【ツアー報告】キクイタダキに会いたい!富士山五合目 2022年8月29日
(写真:ホシガラス 撮影:中村裕一様)
今年は梅雨明けが異常に早かったこともあって7月から猛暑日が続くという異例の夏になりました。盛夏の時期はなかなか行く場所もみつからないため、国内のバードウォッチングは一休みとなります。ただ、それでも標高が高い場所に行けば、まだまだ野鳥たちが楽しめるだろうと企画したのがこのツアーです。とにかく暑さが厳しい下界を離れて涼しい高山帯に出かけ、たいして歩くことなく鳥が見られる場所でのんびりと野鳥を観察、撮影しようというコンセプトなのです。今回はずっと続いていた猛暑が一時的に収まったタイミングに当たったものの、不安定な天気が続いていたため直前まで天気予報が定まらない状況でした。ただ、当日は天気予報は晴れに変わり、早朝の東京駅前は幸いにも晴れ間が出る状況でした。
29日、朝から快晴の東京駅前に予定通りご集合いただき、予定通り08:30に東京駅前を出発しました。この日の東京の最高気温予想は27℃。現地、富士山五合目は16℃とのことで想定よりもかなり気温が低くなりそうでした。バス移動中はこの日に見られる可能性が高い種の解説を行いながら進み、少々渋滞があったものの一旦サービスエリアで休憩としました。この日は月曜日にもかかわらずかなりの混雑で、観光バスの数も多く、いよいよ観光が本格化してきたことを印象づけていました。休憩後はさらに進みましたが空はやや雲が多くなり、スバルラインを走っている頃からは一時的に霧も発生してきました。現地到着後は各自準備を整えていただきましたが幸いなことに空は見る見る青空に変わってきていました。ただ、どうやら前日の雨はかなりの量だったらしく道端には水たまりができていて心配になりました。というのも各所に水たまりができてしまうと、鳥たちが分散してしまい、狙っている水場にやってくる鳥たちが減ってしまうのです。ただ、意外にも到着してわずかな11:15に、いきなりホシガラスが飛んできてくれました。残念ながら水浴びはせずに飛び去ってしまいましたが、思わぬ出会いとなりました。ただ、その後は鳥の気配が全くなくなってしまい、現地もどこからともなく霧が流れてきたかと思うと晴れたり曇ったりと目まぐるしく天候が変わる状況になってしまいました。12:20には付近でウソの声が聞こえましたが姿は見えず、しかも14:10からは霧雨が小雨に変わってしまいました。さすがに今日は鳥は見られないかと思っていたところ14:35に美しいブルーのルリビタキのオスがひょっこりやってきて水浴びを始めてくれました。一旦、姿が見えなくなりましたが再びやってきてくれ、ようやく鳥の姿をじっくり観察することができました。すると続けざまに14:40にウソのメスがやってきたかと思うとオスもやってきて、仲良くつがいで水浴びを始めてくれました。そしてほぼ諦めていたキクイタダキの声が付近から聞こえたかと思うと15:10にキクイタダキのオスがやってきて水浴びを始めました。ぱっと見た感じからもオスとわかる頭頂部の色が見え、最後の最後にようやくキクイタダキに出会えてほっとしました。そして16:00にはヒガラが2羽でやってきて針葉樹林を動き回ってくれ、この日も16:30に観察を終了しました。
さて、この日は前日の雨の影響からか鳥の動きが悪く、前半は全く鳥の姿がない状況になってしまい残念でした。また想定外に肌寒く、薄手のダウンジャケットがあっても良いほどでした。結果的にはホシガラスがチラッとではありましたが姿を見せてくれ、美しいオスのルリビタキ、おなじみのウソのつがいやヒガラ、そして何とかキクイタダキに出会うことができ、ひとまずほっとしました。今年は夏の天候が異常で思ったような残暑にならなかったことが影響したのだと思います。ご参加いただきました皆様、そして現地でお世話になった皆様、ありがとうございました。
石田光史