れるとの予報でした。
8日、この日の東京駅前は曇り空ながらもところどころに青空が見える状況でした。ご集合が完了したことから予定通り08:00に出発してまずは東関東道を走りました。移動中のバス車内ではこの日に見られる可能性が高い種の中から、主にカイツブリ類、カモメ類、ウ類の識別について予習しながら進み、途中、サービスエリアでの休憩を挟んでまずは茨城県の波崎港に到着しました。到着後は観察機材の準備をしていただいてから、早速、オオホシハジロがいる場所に行ってみました。現地ではかなりの数のホシハジロ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、オカヨシガモなどが見られたものの最初はなかなかオオホシハジロが見つかりませんでした。ただ船着き場に上陸して寝ているホシハジロの中にやや腹が白い個体がいたことからしばらく見ていると、ようやく起きて特徴的な真っ黒い嘴が見えたことからようやく判断することができました。この個体はメスのようでやや弱っているのかほとんど動きはありませんでした。また周辺ではかなりの数のユリカモメが乱舞し、カモメ、セグロカモメの姿もありました。そのため堤防上を丁寧に見てみましたがヒメカモメの姿はありませんでした。その後は利根川沿いの堤防に並んでいるカモメ類を観察しました。たまたまセグロカモメとオオセグロカモメが並んでいたことから背中の灰色の濃さを比較しながら見ることができ、ヒメウ、ウミウも並んでいる個体を望遠鏡で捉えて観察することができました。そしてその中に混じる1羽のワシカモメ成鳥も見ることができました。漁港に移動すると強風でかなりの寒さでしたが点々と浮いているカンムリカイツブリ、特にはクロガモ、ウミアイサ、そして塊のような群れで浮いているハジロカイツブリの姿もありました。そして最後は再び河口に移動して砂浜で餌を探すコサギ、そしてここでもウミアイサ、スズガモを見てから銚子大橋を渡って銚子漁港に移動しました。第2漁港ではなかなかの数のカモメ類が堤防上に群れていたことから観察してみると、ここでもセグロカモメ、オオセグロカモメ、ウミネコ、カモメ、ユリカモメといった基本種が見られ、その後は一旦、昼食の時間としました。昼食後は第3漁港付近で観察しましたが、ここではとてつもない数のユリカモメが大乱舞状態で防波堤付近ではアカエリカイツブリ、飛翔するクロサギを見てから再び波崎港に移動しました。ここでは午前中と同じ巡りで再度、ヒメカモメを探してみました。オオホシハジロはやや動きがあり、歩いたり伸びをしたりといった行動を見ることができましたが、周辺に無数にいるユリカモメの中にヒメカモメの姿はありませんでした。その後は同じく堤防上も見てみましたが残念ながらヒメカモメは見られず。そのため最後に再度銚子大橋を渡って銚子漁港に戻りました。まずは第2漁港付近に群れるカモメ類を丁寧に見ていくとワシカモメの成鳥、そして鮮やかな黄色い足のセグロカモメが見られました。その後はやや移動したところで堤防上に佇むミツユビカモメを発見。最後に第3漁港付近も見てみましたが、ここではようやく間近にアカエリカイツブリを見て探鳥を終了しました。
まず、新聞報道にあったようなカモメ類が極めて少ないといった状況ではなかったことは幸いで、感覚的にはいつもの銚子、波崎といった感じだったことは幸いでした。一方でこの冬は漁港内にいるはずのカイツブリ類やカモ類が極めて少ないことは残念でした。結果的にはヒメカモメには出会えませんでしたが、幸いにもオオホシハジロには出会うことができ、カモメ類は基本種をはじめワシカモメ、ミツユビカモメが見られ、アカエリカイツブリ、ハジロカイツブリの群れ、ウミアイサ、クロガモ、クロサギなども見られました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史