【ツアー報告】初夏の上高地と乗鞍畳平ハイキング 2015年6月9日(火)~11日(木)

秋の乗鞍高原での探鳥はタカの渡りをメインに長らく企画してきましたが、夏鳥たちが見やすい初夏にも是非訪れたいと思い企画してみました。この地は高原の鳥、亜高山の鳥、高山の鳥、そして森林の夏鳥も見られ、それらがバスで1時間程度のエリアに集まっているのが特長です。関東甲信越の梅雨入りが発表され、お天気が微妙な時期ですが今回は幸いにもお天気に恵まれ到着と同時に雨が上がりました。
9日、特急あずさで新宿から約3時間、ちょうどお昼に松本駅に到着してまずは今回お世話になる宿に向かい、到着後は一旦荷物を置き、観察機材の準備をしてから再出発しました。今日は主に亜高山帯の鳥を観察します。まずはジュウイチ、メボソムシクイ、ルリビタキのさえずりが聞こえる中、アカゲラが飛び交っていました。林に入ると遠くからコマドリのさえずりが聞こえ、エゾムシクイの涼しげな声も響いていました。さらに歩いていくと盛んにさえずり飛翔を繰り返すビンズイの姿があり、じっくりと観察することができました。足元に咲いているイワカガミを見ているとカケスの姿があり、さらにカッコウがカラマツのてっぺんで歌い出しました。戻る途中ではルリビタキ、ゴジュウカラ、ヒガラ、コガラの姿を見ることができ、「ピョーピョー」鳴きながら現れたアオゲラがしばらくの間楽しませてくれ、最後は枯れ木のてっぺんに止り動かなくなってしまいました。そして突然現れたハチクマの飛翔を見て観察を終了しました。宿泊地の乗鞍高原の宿は「にごり湯」と山菜料理がたいへん好評でした。
10日、すっきりとした青空が広がり始めた05:00から宿周辺を歩くことにしました。まずは飛び交うキセキレイの姿があり、ホオジロがさえずっていました。枯れ木のてっぺんに止っているゴジュウカラを観察していると聞き慣れないさえずりが聞こえたため見てみると驚いたことにジョウビタキでした。最近では信州での繁殖記録が増えているそうで当地でも繁殖しているのかもしれません。その後はコルリ、キビタキの声を聞きながらカッコウ、アカゲラ、アオジなどを観察し、朝食後は快晴の畳平に向かいました。到着後は時間をとってまずは服装を整えていただきました。気温10℃でしたが、この日は晴天で風もない状況だったため思ったほど寒くはありませんでした。バスターミナル周辺で営巣しているイワツバメを見ていると、いきなりイワヒバリが現れて間近に美しいさえずりを聞かせてくれ、続けてカヤクグリも現れました。ただ、一番の狙いはライチョウです。晴天の日は外敵に狙われやすいことから見ることが難しいと言われていますが、この日は岩の上で休む個体を見ることができたほか、ハイマツからのそっと顔を出した個体もじっくりと見ることができました。また戻る途中では再びイワヒバリをじっくり見ることができ、残雪の上を歩くカヤクグリも見ることができましたが、残念なことにホシガラスの姿がありませんでした。思いのほか観察が順調に進んだことから昼食後には現地を出発して上高地に向かいました。上高地でも同様にまずは宿に入り、観察機材の準備をしてから出発しました。時間的な制約があったことからピンポイントでコマドリのポイントに向かうことにし、幸いにも低木に止ってさえずるコマドリの姿を見ることができました。そして各所で見られた絶景は何よりの思い出となりました。
11日、再度コマドリを狙って05:00に宿を出発し、いきなり宿前でオオアカゲラの姿を見ることができました。有名な河童橋付近では川の流れの音に負けない声量でオオルリが歌っていました。早朝は結果的にコマドリに出会うことができませんでしたが、クロジ、ミソサザイ、コサメビタキ、カワガラス、そして河原で疑傷行動を繰り返すイカルチドリを観察できました。朝食後は別ルートを歩くことにしました。湿地帯ではマガモの親子、当地では非常に見やすいウグイスなどを見ながら歩いていくと間近にコマドリの声がする場所がありました。しばらく待っていると低木に止ってさえずりだしたためじっくりと観察することができました。さすがにこの距離だと腹の底に響くような声量で印象的でした。そして最後は美しい姿とさえずりを楽しませてくれるキビタキをしっかりと目に焼き付けてこのツアーを締めくくりました。鳥たちの姿もさることながら、晴天に恵まれ、乗鞍エリアの絶景と地元ならではの山菜料理、そして温泉も楽しめた3日間でした。皆様お疲れ様でした。
石田 光史

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