【ツアー報告】利根川周辺の冬の猛禽類(追加設定)2022年12月19日

(写真:ハイイロチュウヒ 撮影:浜口達男様)

冬になるとさまざまな猛禽類が比較的身近に見られることから、冬の定番日帰りバスツアーとして長らく催行させていただいているのがこのツアーです。利根川周辺から霞ヶ浦南部をめぐるとさまざまな猛禽類が見られるだけでなく、人気があるタゲリや越冬しているシギチドリ類、毎年越冬しているヒシクイなどが見られます。そしてこのツアーのメインは、夕暮れ時に次々にやってきては塒に入っていくチュウヒたちを見ることで、年によっては複数のハイイロチュウヒも見られます。例年であれば日没直後にやってくることが多いのですが、一週間ほど前に行なった下見ではチュウヒ、ハイイロチュウヒともに塒に帰ってくるのがかなり早いとのことで直前に行程を若干変更することにしました。この日の天気予報は晴れとのことでお天気に不安なく出発することができました。

19日、この日は早朝から東京駅前は見事な冬晴れで、予定通り08:30にご集合いただいた後は健康チェックシートを回収してから出発して、ひとまず千葉県方面に向かいました。移動中のバス車内ではこの日に見られる可能性が高い種の解説、また下見時の状況や前日の状況から猛禽類塒入りの探鳥時間の変更することなどをお伝えしながら進み、途中のサービスエリアでの休憩を挟んでも2時間ほどで最初の探鳥地に到着しました。到着後は各自観察機材準備をしていただき再びバスに乗っていただき探鳥をスタートしました。まずは利根川が一望できる河川敷から探鳥しましたがこの日は前日とは異なり風もほとんどありませんでした。周囲を見回すと電柱にはハヤブサの幼鳥、対岸の枯れ木にはノスリやミサゴが止まっていて、少ないながらもチュウヒがヨシ原上をゆらゆらと舞っていました。少々場所を変えると、看板に止まっているノスリに出会うことができ、ここでようやく間近にチュウヒが現れて旋回上昇していきました。その後も利根川に沿うように茨城県方面に走りながら猛禽類やタゲリを探してみました。すると途中の畑地で20羽ほどのタゲリの群れに出会うことができ、じゃれあうように動き回る姿を見ることができました。またこの日も前日同様にかなりの数のオオハクチョウ、コハクチョウの群れが降りていたことから観察してみると、その中に3羽のヒシクイ、さらには2羽のマガンが混じっていて電柱にはミサゴが止まっていました。時間が押してきたことからこの後は霞ヶ浦南部まで移動して昼食の時間としましたが、この日も結局は運動公園の駐車場まで移動しての昼食となりました。昼食後は毎年ヒシクイが越冬している干拓地に向かい堤防上から観察しました。ここでは毎年定期的に調査をされている方々がいらっしゃって、今年は130羽が越冬しているとのことでした。この日は前日ほど遠くなかったですが、やはり望遠鏡がないと観察はできないような状況でした。観察していると遠くを飛んでいたオオタカがいきなり速度を上げて接近して通過していく様子も観察することができ、その後は越冬しているシギ類のポイントに向かいました。ただこの日もレンコンの収穫作業中だったため付近の荒れ地に行ってみました。ここは最近ヨシを刈り取ってしまったため景観が変わってしまいましたが、この日は前日と同じ個体なのかチョウゲンボウの姿があり、杭にはノスリも止まっていました。その後は別の干拓地に行ってみることにしました。するとこの日も数は少ないながらもタゲリの群れに出会うことができ、さらにはこの日もどこからともなく飛んできたハイイロチュウヒのメスが間近を飛翔しながら小鳥を追っていました。そして時間が押している中、ホシムクドリも探してみることにしました。最初の場所では姿はありませんでしたが、ハス田にはタシギ、タカブシギの姿があり、さらに進んで探してみると幸いにもムクドリの群れが電線に並んでいたことから見てみると、その中に混じる3個体のホシムクドリに出会うことができました。ただここで15:30になったことから猛禽類の塒入りを見に行きました。例年は16:00からでしが今回も前日同様に少々早めに行ってみることにしました。ただこの日は前日とは異なり快晴無風状態のため、思ったようなタイミングでハイイロチュウヒは現れず、まずは木々に止まるチュウヒを観察しました。そしていよいよ日没かという時間になってようやくハイイロチュウヒのメスが2羽現れてヨシ原を飛び回りはじめ、16:30にはようやくハイイロチュウヒのオスが現れ、わずかな時間差であらにもう1羽が現れたため、この日もハイイロチュウヒのオスを2羽見ることができ、いつの間にかメスは3羽になっていました。またこの日はコチョウゲンボウのメスが我々の頭上近くを通過し電線に止まってくれたためその姿も見ることができました。

今回は快晴無風の1日となり良い状況で探鳥することができました。ミサゴ、ノスリ、オオタカ、チュウヒ、チョウゲンボウ、ハヤブサ、そして5羽のハイイロチュウヒの乱舞やコチョウゲンボウのメスといった猛禽類に出会うことができ、この日も日中の時間帯にもハイイロチュウヒのメスをたっぷり観察する幸運がありました。そしてこのツアーでは珍しいオオハクチョウ、コハクチョウの群れにも出会え、そこに混じるヒシクイ、マガン、そしてホシムクドリ、タシギ、タゲリ、タカブシギにも出会えました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ハイイロチュウヒ 撮影:箕輪篤子様

 

タカブシギ 撮影:一ノ瀬徹様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:箕輪篤子様

 

アメリカコハクチョウとヒシクイ 撮影:pterosaur様

 

ホシムクドリ 撮影:箕輪篤子様

 

ハイイロチュウヒ 撮影:浜口達男様

 

ヒシクイ 撮影:箕輪篤子様

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