【ツアー報告】東シナ海第四の秘島 秋の粟国島 2022年10月2日~5日
(写真:リュウキュウヨシゴイ 撮影:天野昌弘様)
2日、12:05那覇空港を出発。粟国島の渡りが主目的のツアーですが、粟国島まで向かうフェリーが1日1便のみなので、本日は沖縄本島で鳥を見ることに。まずは耕作地に向かうと、ひらひらとクロハラアジサシが飛んでいる。農道をゆっくりと走ると、シギチドリ類はジシギ類が多く見られた。識別が難解であったが、至近距離から観察できた個体は、その特徴からチュウジシギと識別した。ジシギ類のほかにもヒバリシギ、コアオアシシギ、アカアシシギ、エリマキシギなども見られ、賑やかである。乾燥した草地で休むムナグロを見ていると、そばにアメリカウズラシギの姿もあった。しかし、観察条件がいまひとつ優れないため、周りを見た後で再び戻ってくることにして出発すると、水を張った水田に15羽ほどのクロハラアジサシが休んでいて、2羽のハジロクロハラアジサシの姿もあった。さらに別の水田の畔にはリュウキュウヨシゴイも現れ、こちらもしっかりと観察する幸運に恵まれた。先ほどのアメリカウズラシギを観察するために戻ると、すでにいなくなってしまっていたが、別の水田に降りているところを発見して、再び観察することができた。ひと通り観察した後は海岸を訪れ16:00から観察するが、こちらは鳥影が薄く17:05にホテルにチェックインをする。
3日、早朝にホテルを出発。ホテルの周辺でクロツラヘラサギ4羽を観察し、車中から40羽ほどのムクドリの群れを見つけたので、他のムクドリ類が混じっていないか1羽1羽ていねいに観察するが、この群れはムクドリのみであった。サギ類などを観察していると、2羽のヒクイナが現れた。しかも今回は開けた場所に現れて、ゆっくりと餌を探していたので、じっくりと観察することができた。観察後は港に向かい、乗船手続き等を行う。フェリーは定刻通りに出港。「ニューフェリーあぐに」は粟国村が運航している全長65m、451トン、定員270名の立派なフェリーだ。目的地の粟国島は那覇市の北西約60kmに位置し、面積約7.6k㎡、周囲12.8km、産業は主に農業と漁業だが、製塩業も盛んである。周囲に島がないことから渡り鳥が立ち寄る離島として、近年になり注目度が高まっている。那覇から粟国島まではフェリーでおよそ2時間、南の島の海というとカツオドリやネッタイチョウが多く飛ぶというイメージを持っている人が多いようだが、そんなことはなく、海鳥の姿を確認することが無いまま粟国島に着岸。昼食後、いよいよ粟国島でのバードウォッチングを始める。エゾビタキが群れで入っているようで、狭い範囲で何羽も飛び交っている。そして農耕地をゆっくりと走りながら鳥を探すが、残念ながらあまり多くないようだ。それでも、数は少ないながらもツメナガセキレイやコホオアカなどの渡り鳥や、最近になり粟国島に定着しているらしいインドハッカなどを観察したのちにチェックイン。
4日、朝食前にホテル周辺を歩き、ムジセッカやコホオアカを確認する。集落内の電線にとまっている鳥はヒヨドリかと思い、双眼鏡を向けるとツツドリであった。このようなこともあるから渡りの島は気が抜けない。朝食後は島内の過去に渡り鳥が多く観察されたポイントを中心にまわるが、どこも鳥影が薄い。しかし、とある道を通過した際に、道端から飛び上がる3,4羽のホオジロ類の姿があったのでその周辺をしっかりと観察すると、コホオアカの小群であった。しかもひと群れだけでなく、数羽の群れがいくつも入っている。それらを観察していると背後に明らかにコホオアカとは異なるホオジロ類が現れたが、シロハラホオジロであった。
5日、朝食前にホテル周辺を歩くと、茂みの中からコムシクイの声が聴こえてきた。その姿を探していると、時々現れるものの、すぐに藪に隠れてしまうため、しっかりと確認することがなかなか難しい。さらに同じ場所にムジセッカもいたので、まぎらわしい。朝食後、耕作地を中心に島内のポイントをまわるが、新たな鳥の姿が見つからない。お昼も近くなり暑さが厳しくなったところでオオルリを、昼食を食べた洞寺で上空を舞うアマツバメを、それぞれリストに加えたところで探鳥を終了とする。フェリー乗り場に向かおうとする時に現れたコホオアカに後ろ髪を引かれる思いで、フェリー乗り場に向かう。フェリーは予定通りに出港、本日も海は穏やかだ。予定通りに那覇の港に着岸した後、那覇空港へ到着した。毎日が晴天に恵まれ、真夏を思わせる強い日差しでしたが、風と渡り鳥の姿に秋を感じることができた4日間でした。みなさま、お疲れ様でした。
田仲謙介