【ツアー報告】秋の渥美半島 田原湾と伊良湖タカの渡り 2022年10月2日~3日

(写真:チゴハヤブサ 撮影:佐藤幹夫様)

秋といえばタカの渡り観察を外すことはできません。天候によるリスクがあることは残念ながら事実ですが年間を通して観察できる時期はほんのわずかです。この秋の対馬、白樺峠、福江島と催行し、最後がこの伊良湖岬です。時期に関してはある程度決まってはいますが単に天気のめぐりあわせを含めたタイミングが重要なため、天気の状況によってはどんどん良い時期がずれたりすることから、良いシーンに出会えるかは運次第といったところです。しかもタカ渡りのポイントはどこも天気予報が難しく、過去には雨予報が晴れに変わり、極めて良いシーンが見られたということもあるし、その逆もありました。今回はタカ渡りの観察は2日目の1日のみで、初日は豊橋駅から田原湾、その後は渥美半島各所にある探鳥地をめぐりながら先端にある伊良湖岬へ向かいます。直前に台風が発生してどうなることかと心配でしたが、台風が大きく逸れたため天気予報は両日共に晴れマークとなりました。

2日、台風も去り、この日は真夏のような陽気になるとの予報が出る中、快晴の豊橋駅にご集合いただき、まずは田原市に向かいました。ただ翌日の天候が良く、大きな予定変更はないだろうとのことから、この移動時間に翌日を含めた連絡事項を皆様にお伝えし、併せてこのツアーの見どころの解説も行いました。到着後は時間をとって各自昼食、そして観察機材の準備をしていただいてから、まずは田原湾の畑地を歩きました。この時間は日差しが強く真夏のような状況になりつつありましたが、ススキにはスズメが群れ、電線ではモズが鳴き、雰囲気はすっかり秋といった感じでした。歩いていくと水たまりからクサシギが飛び立ち、さらに進むと秋色に換羽したノビタキの姿がありました。しばらく観察していると1羽、さらに1羽と増え、結果的には3羽のノビタキを観察することができ、川では群れるカワウ、そしてカワセミの姿を見てからトイレに寄りました。その後はさらに伊良湖岬方面に移動し、途中途中にある小さな港に立ち寄りながらオオアジサシを探してみることにしました。すると最初に立ち寄った港で、いきなりオオアジサシの群れに出会うことができ、その数は過去にこのツアーで見た経験がないほどでした。数えてみると40羽、飛んでいる個体もいたのでそれ以上かといった感じで、ここではじっくりと時間をかけて観察することにしました。中にはウミネコを追いはらったり、追い回して飛んだりする個体もいて楽しめました。また付近ではイソヒヨドリ、ノスリの姿もありました。その後はトイレに立ち寄ってから次のポイントに向かいました。ここでは間近にホオジロが鳴き、ここでも遠くの杭に止まる数十羽のオオアジサシが見られました。また干潟では10羽ほどで群れるメダイチドリ、イソシギ、キアシシギも見られ、やや時間が押してきましたが最後は別の港に向かいました。ここでは湿地状になった場所に群れる15羽ほどのケリの姿が見られ、まだまだ数は少ないものの渡ってきたばかりのコガモ、ハシビロガモ、マガモ、カルガモなどが見られ、最後はちょっとだけ伊良湖岬のタカ渡り観察のメッカ、恋路ヶ浜に立ち寄って我々が観察するホテルとの位置関係を見ていただいてからホテルに向かいました。

