【ツアー報告】冬の信州でイスカに会いたい! 2023年1月21日~22日
(写真:ツグミ 撮影:竹村章様)
人気のある赤い鳥の中でも特徴的な嘴を持っているイスカは日本国内では冬鳥とされていますが夏季にも見ることがあり、少々謎がある鳥でもあります。また毎冬毎冬飛来するわけではないためなかなか出会いのチャンスがないのも事実で、出会うことはなかなか難しいのが現実です。イスカは特にマツの種子を好んで食べるため針葉樹の林を探すことが重要で、松かさをこじ開けやすいよう嘴が互い違いになっていることが最大の特徴です。この嘴を使ってマツなどの針葉樹の種子をついばんで食べるためこういった採食シーンが見られればとも思いツアーを企画しています。またツアーではここ数年、皆様からのリクエストが増えているシングル部屋を利用したプランにしています。今回は2日目の最低気温がマイナス8℃とかなり冷え込む予報だったものの、天気予報は両日ともに晴れとのことで天候には全く心配ない状況で出発することができました。
21日、このツアーは遠方からのご参加が可能になるよう、集合時間を通常よりもやや遅めの東京駅前09:00にしています。この日は天気予報は問題なかったのですが、早朝からかなり強い風が吹いていて東京駅前はビル風に吹かれるような状況で思った以上に寒い朝になりました。順調にご集合いただいたことから東京駅前を予定通りに出発して、ひとまず中央自動車道を走りました。バス車内ではいつものようにこのツアーで見られそうな鳥の解説やイスカの話などをしながら進め、途中、サービスエリアで休憩し、その後は車窓から雪化粧した八ヶ岳を遠くに眺めながら進み、昼前にサービスエリアに到着しました。このツアーでは当日の現地の気温、路面状況が今一つわからないことから現地到着直前のサービスエリアで時間を取り、ここで現地の状況を各自で判断していただき身支度などを整えていただいています。同時にほぼ時間がお昼ということで一緒に昼食の時間もとるようにしています。バスを降りると穏やかな陽気ながらやはり空気の冷たさを感じました。そのため着替えなどして装備を整えてから再度バスにて出発し探鳥ポイントに向かいました。まずは高速道路を降り、ポイントに向かいました。到着後はバスを降り全く積雪がない舗装道を歩き出しました。しばらく行くと見事な眺めを楽しめる場所があり、そこから雄大な八ヶ岳を眺めることができました。草地ではホオジロが鳴き、ヌルデの実にはジョウビタキのメスがやってきていました。さらに進むとカラマツには数羽のヒガラが群れ、しばらく見ているとそこにコガラ、コゲラも混じってきました。また驚いたことに今年はエナガの当たり年のよううで、10羽を超えるような群れが次々にやってきては地上に降りて餌を探していて見応えがありました。ひとまずこの日は1時間ほど歩いた場所まで行き、そこから引き返す形でイスカ、オオマシコといった赤い鳥を探すことにしました。ただ、この日はこういったお目当ての鳥たちには出会うことができずルートを歩き終え、再度回った場所ではヌルデの実にやってきていたツグミの姿を見てから一旦トイレ休憩の時間としました。その後はまだ時間があったことから別の場所を歩いてみました。ここもその昔、イスカやオオマシコで有名になった場所です。まず草地では数羽のホオジロが舞い上がって枯れ木に止まり、再びエナガ、さらにここではヌルデの実にコゲラがやってきていました。さらに歩くと上空を鳴きながらアカゲラが通過し、最後は最近すっかり見る機会が減ってしまったカシラダカの小群を観察してこの日の探鳥を終えました。
22日、早朝から見事な快晴。ただし車のウインドウが凍結するほど冷え込んだ朝でした。ひとまず出発して現地を目指し、トイレ休憩後はひとまず昨日と同じルートを歩いてみることにしました。駐車場付近ではカラマツに止まるヤマガラ、さらには群れで飛んできた3羽のシメが高木に止まっていました。展望台まで来るとカラマツにカシラダカが止まり、さらに進むとヌルデの実には昨日同様にツグミ、ジョウビタキの姿がありました。さらに進み再びエナガの群れを観察していると「ピキッ、ピキッ」と独特の声で鳴きながらイスカが上空を通過していきましたが、残念ながら付近の木に止まっている様子はありませんでした。さらに奥まで歩くと松林の中からアトリの群れが飛びたち、数羽のシロハラが林の中を渡り歩くように移動していました。折り返した後には斜面の草の実に群れているベニマシコに出会うことができ、中には真赤なオス個体も含まれていました。するとここでも反対側の斜面林から飛び立った数羽のイスカが鳴きながら松林に飛び込んだことからしばらく探してみましたがどこかへ去ってしまったようで出会うことはできませんでした。その後は一旦トイレ休憩をとり、午後はどうしようかと思いましたが天候もよく、イスカの気配がそれなりにあったことからひとまず昼食の時間とした後は再度時間いっぱい林道を歩いてみることにしました。絶好のコンディションの中、再び道を進んでいくと、今度はツルウメモドキの実にやってきていたツグミに出会うことができ、その後はエナガ、ヒガラ、コガラ、コゲラ、さらにはアカゲラを見ることができました。また樹液が出ている木にやってきているエナガ、ヒガラ、コガラを見ることができたり、最後はヌルデの実にやってきたルリビタキのメスなども見ることはできましたが、最後までイスカ、オオマシコといった主な目的だった種に出会うことができず探鳥を終えることになってしまいました。
この冬は冬鳥の渡来状況が比較的良いとのことで期待しての出発で、しかも両日ともに天候なども含めて条件がよかったことから成果に期待しましたが、結果的には残念ながらイスカ、オオマシコといった目的の鳥に出会うことができませんでした。一方、今回はカラ類をはじめとした留鳥たちが数多く見られ、特にエナガの個体数の多さは驚きでした。またシジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラ、コガラ、コゲラ、アカゲラには頻繁に出会うことができ、わずかながらベニマシコ、ジョウビタキ、ルリビタキといった可愛らしい冬鳥には出会うことができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。ぜひまたチャレンジしていただけましたら幸いです。
石田光史