【ツアー報告】渡良瀬遊水池と城沼・多々良沼 2022年12月17日

(写真:コチョウゲンボウ 撮影:宅間保隆様)

最近は狙いの種を決めてタイトルでうたうタイプのツアーが人気ですが、今回は毎冬恒例となっている渡良瀬遊水地を中心に、周辺の湖沼をめぐるツアーです。東京から比較的近い場所に探鳥地あること、また探鳥地間がわずかな距離であることから日帰りバスツアーとしては数多くの探鳥地をめぐれるため、毎回観察種が多いこともこのツアーの特長です。多々良沼はハクチョウ類の越冬地として知られカモ類が多いこともあってそれらを狙う猛禽類が多く、渡良瀬遊水地ではチュウヒの塒入り風景が見られるほか、冬の小鳥類もさまざま見られます。ただ、冬の渡良瀬遊水地周辺は大変に風が強い探鳥地としても知られていて、特に夕方は寒さが厳しくなる傾向があります。この日は残念ながら天気は終日曇りで夕方からは雨が降り出すとのことで早朝から東京駅前はどんよりとしていました。

17日、予定通り東京駅前にご集合いただき、健康チェックシートを回収後はひとまず出発して東北自動車道を走りました。バス車内では1週間ほど前に行った下見の結果を踏まえて、この日に期待できる種の解説を行いながら進み、途中、サービスエリアでの休憩を含めても2時間ほどで最初の探鳥地に到着することができ、まずは観察機材の準備を行っていただきました。この日は土曜日だということとどうやらコウノトリがやってきていることからかなりの人が来ていました。湖畔まで出ると3羽のコウノトリが佇み、遠くにはもう1羽の姿もあったため、しばらく時間をとって観察しました。さらに歩くと湖面にはミコアイサ、カンムリカイツブリが見られ、ダイビングして魚を捕らえたミサゴが飛んでいました。干潟状になっている場所ではシロチドリ、トウネン、オジロトウネンを見ることもでき、その後は隣接する沼にも立ち寄りました。ここではいつものようにかなりの数のオナガガモが見られ、ほかにもハシビロガモ、キンクロハジロ、マガモ、そしてコガモと一緒に群れている10羽ほどのトモエガモにも出会うことができました。またどこから飛んできたのかオオタカの幼鳥が現れて対岸の木に止まりました。次の探鳥地ではジョウビタキのオスと睨みあっているモズ、さらにはカシラダカが見られ、湖面にはオナガガモ、ホシハジロ、ミコアイサ、そしてここでも枯れ木に止まっているオオタカの幼鳥をじっくりと観察することができました。お昼を過ぎてしまったことから移動して公園に向かいましたが、ここではたまたま電線に止まっている美しいコチョウゲンボウのオスがいたことからバスを止めて降り、良い距離感で観察する幸運がありました。その後は公園で各自昼食をとっていただいてから、ミヤマガラスの群れを探して周辺の畑地をめぐってみることにしました。下見時には残念ながらミヤマガラスの群れに出会うことができませんでしたが、この日は30羽ほどの小さな群れながら電線に止まっている群れに出会うことができ、バスを降りて特徴を観察することができました。またわずかな時間ながらケリの姿も見られ、その後はいよいよ渡良瀬遊水地に向かいました。まずは下見時に見られたメジロガモを探しに行ってみました。ここではヨシガモ、オカヨシガモ、ミコアイサが見られ、幸いにもメジロガモが居残っていてくれたためレンガ色の特徴的な色合いの姿をじっくりと観察することができました。また付近のヨシ原ではベニマシコ、オオジュリン、アオジ、カシラダカ、ホオジロ、シジュウカラといった小鳥類にも出会うことができました。時間がやや押してしまいましたが、その後は渡良瀬遊水地内の公園を歩き、ハジロカイツブリやカンムリカイツブリ、谷中湖が一望できる場所からは木に止まっているオオタカ成鳥が見られ、かなりの数のミコアイサに混じるように浮いている4羽のカワアイサなどを見てから閉門時間の16:00に合わせて渡良瀬遊水地から出て、最後は堤防上から塒に帰ってくる猛禽類を観察しました。今期はチュウヒの個体数が少ないようで期待したような状況にはならず、結局は数羽のチュウヒが見られたのみでしたが、鉄塔に止まるノスリを間近に見ることができ、いつの間にか木に止まっていたコチョウゲンボウのオスを観察して周囲が薄暗くなった16:30にこの日の探鳥を終えました。

12月恒例となっている渡良瀬遊水地周辺をめぐる日帰りバスツアー。今年はコウノトリが間近に見られ、メジロガモとの出会いもありました。またミサゴ、チュウヒ、ノスリ、オオタカ、チョウゲンボウなどの猛禽類が見られ、特に美しいコチョウゲンボウのオスに出会えたことは幸いでした。ほかにもオオハクチョウ、コハクチョウ、ヨシガモ、トモエガモ、トウネン、オジロトウネンなどの水鳥、またカシラダカ、ジョウビタキ、シメ、ベニマシコ、ケリ、ミヤマガラスといった冬鳥にも出会うことができ結局は雨に降られることはなく幸いでした。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ヨシガモ 撮影:平田雅也様

 

コウノトリ 撮影:宅間保隆様

 

オオタカ 撮影:平田雅也様

 

メジロガモ 撮影:宅間保隆様

 

オオハクチョウ 撮影:平田雅也様

 

コウノトリ 撮影:宅間保隆様

 

カンムリカイツブリ 撮影:平田雅也様

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