【ツアー報告】ベストシーズンに巡る夏の北海道 2015年6月19日(金)~25日(木)(フェリープラン)/6月21日(日)~24日(水)(飛行機プラン)

本州は梅雨に入り、鳥たちの繁殖行動も一段落。しかも森ではセミの声がうるさくなり、残念ながらバードウォッチングには不向きな時期です。ただ、北海道はバードウォッチングのベストシーズンなのです。今回はこの時期のベストポイントを網羅するだけでなく、フェリープランでは海鳥も楽しめるという豪華な企画です。
21日、前日夜入りしているフェリープランのお客様と共に林を歩き、キビタキ、センダイムシクイ、アオジ、マガモの親子などを観察。聞きなれないカラ類の声が聞こえたのでよく見てみると、黄色味のあるヒガラの幼鳥で、親鳥が餌を運んでいました。その後は千歳空港に向かい、飛行機プランのお客様と合流した後、この日の探鳥地へと向かいました。到着後は一旦チェックインして再集合し、探鳥を開始しました。ホテル前の高木ではツツドリが鳴き、ニュウナイスズメが飛び交っていました。この場所の主役であるアオバトを探して進むと、かなりの数のアオバトが飛翔しており、遠くの枯れ木に群れている様子も見られました。川ではカワガラスの姿があり、林道ではオオルリ、ハシブトガラ、コゲラ、アオジ、ホオジロなどを観察し、最後は塒に向かうために群れ飛ぶアオバトの姿を堪能して探鳥を終了しました。
22日、この日はホテルを05:00に出発して旭岳へ。心配された霧は全くなく、ギラギラした太陽光もないという絶好のコンディションの中、06:30のロープウェイに乗車しました。ポイントに到着すると静けさが漂っていましたが、期待のギンザンマシコはすぐに現れ、2羽のメス個体がハイマツの上に止まりました。一旦は見失いましたが直後に真っ赤なオス個体が目の前に現れて楽しませてくれたほか、赤味の薄い若いオスと思われる個体も含めて、5個体前後が入れ替わり立ち替わり姿を見せてくれました。またノゴマ、ホシガラス、カヤクグリなどの姿もあり、いつもは長引く探鳥を早々に切り上げることができました。その後は小雨が降る中で、美しいベニマシコのオスの夏羽、アオジ、コサメビタキなどを観察し、下サロベツに向かいました。期待されたツメナガセキレイに出会うことができませんでしたが、巣立ったばかりのノビタキのヒナ、コヨシキリ、カッコウ、チュウヒなどを観察することができ、アリスイをご覧になったお客様もいらっしゃいました。
23日は04:30に出発して上サロベツに向かいました。ここでは年々その数を減らしているシマアオジを探しましたが、我々の心配をよそに複数個体が歌い、エゾカンゾウの花に止まって歌う姿などを堪能することができました。また、下サロベツで見ることができなかったツメナガセキレイも別ポイントで見ることができ、シマアオジの黄色とはちょっと違った鮮やかなレモンイエローが印象的でした。そして虫の声のようなさえずりのマキノセンニュウも複数個体見ることができたほか、独特のさえずりのオオジシギは良い被写体になってくれました。その後は羽幌町まで移動し天売島へと渡りました。天売島到着後は宿周辺を歩き、とにかく目立つノゴマのほか、ベニマシコ、コムクドリ、カッコウなどを観察して、夕食後はこの時期、島で繁殖しているウトウたちが巣に戻ってくる様子を観察しました。今や100万羽ともいわれるウトウたちが続々と島に戻ってくる様子は、言葉では説明ができないような光景ですので、ぜひ多くの方々にこの圧倒されるような光景を実際に見ていただきたいと思いました。
24日、05:30、すっきりと晴れ渡った空の元、この春から始まった漁船によるクルーズに乗船。幸運にも漁船は無風の海を進んでいきました。特徴的な地形や場所に関して船長さんからの解説を聞きながら進んで行くと、いよいよ海鳥たちのポイントに達しました。ウトウ、ケイマフリ、ウミウ、ウミネコなどが引っ切り無しに見られ、最後には無数に群れるウトウの中から、ようやく2羽のウミガラスを見つけることができました。エンジンを停止して流していると、海鳥たちが警戒心を解いて、リラックスした表情を見せていたのが印象的でした。
また今回はフェリープランも企画し、大洗~苫小牧で海鳥観察も行ないました。今回は途中3時間ほどの休憩を入れて重要な海域だけでの探鳥でしたが、全体的にクロアシアホウドリが多く、往復共にアホウドリを観察し、僅かながらオオトウゾクカモメ、トウゾクカモメ、コシジロウミツバメ、カンムリウミスズメが見られたほか、オオミズナギドリ、フルマカモメ、ハシボソミズナギドリ、ハイイロミズナギドリ、アカアシミズナギドリといったさまざまなミズナギドリ類を観察することができました。概ね天候に恵まれ、まさにベストシーズンの北海道を楽しむことができました。皆様お疲れ様でした。

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石田 光史

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