【ツアー報告】キクイタダキに会いたい!7月の富士山五合目 2015年7月30日(木)

ここ数日は厳しい暑さが続き、熱中症のニュースをよく耳にするようになりました。しかも暑さが厳しくなるのが年々早くなっているような気がして気がかりです。ここまで暑さが厳しくなってくると平地でのバードウォッチングはほぼ不可能で一休みとなり、気候が快適な高山帯に出かけるか海上で海鳥を観察するしかない状況になります。そこで今回は厳しい暑さを避けて一日快適にのんびり過ごすこと、また普段なかなか目にする機会がない高山の鳥を見ることの二つを目的にして富士山に向かう日帰りバスツアーを企画しました。
30日、早朝の東京駅前は好天も手伝ってか、早くも気温がぐんぐん上がり07:30でも汗ばむようでした。毎回、鳥の観察会のお客様はご集合が早めで、今回も予定より5分ほど早い07:55にバスを出発させることができました。途中にあるサービスエリアまでまずは走りそこで休憩をとりましたが、ここではさらに気温が上昇していて厳しいというよりは激しい暑さでした。ただ、そこから1時間半ほど走った富士山五合目でバスから降りると驚くような涼しさで、皆さん口々に気持ちいいいと話されていました。トイレ休憩を終えた後は坂道を下って探鳥ポイントに向かいましたが、到着前に早くもメボソムシクイ、ヒガラ、ルリビタキのさえずりが聞こえていました。
到着後は観察機材の準備を進めましたが、早くも水場にはルリビタキの姿がありました。観察しているとメスと思われる個体のほか、鱗模様が鮮やかな幼鳥個体もやってきました。そしてさらには青色が鮮やかなオス個体も現れ、いきなりルリビタキだらけになりました。その後は水場もちょっと休憩時間になったようで閑散としてしまいましたが1時間ほどしてヒガラがやってきて、続けてウソのつがい、幼鳥も現れました。ウソはオスとメスが仲良くやってきて2羽で並んで水浴びを披露してくれるなど、愛くるしい姿が印象的でした。その後はメボソムシクイ、カヤクグリ、コガラ、そして再びルリビタキを観察し、13:20にようやくお目当てのキクイタダキがやってきました。普段高い場所にいることが多いため、特徴的な頭部の模様を見る機会はほとんどありませんが、この場所では目線よりも下で見ることができるため黄色い頭部に赤い羽毛があることがわかり、オスと断定することができました。そして13:45頃からはご希望のお客様と遊歩道を歩き、樹上でさえずるルリビタキ、カヤクグリ、展望台ではスイスイと飛翔するアマツバメを見ることができました。遊歩道から水場に戻ると我々が留守の間にビンズイの姿があったそうで、その後は鳥の出はさらに加速し、ルリビタキは一時は同時に4~5個体がやってきて、入れ替わり立ち替わりに水浴びをし、ウソ、ヒガラ、コガラ、メボソムシクイ、そして今度はキクイタダキのメスの姿も見られました。そしてここまでなかなか姿を見せてくれなかったホシガラスがまずは高木の上に止まって様子を伺いにやってきたかと思うと、その後は水場にやってきてその姿をしっかりと見せてくれました。一度は飛び去ってしまいましたが、その後は数回姿を見せてくれ、一時は同時に3個体がやってくる状況でした。最後の最後で最も大型で特徴的なホシガラスが派手に動き回ってくれたため、ツアーそのものも盛り上がって終えることができました。
数ある日帰りバスツアーの中で、ほぼ一日中待って探鳥するというツアーはこの富士山、そして伊吹山のイヌワシ観察ツアーくらいしかありませんので異例の日帰りバスツアーでした。ただ、暑い中で無意味に動き回っても成果は期待できませんし、体調不良などあっても困ります。やはり暑い時期は涼しい場所で待つというスタイルが良いと改めて思いました。タイトルにもあったキクイタダキをはじめ、ホシガラスなど期待していた種とほぼ出会うことができ幸運でした。このツアーは8月にも予定しております。見られる種は変わりませんが幼鳥個体がさらに多く見られるものと思います。まだまだ探鳥に行く場所に困る時期ですので再度のご参加をご検討いただけましたら幸です。この度はお疲れ様でした。
石田 光史

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