3日、06:00、早朝は意外に曇り空であれれといった感じでやや風が強い印象でした。ただ早速、06:05に4羽のサシバが舞い上がって上空を通過し、ハクセキレイの群れが続々と渡っていきました。06:10にはアマツバメが飛び、どこに向かうのかダイサギとアオサギの群れが美しいV字編隊を組んで通過していきました。06:25には真下からハヤブサが沸き上がって上空を飛び、ノスリがホバリングを始めました。さらに06:40にはノスリは5羽に増え、どこからともなくやってきたハシブトガラスの群れが舞っていました。07:00頃からはようやく青空が見え始める中、07:15には再び15羽ほどのアオサギが通過していきました。08:25にはサシバ幼鳥が間近を飛び、08:40にはオオタカ幼鳥、そしてツミが出現し、08:45にはようやく期待のチゴハヤブサが2羽飛びましたが距離がありました。08:50にはノスリがホバリングする中、再びハヤブサが高速で飛び、09:00にはハヤブサは2羽となって目線ほどの高さを仲良く飛んでいました。09:40にはようやくチゴハヤブサが間近を飛び、09:55にもさらにもう一度我々の頭上までやってきてじっくりとその姿を見せてくれました。10:10には7羽のサシバが通過し、10:30にはさらに近い場所を3羽のサシバが飛び、これぞホテルの屋上といった感じで目線ほどの高さを飛んでくれました。10:40には再びチゴハヤブサが飛び回り、トンボを捕食する様子を見ることができ、11:20には3羽のサシバが通過していきました。11:30にはどこから来たのかようやくハチクマの幼鳥が飛び、観察していると眼下から沸き上がるようにチゴハヤブサが飛び、11:50には珍しく近い距離をツミが飛んでくれました。12:40頃からもチゴハヤブサが飛び回り、13:25には5羽のサシバが旋回しながら上昇して渡っていく様子を見ることができました。13:40にはオオタカ幼鳥とハシブトガラスが空中戦を始め、13:50にはまたまたチゴハヤブサが上空を飛び回りました。また3羽のサシバと1羽のハチクマが旋回飛翔しながら渡っていき、14:15にはチョウゲンボウが眼下から沸き上がって上空を通過していきました。そして14:20にはこれまでとは異なった方向からチゴハヤブサが接近して上空を通過していきました。その後はノスリが次々に沸き上がって、あたかも空中で止まっているかのようにホバリングを見せてくれました。15:00にはやや雲が多くなる中、5羽のサシバが旋回上昇して渡っていき、15:10には眼下から沸き上がってきたハヤブサが間近を飛んでくれました。そして15:50にハチクマが見られ、その後はホバリングするノスリを見ながら過ごし、16:30に観察を終了しました。結局、この日の公式記録はサシバ74羽、ハチクマ5羽、チゴハヤブサ9羽、総数122羽とのことで記録としては少ないように感じましたが、ホテルの屋上という好条件で観察できたこと、また眼下から沸き上がってくるタカたちが多数見られたこともあり、実際に観察した印象としてはかなりの成果であると感じました。

タカ渡りにお季節になるととにかく天気予報が気になります。今回は直前に台風発生もあってひやひやしながら過ごしましたが、幸いにも台風は逸れてくれツアーに影響はありませんでした。秋の渡り期を迎えた渥美半島は各所に良い探鳥地があり、それらを時間いっぱいめぐってみました。結果的にはカモ類、シギチドリ類は少なかったですが、秋色のノビタキやケリ、そしてオオアジサシは2カ所で計40羽以上を見ることができ、過去最大の成果となりました。どこからやってくるのか、そしてどこにいくのかわかりませんが毎年周辺にやってきます。もちろん残念ながら見られないといったこともありましたが今回は幸いでした。そしてこのツアーのメインの伊良湖岬では天候に恵まれたこともあり、頭上を飛び回るチゴハヤブサを何回も見ることができ、サシバ、ハチクマ、ノスリ、ミサゴ、オオタカ、ツミ、チョウゲンボウ、ハヤブサとさまざまなタカたちを見ることができました。タカ渡り観察は何度行っても同じ結果になることはなく毎年楽しめます。ぜひ今後も秋のタカ渡り観察を恒例行事にしていただければと思います。この度はご参加いただきましてありがとうございました。またご一緒できましたら幸いです。

石田光史

サシバ 撮影:佐藤幹夫様

 

チゴハヤブサ 撮影:小澤正幸様

 

オオアジサシ 撮影:R様

 

オオアジサシ 撮影:山口勝業様

 

ハヤブサ 撮影:佐藤幹夫様

 

ホオジロ 撮影:小澤正幸様

 

オオアジサシ 撮影:R様

 

ハヤブサ 撮影:山口勝業様

 

ノスリ 撮影:佐藤幹夫様

 

オオアジサシ 撮影:小澤正幸様

 

サシバ 撮影:R様

 

オオアジサシ 撮影:佐藤幹夫様

 

ハヤブサ 撮影:R様

 

チゴハヤブサ 撮影:R様

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