【ツアー報告】秋の対馬 大群で渡るアカハラダカと渡りの小鳥たち 2022年9月15日~17日
(写真:アカハラダカ 撮影:小栁恵様)
15日朝、羽田集合に皆様がお集まりいただきチェックインをすると、長崎から対馬の便の運航が天候調査対象となり、離陸するかどうかは長崎空港に着いてからでないと分からないと告げられ、なんとも落ち着かない気持ちでの旅の始まりとなりました。長崎空港のカウンターでは、対馬空港に着陸できない場合は福岡空港へ向かう、という条件付運航と伝えられますが、窓の外には好天の青空が広がり、対馬の天気がそんなに悪いのかと半信半疑のまま、離陸します。目的地の対馬が近づいてくると、長崎周辺の好天が嘘のように灰色の厚い雲に覆われました。しかし、その雲のなかを降下し、ほぼ定刻通りに対馬空港に到着することができました。空港からは内山峠方面にバスを走らせますが、山の中は濃霧に包まれ、ほぼ視界がありませんでしたので、予定を変えて、低地の水田を巡ることとしましたが、どこもまだ渡り鳥の姿が少ないながらも、コガモ、タカブシギ、タシギ、エゾビタキなどが見られ、秋の渡りが進行していることを実感しながら、初日の探鳥を終えました。
翌16日は曇天ながら視界は開けていたので、期待を胸に内山峠に向かいますが、展望台に到着すると、またしても濃霧に覆われて視界がほとんど無いため、低地の観察ポイントまで向かいます。ここまで下ってくると晴天なのですが、残念ながらほぼ鳥影がありません。そのため、再び内山峠方面に向かい、霧の深くない山の中腹から空を見上げると、渡り途中に対馬で休んでいたであろうアカハラダカが現れて、合わせて15羽ほど観察することができました。だんだんと空も明るくなってきたので、再び内山峠の展望台へと向かうと、ところどころに霧が残るものの、だいぶ霧も晴れており、視界も広がってきました。20羽ほどで群れて飛ぶアカハラダカを観察したほか、1羽、また1羽と散発的にアカハラダカが現れ、近いところを飛ぶチゴハヤブサも何回も観察することができました。1時間余り観察したところでタカの動きも収まってきたことから、低地の水田地帯に移動することにしました。ここではツツドリやシマアカモズのほか、頭上をゆっくりと舞ってくれた雄のハチクマをしっかりと観察することができました。
最終日17日、この旅のラストチャンスである午前中を内山峠に向かいます。しかし、山を登っていくと、またしても霧のなか。しかしそのような決して条件が良いとは言えないなかでも展望台で待っていると、霧の中から不意にアカハラダカやチゴハヤブサが現れ、再び霧の中へと消えていきます。垂れこめた濃霧の影響で私たちからは観察が難しいのですが、タカたちは動いているようです。しかし接近している台風の影響から、空模様も次第に怪しくなり、11:30には雨が降りつけてきました。そのため、ここで観察を中断して観察を終えました。
今回は接近した大型台風の影響から残念ながら天候に恵まれず、この時期の対馬ならではの壮大なアカハラダカの渡りを観察することができませんでしたが、次回こそはと期待しておりますので、また機会を改めて対馬を訪れていただければと思います。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
田仲 謙介