【ツアー報告】空の王者 イヌワシに会いたい! 2022年8月6日~7日

(写真:イヌワシ 撮影:坂東俊輝様)

今年は梅雨らしい梅雨がなく、あっという間に梅雨が明けたかと思うと早々に猛暑の季節がやってきて、しかもそれがずっと続くという酷暑の夏になってしまいました。さすがにこうなるとなかなか行く場所も見あたらず国内でのバードウォッチングは一休みとなり、もちろんバードウォッチングツアーも夏休み状態になります。ただ、こうった状況だからこそ、標高が高い涼しい場所で、これといって歩くこともなく過ごすことができる定点観察のツアーを企画してみてはどうかと考案したのがこのツアーです。定点観察といえば大型猛禽類ということでイヌワシ観察はどうかとなったわけですが、もちろん天気も重要なことから、過去の天気を見て晴れの確率が高い時期に合わせています。ただ、今年は梅雨明けがかなり早かったこと、また猛暑の時期がずっと続いていることからか、直前には東北、そして北陸で災害を伴うような大雨が降り、今回訪れる滋賀県の一部でも河川の氾濫が起こってしまいました。ひとまず当日の天気予報から雨マークはなくなったものの、天気の急変といったことを想定しての出発となってしまいました。

6日、直前の大雨の影響はないとのことで一安心して集合場所に向かいましたが、相変わらず天気予報は各社バラバラといった感じでした。集合場所の米原駅は例年に比べるといくぶん涼しい印象で、ご集合後は早速バスにて出発して伊吹山ドライブウェイの山頂スカイテラスを目指して走り出しました。途中、今回の主役であるイヌワシの基礎的な話をしながら進み、ドライブウェイのゲートまで来ると山頂付近の気温は19℃、視界は残念ながら不良となっていました。登って行くとさすがに高山帯の風景が広がり、視界はこれといって悪くはありませんでした。ただどんどん登って行くといよいよ霧が発生してきて怪しげな雰囲気に。そしてあとわずかで山頂駐車場とったあたりからはかなり濃い濃霧になり、バスもライトを点灯しないと危険なほどでした。到着後はひとまずトイレに寄っていただき熱中症対策の意味から飲み物も購入していただいてから観察を開始しました。ただ機材準備をしている最中からかなり霧が濃く、景色を見ることができない状態でした。周囲からはウグイス、ホオジロのさえずりが聞え、眼下の林からはクロツグミのさえずりがずっと続いていました。15:00の休憩の際に山頂駐車場付近は霧が晴れて一時的に視界が広がり、青空も見えてきてはいましたが、それもわずかな時間のみでした。結局、この日は夕方まで粘ってみましたが、逆に霧は濃くなってしまい17:00過ぎに下山することにしました。ドライブウェイを下って行くと次第に霧は薄くなってきて青空が広がり、眼下には町並みが見えてきて本当に残念な気持ちになりました。

7日、この日も各社天気予報がバラバラ状態の中、外を見ると意外なことに青空が広がっていて暑さが戻ってきている感じがしました。ただ山頂ライブカメラを見るとやはり霧が濃くて視界不良と出ていました。朝食後の08:00にホテルを出発してイヌワシについての話をしながらゲートまで来ると頂上付近は気温19℃、残念ながら視界は昨日同様不良で霧が濃いようでした。途中までは視界もあり空も晴れていましたが、昨日同様に山頂駐車場が近づいてくると霧はどんどん濃くなってきて、山頂駐車場は昨日とほぼ変わらない視界不良でした。ただこの日もまずはトイレに寄っていただき、暑さ対策として飲み物を買っていただいたりしてから観察開始することにしました。観察を開始した09:30は景色は全く見えずといった感じでしたが、上空はやや明るい感じがしていました。11:00頃からは霧は薄くなってきたようで背後の林からはエナガやシジュウカラの声が聞こえ、カケスも騒いでいました。そしてその後は次第に霧が薄くなる時間帯が出てきて、ようやくお昼前には遠くに琵琶湖が見えるようになってきました。ひとまずイヌワシの止まり場を見てみしたが残念ながら姿はなく、仕方なく飛んでくるのを待つことにしました。ふと見るとツバメ、イワツバメが飛び始めて良い雰囲気になってきました。そしてようやく13:05に想定外の方向からイヌワシが我々の前を横切るように猛スピードで通過し、そのまま通り過ぎるのかと思っていたら、いきなり対岸の山の斜面で方向転換するようにスピードを落として旋回しましたが、結局は尾根の後ろに消えていきました。ただ13:25には再び飛んできたかと思うと止まり場の岩に止まってくれました。望遠鏡で見てみると鋭い表情が印象的な個体で、付近では2羽のカケスがイヌワシに対して盛んにアタックしていて、時にはイヌワシの頭を足で叩くような行動もしていました。ただイヌワシは13:50に飛び立ってグイグイとスピードを上げると、音もなく対岸の尾根に消えていきました。その後はチョウゲンボウが眼下をスイスイ飛んだり、カッコウ、キジバトが飛び回ったりと賑やかになってきましたが残念ながらイヌワシの気配は全くなくなってしまいました。ただ15:30にいきなり上空をイヌワシが通過しましたがわずかな時間で去ってしまい、これがこの日の最後の出会いでした。気がつくと見事な風景が広がる中、日焼けが心配になるようないつもの伊吹山になっていました。

さて、毎年盛夏の頃の恒例となっているイヌワシ観察ツアー。今年は天候不順なのか、早々に梅雨が明けてしまい、しかも直前には災害を伴うような豪雨に見舞われてしまいました。霧が発生する確率、そして雨が降る確率が極めて低い時期にツアー企画しているものの、今年はその雨の影響からなのか両日共に深い濃霧が発生してしまい初日はほぼ観察ができませんでした。ただ翌日は昼前から霧が晴れてくれ、いつもの風景の中でようやくイヌワシに出会うことができました。通常であればイヌワシ観察には4~5日を費やすことが当たり前ながら、運が良ければたった1日でその姿が見られることは驚異的と言えます。来年はぜひ若いイヌワシの登場に期待したいものです。この度はご参加いただきましてありがとうございました。またご一緒できましたら幸いです。

石田光史

イヌワシ 撮影:大木邦夫様

 

イヌワシとカケス 撮影:坂東俊輝様

 

イヌワシ 撮影:大木邦夫様

 

イヌワシ 撮影:坂東俊輝様

 

イヌワシとカケス 撮影:大木邦夫様

 

イヌワシ 撮影:坂東俊輝様

 

イヌワシ 撮影:大木邦夫様

 

チョウゲンボウ 撮影:坂東俊輝様

 

イヌワシ 撮影:大木邦夫様

 

チョウゲンボウ 撮影:坂東俊輝様

 

伊吹山からの風景 撮影:坂東俊輝様

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